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豪快ナポリピッツァを頬張れ! Posted on 2018/01/13 荒川 はるか イタリア語通訳・日本語教師 イタリア・ボローニャ

ナポリのピッツァイオーロ(ピザ職人)の職人技のユネスコ無形文化遺産への登録が決まり、地元ナポリはもちろん、イタリア中で話題になっている。生地を伸ばすスピード感あふれる手つき、縁が膨れ上がった大きくて迫力満点な見た目が特徴のナポリピッツァ。熱々を口に入れると、生地はモチモチ、トマトのわずかな酸味とジューシーなモッツァレラチーズのコクのある味わいが口の中に広がる。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

古くから大都市として栄えたナポリで貧しい人々の間で、安くてうまい庶民の味として生まれたピッツァ。
この土地で技を磨いたピザ職人たちは、ナポリのアイデンティティを背負うこのソウルフードをイタリア各地、更には世界各地に伝え、人々の胃袋をつかんできた。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

世界に広まったピザは各地でカスタマイズされてきたが、ナポリピッツァのシンプルな美味しさは格別。シンプルゆえ素材の質と、熟練の腕がものを言う。実際に「真のナポリピッツァ」を名乗るには、素材から製法、出来上がりの生地の食感などあらゆる条件を満たしてなければならないのだ。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

※真のナポリピッツァ協会認定証

 
そこでナポリピッツァとは、を探りにボローニャ随一のピッツェリア「イル・ガレオーネ」を訪れた。

オーナーをはじめナポリ出身者が揃ったこのお店では、独特のイントネーションが飛び交い、テキパキと気の利いた対応にもナポリの空気が溢れている。北イタリアのボローニャに本格的なナポリピッツァ店をオープンしたのが89年。ピザにもいろいろ流行りがあったが、この店では食材にこだわり伝統の味を貫いてきた。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

ナポリのあるカンパーニア州のトマトやモッツァレラ、オリーブオイルを使い、ピザ生地はその日の気温や湿度に合わせて配合する。その匙加減にレシピはなく、長年の経験がものを言う。
ユネスコ遺産の技の持ち主となり、いつもに増して笑顔がさえるピッツァイオーロのジェンナーロに、ピッツァ職人になる秘訣を聞くと「修行あるのみだよ。」とのこと。17歳から始めた彼は20年のキャリアを持つ。そして常に隣にスタンバイするフォルナイオ(釜焼き職人)はピッツァイオーロにとってなくてはならない相棒。ボローニャ出身の彼は、色々なタイプのピッツァ作りを経験してからナポリピッツァに行き着き、この道で進んで行くことを決めたという。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

ノリのいいジェンナーロの「やってみたら?」の一言に、さっそく腕まくりしてピッツァ作りに挑戦してみた。

48時間発酵の柔らかな生地を、指の腹を使って伸ばす。回し、押して、上下回転させて伸ばし、をリズムよく繰り返す。柔らかな生地がちぎれてしまわないかとおどおどする私の隣で、大きな手をしたジェンナーロは目に止まらぬ速さで生地を操る。何千枚も、何万枚ものピッツァを作ってきて体に染み込んだ動きは華麗だ。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

具を乗せると、すかさずフォルナイオがパーラという大きなヘラを差し出し、そこに生地をスライドさせる。素早く両手で引っ張り形を整えて、薪釜へ。焼き時間は90秒足らず。丁寧な仕込みの後は、伸ばすところから焼き上がりまでのわずか数分が勝負なのだ。初挑戦のピッツァはなかなかいい顔をしていた。味もよろしい。でも、やっぱりジェンナーロのピッツァにはかなわない。ピッツァイオーロの技は一日にして成らず。
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

ナポリの人々が誇りにかけて守り抜いてきたこの技は、今では日本にも受け継がれている。ピッツァ職人世界大会に優勝した日本人ピッツァイオーロもいるぐらいだから、そのレベルは本場に引けを取らない。本格ナポリピッツァ店でぜひ奥の深いナポリの味を堪能してみては。庶民の味だから肩肘張った作法はご無用。鉄則は熱々のうちに頬張ること。Buon appetito!
 

豪快ナポリピッツァを頬張れ!

Photography by Maurizio Fantini

 
 

Posted by 荒川 はるか

荒川 はるか

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Haruka Arakawa
イタリア語通訳・日本語教師。東京生まれ。大学卒業後、イタリア、ボローニャに渡る。2000年よりイタリアで欧州車輸出会社、スポーツエージェンシー、二輪部品製造会社に通訳として勤める。その後、それまでの経験を生かしフリーランスで日伊企業間の会議通訳、自治体交流、文化事業など、幅広い分野の通訳に従事する。2015年には板橋区とボローニャの友好都市協定10周年の文化・産業交流の通訳を務める。2010年にはボローニャ大学外国語学部を卒業。同年より同学部にて日本語教師も務めている。