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滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」 Posted on 2023/09/25 辻 仁成 作家 パリ

イギリスは長年「ごはんがまずい」と言われ続けてきた。
でも、近年、なかなk、美味しくなった。
とくにガストロノミー系の高級レストランの躍進がすごい。
しかし、パリで暮らす者としては何もロンドンでガストロノミーというのも、ちょっと(?)ねー。
比較的安定味のインド料理や中華系移民飯にも正直飽きた。
ちなみに、昨夜は、コベントガーデンの「ヤウアチャ」に行き、ディムサム(飲茶)を食べたけれど、ここはちょっと10年前の方が美味しかった。ごめんなさい。
美味しかったのは卵チャーハンだったかな・・・。

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

※ こちらは枝豆を潰して、少し、トリュフの入った蒸し餃子みたいなものだった。



しかし、やはり、ロンドンならば、「パブ飯」であろう。好き嫌いはあると思うが、こういう素朴のごはんが一番ロンドンらしい。ロンドンでフレンチだけは勘弁であーる。

「パブ飯」は、伝統的なイギリスの庶民の味も見直され、充実してきたような気がする。

ということで「ロンドンのパブ飯が、今、ホット!」を特集することにした。ちょっと情報は古いかもしれないが、年内にロンドンに行く方は、まだお店があるか、ぜひ、ご確認後、向かって頂きたい。えへへ。

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

※ 出たぁ、フィッシュアンドチップス~!!!!

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

 
ロンドンに行くと必ず立ち寄るのがケンジントン、スカールスデール(SCARSDALE)だ。
ここは奥がレストラン、手前がパブみたいなつくりで、道に面してテラスがあり、夏は住人たちで溢れかえる。
ケンジントン地区の閑静な住宅地にあるせいで、アジア人ツーリストに出会うことは無い。この界隈の常連たちで満席の、まさにロンドナーの聖域パブ。
ここのラムショルダーのスローローストがなんとも素晴らしい。
インゲン豆、赤ワイン、ローズマリーのソースで食べるんだが、やみつきになる。

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」



滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

 
そこから歩いて20分くらい、ホランドパークを突っ切った住宅地にあるパブ、ウインザーキャッスル、The Windsor Castleではしご酒・・・。
ここは老舗パブだけど、ビールの充実はもちろん、おつまみ系料理も美味しい。
まさに伝統的なお屋敷のような館内の奥まった席で男たちが集ってビールグラスを傾け合う様はかっこいい。
実にロンドンの風情漂う最高の隠れ家と言える。
ここも日本人に会うことはほぼない。もし、日本人がいたら、そいつらは父ちゃんの仲間たちだ、きっと。
たとえば、工業デザイナーのアキオ・シンダテ。
たとえば、ミチコ・ロンドン。
ロック仲間の布袋さんもいるかもしれない!!!!あはは。
ある時とない時があるが、父ちゃんはここでスコッチエッグを必ず頼む。美味いのだ。
これとビールで昼間っから酔っぱらうのがイキというものだ。
 

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

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個人的にはエッグベネディクトも捨てがたい。
エッグベネディクト自体はニューヨーク生まれの料理だけれど、なぜかロンドンにフィットする。
これはパブで食べるというよりはブリティッシュカフェで紅茶と一緒に注文することが多い。
コベントガーデンあたりのヒップな店でエッグベネディクトを注文するも、イキ、であーる。
ロンドンで食べてから自宅でもよく作るようになった。
オランデーズソースを作るのがちょっと面倒だけど、半熟のポーチドエッグとの相性は抜群で、作るたびにコベントガーデン界隈のごちゃごちゃした低い目線の街並みを思い出す。
 

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

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しかしだ、個人的に一番好きなパブ飯は何と言ってもミートパイであろう。みーとぱいぱい!!!!!
ダントツ、これがロンドンパブ飯の第1位なのである。
Beef and Ale pieというのが正式な名称。
エールというのはフルーティなエールビールのことで、これで煮込んだ牛肉をパイ包みにし、上からたっぷりグレービーソースをかけて食べる。
見た目のごつさが嘘のように、深みがあり、思わず「美味い」と叫んでしまう、ザ・英国と言える美味しさ。
パブならばたいていどこにでもあるのだが、キングスロード駅の裏に見つけたThe Fellowで、ユーロスターを待つ間に食べるのが私のお決まりとなっている(笑)。
やばい、めっちゃ、美味いのだ!!!
 

滞英日記、ロンドン飯特集「やっぱり、ロンドンのパブ飯が美味いそー!」

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しかし、英国パブ飯といえば、フィッシュ&チップスを無視はできない。おおお、忘れていた!!!
はじめて食べた時の興奮と感動は別格であった。
20代、イギリスで何度かレコーディングをやった。
差し入れがいつもフィッシュ&チップスで、イギリス人に生まれたかったと思ったほど。
魚は白身魚であればなんでもいいらしいが、私の中ではコッドフィッシュ(鱈)と決まっている。
片栗粉、ベーキングパウダーに塩を一つまみ、そしてそれをビールで溶いて、揚げるだけ。で、タルタルソースで食べる。なにかこれ以上の説明が必要だろうか? 
まさに極上のフィッシュ&チップスを食べるためだけにロンドンに行きたくなる。
それがどこにあるのかもう思い出せないのだが、15年ほど前のある夜、ふいに食べたくなって市内をさまよい、黄色い看板を発見し飛び込んだ、ファーストフード店のようなその店で、ビールと一緒に頬張ったフィッシュ&チップスがこれまでの最高峰である。

いったい誰だ? ロンドンの飯はまずいと言いふらした輩は? ロンドンでパブ飯、ぜひ、次の旅はたらふく食べに出かけていただきたい。
パリのカフェ飯に負けないロンドンのパブ飯、これで決まりだ!
 

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