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パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」 Posted on 2024/05/08 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、昨日のことだけれど、ものすごい数の白バイに誘導された黒塗りの車が目のまえを通過していったのであった。
それが、中国の習近平国家主席の隊列だというのは、その時ではなく、あとで、わかるのだけれど、とにかく、半端ない車列だった。
後でニュースで知ったのだけれど、61台もの警察車両に囲まれた移動だった、らしい。
おお、岸田総理は何台だったのであろう・・・。
でも、確かに、赤い国旗が翻っていたし、そのあと、エッフェル塔のあたりで中国の議員団のような人たち数十人とぼくはすれ違ったのだから、間違いはない、かもしれない。
ということで、こんなに近くで習近平中国国家主席とすれ違った父ちゃんなのだった。
一台、ものすごく大きな黒い車があったので、あの中に、習近平国家主席が座っていたのかもしれない。
こういうところが、パリ、なのであーる。
で、そんな父ちゃんが今日、食べたのは、中国とはぜんぜん、関係がない、アスパラソヴァージュという野菜なのだった。
見た目が、アスパラガスに似ているから、アスパラガスの一種という意見もあり、種類が違うという意見など錯綜しており、父ちゃん、頭よくないから、わからにゃーい。
ネットでも、ここフランスでも(混同があるみたい)、様々な意見が飛び交う、なぞの、植物、「アスパラソヴァージュ」、仏語で、ソヴァージュとは「野生」という意味。
原産国は、フランス、というのだけは、確かなようであったーまん。

パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」



見た目は、つくしのような形状をしており、フランスでも、山菜のような扱いを受けている。色は黄緑で、確かにアスパラガスを細くしたような見栄えなのだけれど、ニンニクの芽とか、ニラのように、若芽の状態の時に、食用として食べられている。
春の4,5月、まさに、今が旬なので、ぼくは必ず、八百屋で見かけたら、買って食べることにしてきた、この20年間。栄養価が高いのだ。
さらに、ニンニクとの相性が抜群で、パスタやリゾットに入れられるし、フランスだと、オムレツにして、よく食べられている。
日本では空輸で入っているようだが、ネットで調べると、山形県で、栽培されていた。へー、すごい。(まつのさんという会社で、16年も栽培されているという。これは、すごいことです。貴重な野菜ですから、広まってほしいなァ!)
というのは、なんで、父ちゃんがこの野菜が好きか、というと、炒めて噛むと、ねばねばとちょっと納豆感が出てくる。とにかく、パスタとの相性が抜群なのだ。
今日は、習近平国家主席を目撃したかもしれない、という勢いで、このパスタを作って、興奮冷めやらぬうちに食べた父ちゃんであった。

パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」

パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」



粘り気のあるつくし、のような野菜って、あはは、食べたいですよね。
これが、本当に美味しいのであーる・ぱちーの。日本のフレンチレストランで、空輸されたものを使って、時々食べることができる、らしい・・・、お試しあれ。
さて、アスパラソヴァージュは軽く下茹でし、オリーブオイルにニンニク、鷹の爪、お馴染み・・・を入れて、炒めるのだが。
エクストラヴァージンオイル漬けのツナ缶を今日は利用して、このオイルでニンニクなどを軽く炒め、ツナ香プラスで、香りが出てきたら、茹でたアスパラソヴァージュをぶちこみ、そこに、ツナとパスタを入れて、ざくざくっとフライパンをゆすって、完成。
海のものに、普通、パルメジャーノチーズはかけないのだけれど、ぼくの場合、ツナだけは特別で、しかも、アスパラソヴァージュとチーズの相性も抜群なので、今日は、パルメジャーノチーズ、たっぷりがけで、スペシャル感を出したのであった。じゅる。
ああ、もう、これ、絶対においしいやつじゃないですか?
誰がどう見ても、おいしいよな、と父ちゃん独り言をいいながら、まずは、一口、試食して、思わず、悶絶。
足元で三四郎が、
「くーん、くーん、なんだよーひとりだけ、ちょうだいよー」
とうるさいが、鷹の爪が入っているから、だーめ。
うわ、やばい、このとろみ、最高。
アスパラソヴァージュという名前なのに、アスパラじゃなく、つくしみたいな形で、ねばねばするこの黄緑の野菜の食感、ううう、たまりません。
ねばねばするが、しっかりと芯を残して茹でれば、ニンニク感がまとわりつき、形状がちょっとパスタ的なので、口に一緒に入った瞬間、もう、野菜なのか、パスタなのか、じぇんじぇん、わからなくなって、心も胃袋も、ぶっとんだのであーる。
ビールが欲しくなったので、イタリアのモレッティ、で決めたら、人生が一層幸福色に包まれてしまった、というオチでした。しあわせじゃあ。
ただ、一匹、足元で、不満たらたらな犬がおりました。
「なんだよ、ぱぱしゃん、自分だけ!!!! わんわんわん♪」
ごめんね、さんちゃん。

パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」



パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」

パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
この野菜、リゾットにすると、また、さらに、このねばねばがいい味を出すのであります。いろんな食材が世界にはありますねー。
はい、ということで、エッセイ教室のお知らせです。
課題は、「お弁当エッセイ」ということで、みなさん、どしどしご参加くださいませ。
文章というのは、簡単そうで、実に難しい。じゃあ、どうやったら、楽しいブログや日記やエッセイがかけるようになるのか・・・。そこです。
そんなエッセイを書きたい皆さんへの、熱血父ちゃん先生の勉強会になります。
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で、父ちゃんが毎月、5のつく日に、5日、15日、25日に、楽しく語るラジオ・ツジビル、ラジオ好きな皆さん、盛り上がりましょうね!!!
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パリごはん日記「習近平国家主席の車列を目撃した日、春野菜を食べた父ちゃん」

そして、フランスツアーが6月に行われます。
パリは、ベルビルにある老舗の劇場「Le Zebre」にて行われます。チケットが発売になりました。在仏、在欧の皆さん、お時間があれば、ぜひに。
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●6月30日、パリ、Le Zebre チケットはこちらから、どうぞ!
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そして、7月3日、リヨン、La Marquise
なぜか、パリの会場よりも、売れています。売り切れる前に、お早目に!笑。
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●7月13日ごろ、帝京大学出版会から、父ちゃんのアートブック「パリ情景、動かぬ時の扉」が出版されます。全176ページの画集&小説集です!!!
●7月20日から7月28日まで青山・新生堂画廊にて、個展!
●9月後半、コルシカ、アジャクシオ、ライブ。(ライブは、だいたい、9月25,26日のどちらかになります。作家としての登壇も予定しています)

自分流×帝京大学