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リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」 Posted on 2023/04/26 辻 仁成 作家 パリ

 
今朝、もち米を炊いたのと、友人のお母さんから送っていただいた関西のカツオデンブがあったので、自家製の焼き豚の残りとツナ缶のオイル漬けと、いとこから貰った関東の唐辛子漬けをもち米の中にちょっと詰めて握ってみた。コロナが流行する前、4,5年くらい前かな・・・、台湾旅行で食べた「台湾ライス爆弾握り」を再現してみたのだ。
屋台で食べたそれは握り飯というよりもラップご飯のようなものだったけれど、甘いタレがかかっていて、死ぬほどに美味かった。
真似してみたら、負けないほどに美味しい握り飯が出来たので息子と朝ごはんにした。
宮崎の焼き肉屋の店主に教えて貰ったのだけど、宮崎のある地域ではハラミ肉にカツオデンブを混ぜて食べるのだそうだ。
カツオとハラミの意外な組み合わせは絶妙だった。
店主曰く、海のものと陸のものが寄り添うと最強になるのだとか。
台湾ライスというものはどうやら存在しなかったけれど、ぼくが勝手に「台湾ライス」という幻の名称を生み出した。
これもパリで暮らす日本人のアジア幻想なのであろう。
以下はその時の旅日記である。台湾ライスを探す旅・・・・。台湾大好き。



さて、台湾に行く前日、「台湾ライス」を食べる夢を見た。そういうものがあるなら、きっと美味しいだろうな、と。
知り合った台湾の人たちに訊きまくった。
「台湾ライスはどこで食べることができるでしょう?」
皆さん、そんなものは知らない、と言った。でも、どこかにそういうものがあるに違いない。
今回の台湾旅行の目的、台湾ライスを探す旅となった。

短い滞在だったが、朝昼晩と胃袋が持つ限り台北を食べ尽くした。
どこも美味い、外れない、すごい! これが台湾の食文化だと思った。
夜の路地を練り歩いた。
「いい子がいるよ」と日本語でポン引きが近寄ってくる。
危ない地域にこそ「台湾ライス」があるに違いない。

「台湾ライス、ありますか?」
「ないよ。そんもの!」
 

リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

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夜の23時過ぎなのにテラス席が満員の店があった。
「ここだ!」と思い、意を決して入った。
なかなか注文を聞きに来てくれない。
仕方がないから調理場まで行き、「台湾ライスください」と言った。

出てきたのは「塩焼きそば」であった。
でも、めっちゃ美味しかった。
 



リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

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<大眾飯店(ダージョンファンディエン)>

住所:台北市中山区林森北路107巷49號(六条通り)

営業時間:11:30~01:00 



「台式熱炒」と呼ばれる、台湾スタイルの炒め物が名物の店。
人気なのは「番茄炒蛋(トマトの卵炒め)」と「生炒豬肝(ゴマ油で豚の肝炒め)」。
スープ、揚げ物、焼き飯、魚料理、なんでもありのまさに台湾の胃袋!

 

リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

 
次の日、淡水河の一帯に広がる古い乾物屋街を歩いた。
店先のおばあさんに「台湾ライス」が食べたいと日本語で言った。
おばあさんが路地裏を指さし、笑った。
行ってみたけど、それがどこかわからなかった。
戻って「どこかわからなかったよ」と告げた。

「この辺の人たちが普段食べているものが台湾ライスさ」
なるほど。
 

リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

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台北、台中とあちこち旅したが、「台湾ライス」には巡り合えなかった。
台湾を去る日の朝、ホテルの周辺を歩いてみた。すると小さな屋台に人が群がっていた。
覗くと、でかい握り飯だった。自分が夢に見たものにそっくり。

「台湾ライスだ!」

列の最後に並んだ。
順番が来た。どうやら、もち米の握り飯のようである。日本でいう「バクダン握り飯」のようなものか。
「どれにする?」とお兄さんが言った。
「台湾ライス」と言ってみた。

板の上にサランラップ、その上にまずもち米、次にでんぶ。
魚の辛いフレーク、豚肉の甘いフレーク、それから巨大な天かす、そして煮卵を入れ、ぎゅっぎゅっと握って完成!
ビニールにいれて、15元であった。
 

リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

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近くの公園に行き、ベンチに座って頬張ってみた。
「美味い!!!!」
まさにイメージ、そのものである。
運動をしているお父さんが教えてくれた「ファン・ツウアン」
「ファン・ツウアン! 美味しいですね!」

それが私の中での第1位、まさに台湾ライスであった。
 

リサイクル辻食日記「忘れられない、台湾ライスを探す旅!」

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5月29日 辻仁成 パリ・オランピア劇場 ライブコンサ-ト!


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