JINSEI STORIES

台湾ライス Posted on 2017/07/02 辻 仁成 作家 パリ

 
台湾に行く前日、「台湾ライス」を食べる夢を見た。そういうものがあるなら、きっと美味しいだろうな、と。
知り合った台湾の人たちに訊きまくった。
「台湾ライスはどこで食べることができるでしょう?」
皆さん、そんなものは知らない、と言った。でも、どこかにそういうものがあるに違いない。
今回の台湾旅行の目的、台湾ライスを探す旅となった。

短い滞在だったが、朝昼晩と胃袋が持つ限り台北を食べ尽くした。
どこも美味い、外れない、すごい! これが台湾の食文化だと思った。
夜の路地を練り歩いた。
「いい子がいるよ」と日本語でポン引きが近寄ってくる。
危ない地域にこそ「台湾ライス」があるに違いない。

「台湾ライス、ありますか?」
「ないよ。そんもの!」
 

台湾ライス

台湾ライス

台湾ライス

 
夜の23時過ぎなのにテラス席が満員の店があった。
「ここだ!」と思い、意を決して入った。
なかなか注文を聞きに来てくれない。
仕方がないから調理場まで行き、「台湾ライスください」と言った。

出てきたのは「塩焼きそば」であった。
でも、めっちゃ美味しかった。
 

台湾ライス

台湾ライス

 
<大眾飯店(ダージョンファンディエン)>

住所:台北市中山区林森北路107巷49號(六条通り)

営業時間:11:30~01:00 



「台式熱炒」と呼ばれる、台湾スタイルの炒め物が名物の店。
人気なのは「番茄炒蛋(トマトの卵炒め)」と「生炒豬肝(ゴマ油で豚の肝炒め)」。
スープ、揚げ物、焼き飯、魚料理、なんでもありのまさに台湾の胃袋!

 

台湾ライス

 
次の日、淡水河の一帯に広がる古い乾物屋街を歩いた。
店先のおばあさんに「台湾ライス」が食べたいと日本語で言った。
おばあさんが路地裏を指さし、笑った。
行ってみたけど、それがどこかわからなかった。
戻って「どこかわからなかったよ」と告げた。

「この辺の人たちが普段食べているものが台湾ライスさ」
なるほど。
 

台湾ライス

台湾ライス

台湾ライス

 
台北、台中とあちこち旅したが、「台湾ライス」には巡り合えなかった。
台湾を去る日の朝、ホテルの周辺を歩いてみた。すると小さな屋台に人が群がっていた。
覗くと、でかい握り飯だった。自分が夢に見たものにそっくり。

「台湾ライスだ!」

列の最後に並んだ。
順番が来た。どうやら、もち米の握り飯のようである。日本でいう「バクダン握り飯」のようなものか。
「どれにする?」とお兄さんが言った。
「台湾ライス」と言ってみた。

板の上にサランラップ、その上にまずもち米、次にでんぶ。
魚の辛いフレーク、豚肉の甘いフレーク、それから巨大な天かす、そして煮卵を入れ、ぎゅっぎゅっと握って完成!
ビニールにいれて、15元であった。
 

台湾ライス

台湾ライス

 
近くの公園に行き、ベンチに座って頬張ってみた。
「美味い!!!!」
まさにイメージ、そのものである。
運動をしているお父さんが教えてくれた「ファン・ツウアン」
「ファン・ツウアン! 美味しいですね!」

それが私の中での第1位、まさに台湾ライスであった。
 

台湾ライス