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フランスで出産「最初の検査と名前決め」 Posted on 2017/11/29 尾崎 景都 日本語教師 パリ

妊娠確定後、初期段階で受けなくてはならない検査がいくつかある。
妊娠初期から毎月行うのは、血液検査と尿検査。これでトキソプラズマ抗体の有無や、タンパク質、糖分、鉄分の数値などを調べる。
検査を受けられるラボはパリに数多くある。大体は予約を取らず、直接行って血液と尿を採り、後日結果を受け取るというシンプルなもの。結果も、早ければ翌日には受け取れる。
そして妊娠11~14週の間に、最初のエコー検査を受ける。この正規のエコー検査は妊娠期間中に3回、3か月に1回行われる。私がエコー検査をしたのは12週目の時だったのだが、7週目以来に見た我が子は、もう人間らしい形を獲得していた。

更に、ダウン症検査もこの時期に受ける。フランスでダウン症検査は、必須検査項目の1つだ。ダウン症の可能性に、ゼロという結果はない。「何分の一」という確率が数値で表れる。元となるデータは、この時期のエコー検査と血液検査からとられる。胎児の身体の部分のサイズや、母親の血液中に含まれる成分が対象になり、そこに母親の年齢を加味して、確率を算出する。
私の場合、結果は低い確率だったので問題なかったが、この確率が250分の1以上になると、羊水検査を勧められる。聞いてみると、羊水検査はある条件を満たす母親には強く勧められるが、強制ではないという。条件というのは、母親が妊娠時に38歳以上の場合、家族の中に染色体異常を持った人がいる場合、そして前途の通り、最初のエコー検査と、それと同時期の血液検査で何らかの数値の異常が認められた場合。この条件のどれかを満たし、医師により羊水検査を正式に勧められると、その費用は社会保障が全て負担してくれる。

ダウン症検査や羊水検査と聞くと、随分デリケートな話題だと感じてしまうが、フランスはこういったことを淡々と進め、そして保障も厚い。ダウン症検査の義務付けは、「胎児がダウン症と発覚したら堕胎してもいいということか」と賛否両論あったらしいが、実際には、産まれてくる子供のことを現実的に考えてくれている、とても助かる制度だと私は思う。
 

フランスで出産「最初の検査と名前決め」

各検査で異常なしと言われ、まずは一安心。
夫は私の体調を気遣いつつ、どうしても名前が気になる様子。というのも、名前は早く決めておかないと大変だ、と同僚に脅されたらしい。

調べてみて納得、フランスでは出生日の翌日から数えて5日以内(土日祝日を含む場合は、それを除く)に出生届を提出しなくてはならないのだ。
母親はまだ動くのが億劫な場合が多いので、大抵は父親、又は医師か助産師が代行して提出の手続きをする。日本では出産後14日以内で、夜間受付も充実していると聞いていたので、比べるとかなり短い。とは言っても、まだあと半年以上もあるのに、随分と気の早い夫。
ただ確かに、フランスで子供を産むとなると、命名は悩むところだ。日本名にするとしても、フランス人にも発音し易い名前が望ましい。Hを入れると発音してくれないし、独特な発音をするRを入れるとフランス人と日本人で発音が変わってしまう。それから、全体の響き。日本語では綺麗な響きでも、フランス語だとそれに近い発音で変な意味になってしまう場合もある。

名前はその人を表す一生のものだから、大事に決めたい。
産まれてくる我が子を想像しつつ、今日も私たちは、名前決めに余念がない。
 

フランスで出産「最初の検査と名前決め」

 
 

Posted by 尾崎 景都

尾崎 景都

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Keito Ozaki
パリ第7大学 言語音声学科 修士課程修了後、日本語教師として活動中。夫は料理人。