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パリ最新情報「パリがゴミの山に。年金改革に反発する業者のストライキで」 Posted on 2023/03/14 Design Stories  

 
仏政府の年金改革に反対するゴミ収集業者のストライキにより、パリ市ではゴミがあふれかえるという異様な光景が広がっている。
このストライキが始まったのは3月6日(月)からで、仏政府が現在打ち出している年金改革案に業者が猛反発を示したことに起因する。
 

パリ最新情報「パリがゴミの山に。年金改革に反発する業者のストライキで」



 
新年金改革案では、現行の定年退職年齢を62歳から64歳へと引き上げる内容が含まれている。
ただゴミ収集員はフランスでは公務員となるため、今までは57歳での定年退職が認められていた。(危険度の高い仕事なので、フランスでは下水道職員などと同様、早めの定年退職年齢が定められている)
これが新年金改革案で59歳に引き上げられることにより、パリ市のゴミ収集員は3月6日から一斉にストライキを敢行したのだった。

ゴミ回収を行わない期間は7日間。
そのため12日(日)にはパリ市で合計5400トンものゴミが積み上げられるという事態になった。
ストライキの影響を受けたのは、パリ市内の2、5、6、8、9、12、14、16、17、20区となる。
それ以外の区では民間の収集業者が関与しているということで、大きな影響は受けていない。
 

パリ最新情報「パリがゴミの山に。年金改革に反発する業者のストライキで」

※パリ2区、3月9日(木)の状況。

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ところが仏政府は9日未明、新年金改革法案の上院審議で「第7条」を採択した。
第7条とは定年年齢を62歳から64歳へと引き上げる旨を定めた重要条項で、これまでに何度も上院で見送られたという経緯がある曰くつきの内容だ。
しかしこの改革法案が正式に可決されるためには、最終的な決定権を持つ下院議員が賛成票を投じる必要がある。
次なる審議は3月16日午前9時からとなっており、ここでの賛成票が大多数であれば、仏国会による最終的な採択とみなされる。

これを受けたゴミ収集業者は、RATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)、製油所、航空会社とともに、年金改革に反対するストライキ総動員の呼びかけに反応した。
パリ市によれば、周辺にある3つのゴミ処理場は未だに閉鎖されたままであり、ゴミ収集から焼却炉に至るまで一連の流れに影響が及んでいるということだ。
また3月15日(水)には新たなストライキ要請もなされており、この状況はすぐには改善されそうにない。
 

パリ最新情報「パリがゴミの山に。年金改革に反発する業者のストライキで」

※12日(日)にはパリ市のあちこちでゴミが膨れ上がった。



 
交通ストライキも以前は10日に一度のペースだったが、この週末からはほぼ毎日どこかで減便が発生している。
またパリでは相変わらず一般市民の参加する反対デモも続いている。
動員数は減少しているとのことだが、目立つのは市民の「慣れ」の姿勢だ。
つまり公共交通機関がストップしても、パリ市民にはテレワーク・自転車利用など代替方法が定着しており、この状況に慣れてきたという印象を強く受ける。

一方でゴミが堆積しているという事態にも、一定の理解を示すパリジャンが多いことがフランスらしさを物語っている。
例えば今回のストライキに関しても、「ゴミ収集に関わる人は、この改革の最初の犠牲者です。彼らのほとんどが若いうちに働き始めていて、オフィスにいる他の人々よりも難しい仕事をしている。彼らにも権利がある」と、仏紙のインタビューに答える人が存在した。
 

パリ最新情報「パリがゴミの山に。年金改革に反発する業者のストライキで」



 
ゴミが道路に散乱しているのは、建物内にあるゴミ置き場がすでに満杯になっているため、皆仕方なく道に置いているのだという。
しかし昨日12日(日)には飲食店の前にもゴミがあふれかえってしまい、衛生面やネズミの増殖が住民のあいだでは懸念されている。
「パリは世界一の観光地なのに、ゴミの街というイメージがついてしまう」と心配する飲食店のオーナーもいた。
いよいよ正念場を迎えたフランスの新年金改革、首都パリでは今週がピークとなりそうだ。(内)
 

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