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佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区 Posted on 2022/09/20 佐伯 幸太郎 ライター パリ

フランスは移民大国だからね、アラブ系の移民だけでもなんと500万人。
全人口の十分の一はイスラム系ってことだ。しかもそのほとんどがパリに集中している。
もちろん、アラブ系カワイ子ちゃんもパリにシュ~チュ~! で、今日は小麦色の健康的な肌を持つファティマちゃんとデートだぜ、るんるん。
信仰を超えて愛し合え、が俺のモットーでね、みんなで仲良く愛し合おう。愛に国境はない。俺とファティマの間に壁なんか建てられるものかってね。あはは、今日もノってるぜ。

で、ファティマの大推薦を受けて、パリで一番うまいと彼女が豪語するモロッコ料理のシェ・ベベールで、るんるんランチだ!
 

佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

モンパルナスタワーの真ん前、交差点の一角を占拠する一等地に店を構えている。いわゆるガストロノミーでも高級店でもないよ。観光客も多く出入りするし、どっちかというと、まぁ、安くはないけど、腹いっぱい食べることの出来る大衆店。でも、単純にうまい。

一歩店内に入ると、アラビア風の古風な内装。もう、マハラジャになったような気分だ。うはうは!
 



佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

俺は23ユーロの羊のタジン(TAGINE D’AGNEAU AUX PRUNEAUX)を注文し、ファティマは28ユーロのクスクス・ロワイヤル(COUSCOUS ROYAL)を頼んだ。

まず、ドンと直径50センチはあろうかというアミューズ皿が二人の真ん中に置かれた。巨大なピクルスセットで、キャベツのマスタード和えとか、ピリ辛ニンジンとか、オリーブとか、各種ピクルスなんかがてんこ盛りだ。
それをつまみながら、俺たちは見つめ合い、モロッコ産のロゼワインを舐め合うことになった。ぺろぺろ。
 

佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

情熱の黒い瞳だ。やばい、パリジェンヌに飽き気味の俺には超新鮮。ファティマ、お前はなんて美しいんだ。
俺たちは見つめ合いながらも、スパイシーなピクルスセットをばくばくついばみ、ロゼワインを軽く一本あけてしまった。食欲が出てきた。そうこなくちゃ。人間は欲望の塊だ。
性欲、食欲、出世欲。欲望を捨てろ、と神様は言う。
でも、「人間だもの」の相田みつを先生を信奉する俺は欲の塊だ。人間だもの、ですべては許されるんだよ。
 



佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

給仕が次々にプレートを運んでくる。ファティマが頼んだクスクス・ロワイヤルがすごい。

バカでかいプレートに羊肉、鳥肉、なんかのバーベキュー、メルゲーズと呼ばれるスパイシーな羊のソーセージ、骨付き羊肉まで全部載っかって、ドン! 
それだけじゃない。お米のようなクスクスパスタが大盛りで、ドン! 
そのうえに大根、ズッキーニ、ニンジンなどいろいろ野菜のブイヨン煮が、ドン! 
そこにバカでかい羊とプルーンのタジンが、ドン! 
甘いソースがかかった別種類のクスクスが、ドン! 
さらには2種類の豆の煮もの皿が、ドンドン!
 

佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

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佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

おい、たいがいにしろよ、こんなに食える人間がいるのかって、え? ファティマちゃん、猛然と食べ始めた。くそ、負けるわけにはいかない。とにかく、愛はひとまず、脇において、食欲を満たせ、人間だもの! 

もう食べられない。ファティマが笑っている。あまりにうますぎて、完食しちゃったじゃないか。
周りを見回すと身体のでかいアラブ系のお客でいつのまにか満席。すごい、どこもかしこも、ドン、ドン、ドン! 
アラブのパワーは食にあり、だね。
 

佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

そこに、な、なんとデザートのプレートがやってきた。ドン! まじ? これ? あはは、君、これ全部食べる気? ファティマがクスっと微笑んで、クスクス? はぁ? はちみつの塊みたいなモロッコ風ケーキに彼女が手を伸ばしたぁ~。

動けない。口説きたいけど、動けない。さすがの俺もお手上げ状態。給仕がやってきて、ミントティーをサーブし始める。
 

佐伯幸太郎のパリで人気のレストラン・ガイド!「シェ・ベベール」パリ15区

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高いところからお茶を注ぐ、あの名物の甘いミントティーだ。俺はソファに半分沈み込んだ状態で、給仕が高々と持ち上げた急須を見上げている。ミントティーが一条の滝のように注がれていく。美しい光景だった。

男たちがファティマの背後に集まってくる。誰? 親戚かな? みんなと仲良く語らい始めるファティマの美しい横顔を眺めながら、俺は一瞬寝落ちしてしまう。幸福すぎて、口説けないなんてことがあるんだね。人間だもの。相田先生ならわかってくれるだろう。

目が覚めたら、ファティマはもういなかった。支配人が、お連れ様は帰られましたよ、と教えてくれた。
はいはいはい。こういう顛末を読者はすでにお気づきのようで(笑)。
 

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Posted by 佐伯 幸太郎

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Kotaro Saeki
ライター。渡欧25年のベテラン異邦人。ワインの輸入業からはじまり、旅行代理店勤務、某有名ホテルの広報を得て、現在はフリーランスのライター。妻子持ちだが、美しい女性と冒険には目がない。モットー、滅びゆくその瞬間まで欲深く。