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パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」 Posted on 2025/10/05 辻 仁成 作家 パリ

今回のパリの個展は、当初、日本で行われた「VISTUER」展の延長戦で考えていたのですが、出来てきた作品が、まったく新しい世界観を示してきたので、急遽「TSUJI HITONARI展」とし、あえて、区別することになりました。

今回のパリでの個展に展示する30点余りの作品は、
1,WA KOSMOS
2,KO
3,CHI
という3つのカテゴリーに分類されています。
KOSMOSは英語のCOSMOSなんですが、古代ギリシャ語ではKだったようで、あえてKOSMOSになったわけです。WAは「和」です。
WAは日本語の「和」から来ています。
KOはいにしえの「古」から、CHIは大地の地。
ぼくはノルマンディに拠点を移したので、地面、空、海、空間、自然を目の当たりにし、その気を創作に取り込むことになりました。
制作拠点は、パリ中心部とノルマンディの森の中の2か所で行われています。ノルマンディのアトリエはもともと工場だった施設を改造して使用しています。
日本から1万キロ離れていますが、日本から受けた空想力は、逆にノルマンディで開花しつつある気がします。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

photo by OHNO TOSHIO(CEKAI)

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

WA KOSMOSは、自然の中で、崩壊していきながら再生していくエネルギーを画布に捉えようとしています。
ノルマンディの自然を通し、人間の精神の復興を油彩画の中に取り入れたいという思いがあるのです。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」



パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

KO「古」の作風は、日本の太古からの潮流を意識して、画布にその流れを描き出しています。
CHI「地」も似ています。
しかし、これらの作品は、これまでの具象絵画とは異なる抽象性を強く持ち込んで、新たな世界を広げているように思います。

基本は、筆を使いません。
パレットナイフが80%、15%はペーパー類を使い、残りが筆になり、筆は主に仕上げでのみ使用しています。
ナイフで描くことのダイナミックなタッチが、油絵具の力強さを強調しています。
いにしえの時代から、現代まで受け継がれる大地の祈りのようなものが、画布に焼きつけたいと思っています。
ノルマンディの大自然の中での創作は雑音から遠ざかることが出来、最適な創作空間になっています。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

ぼくはデッサンをしません。
ほとんどの作品は、画布にまず、その作品の主軸になる一言を記します。ほぼ、日本語です。
薄く鉛筆や木炭で描きます。
その後、その前でイメージが下りくてくるのを待ち、感じたらいきなり、油絵具をキャンバスに叩きつけていくという手法。
現在、本誌で連載している「泡」という小説も、デッサンはありませんし、取材も一切しておらず、毎日、午前中にライブで執筆しています。
ライブ感が無いものが好きじゃないのは音楽の影響かもしれません。
設計図やデッサンのあるものが苦手なのは、インプロヴィゼーションで育ったから、そして、予定調和が苦手なのです。
ともかく、絵は、完成するまでに1年の歳月が必要となります。
ノルマンディのアトリエには、制作途中の作品が、乾くのを待って、待機を続けてます。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」



パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

パリ個展会場でのみ、カタログ、「2025Works」が販売されます。2025年に制作された作品が掲載されています。日本での一般販売はありません。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

辻仁成、個展情報。

パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」2週間、開催。
8番線メトロ、サンセバスチャン・フォアッサー駅から徒歩5分

1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、8点ほどを出展させてもらいます。

下記の辻仁成アートサイトで、他の作品をご覧いただけます。パリ個展が終了次第、1月から始まるパリ日動画廊の作品に入れ替わりますので、ぜひ、チェックしてみてください。

パリ・アート情報「辻仁成パリ個展、10月13日14時開始」

辻仁成 Art Gallery
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