PANORAMA STORIES
辻村だより(1) Posted on 2025/12/07 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
ラジオ・ツジビルが12月25日をもって終わるのですが、みなさんの悩みとかにお答えしながら、人生を考える場所だったので、なくなるのは寂しいという声も多く、ならば「辻村だより」として、みなさんからの質問には辻村村長としてお答えしてまいりたいと思い、デザインストーリーズ内に「辻村だより」をスタートさせることになりました。
笑。👍
ツジビル=TSUJIVILLE、フランス語で辻村ということになります。
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気が向いた時に、更新してまいりますので、質問がある方は、エックスやインスタの「デザインストーリーズ」の返信欄に送ってください。眺めて、答えられる範囲で、お答えいたします。


※ ツジビルではこういうグッズ、オリジナルグッズを作ってました。けっこう、可愛いですよね。これでマルシェに買い物に行くんです。自分が描いたイラスト入りのバッグ、もう、販売することもないでしょうから、貴重品ですね。プレミア?
ということで、今週、ラジオに届いたメッセージを利用させて頂き、デモンストレーションしましょうかね。
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最初のおたよりです。
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匿名希望さんより。
「こんばんは。パリご飯から辻さんのファンになりました。辻さんの発信を通じ、自分も彼の地にいるような気持ちになったり、1人奮闘して暮らしている気持ちになったり。辻さんを通じて別の人生を体験させて頂いております。そういうのが楽しいのです。
さて、質問なのですが、ノルマンディには海の見える素敵なお部屋がありましたよね。今はアトリエとそのお部屋を行き来していらっしゃるのですか?位置関係やどこで寝泊まりされているのかな?とか疑問で、辻さんの暮らしがうまく想像出来なくなっているので、教えてください」
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はい、お答えいたします。☜あはは。
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「アトリエは古い工場、美術館とか教会の鉄門とかを作っていた工場が閉鎖になり、そこの一部を最初借りてアトリエにしていたのですが、いろいろと工事をして、辻仁成の工房として現在は大活躍をしています。キッチン、ベッド、などもあり、三四郎の家もあります。作品の90%は現在、ここで制作をしています。2026年は、パリ、東京、リヨンで展覧会があり、ずらっと並んだ作品と向き合っています。天井がかなり高い(10メートル)ので、大作もかけます。藤田嗣治さんのアトリエの写真があって、机に囲まれて創作をしているもの、でしたが、似ています。藤田とは勝手に繋がるものを感じていますが、でも、ぼくはノルマンディが中心地になるので、パリの洗練された世界観はあまりなく、自然から受けるインスピレーションを大事にしています。カモメ御殿という愛称のアパルトマンに帰る確率がかなり減ったので(ベッドを買ったせいですね)、そっちは小さいですし、手放そうかな、とも思っていますが、海の真ん前なので、悩んでいます。アトリエは、山の中で、先日、イノシシが出ました。愛犬が見張りをやっています。昨日は庭に鶴が舞い降りてきました。

次のおたよりです。
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もりみちさん
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「村長が最近出逢われた“ささやかな喜び”は、どのようなものでしょうか。今朝、私にも小さな驚きと嬉しいできごとがありました。夏の間できなかったテラスの掃除をしようと思い、何も植えていないはずの鉢に目をやると、緑の葉が凛と背を伸ばしていました。「雑草?」と近づくと、ふわっとバジルの香りが。どこからか訪れたのか、昔植えていたものが生き延びていたのか――思いがけない再会に朝から心が弾みました!」
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お答えいたします。笑。
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「あの、そういうの、頻繁にありますね。とくにアトリエの方は庭があるので、はりねずみのハーちゃんが住んでいるし、アナグマのアーちゃんもいます。様々な草木が自生しているので、ハーブもなんか、育っています。個人的には、小さなハーブ園を作っていまして、そこで育てているタイムとか、ラベンダーとか、もろもろ、料理に使っています。昨日、「今日の献立」で作った「ジャガイモの焼いたん」には育てているタイムを使いました。自然と直結しているので、生活の中に自然が含まれています。ささやかな希望としては、フランスで購入できない「みょうが」を育てたいと思っています。あと、「大葉」「胡麻の葉」あたりは、ぜひ。お隣のミッシェルさんの家では毎年、リンゴがかなりなるので、それをもらって、リンゴのタルトを作り、ご近所に配っています。「日本の魔女おばあちゃん」と呼ばれて子供たちに愛されているんです。ほんとうです」

次のおたよりです。
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きゃりーBさん
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「村長、孤独ってなんでしょうね」
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お答えいたします。笑。
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「群れないことです。自分でやることです。人の意見に振り回されず自分で考えて行動をすることです。自分をしっかりと取り戻すための修行です。この世界の中で自分の役割をちゃんと認識するための訓練です。自分を見つめ直す機会ですね。個人的には孤独がないと生きにくい世界だと思っています」
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はい、今日もありがとう。
おたより、お待ちしています。ぼくのエックスとかインスタには送らないでください。ずぼらなので、読まない場合があります。スタッフさんが運営するデザインストーリーズのインスタ、もしくは、エックスにご投稿お願いしますね。
今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。

はい、来月、パリの日動画廊、グループ展に参加します。
1月15日からです。
3月7日まで、パリの日動画廊。
それから、8月前半に一週間程度、個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
そして、11月に3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



