ノルマンディ、ツジ村便り

辻村だより、4 Posted on 2025/12/11 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
さっそく、悩み相談が届いているので、みてみましょうね。

匿名希望さん。
「こんにちは、私は孤独なんですが、それはとくに気にしていません。でも、生きていると、どうしてもぶつかる問題とかもあり、でも、相談相手がいないのが、孤独の一番の問題なんです。親はもう高齢で、昔は相談に乗ってくれていましたが、今は自分のことで手一杯、兄弟もある種、一緒で、相談できる相手が思い当たりません。そもそも、相談が苦手なんです。仕事場に、頼めば相談に乗ってくれる人いるんですが、これも、一つ勇気が出ません。相談をして、バカにされないか、心配というか・・・。辻さんは、人の相談にはよくのっていると前に日記に書かれていましたが、ご自身の悩みはどうされているのでしょうか?」

はい、なんか、めっちゃいい質問ですね。おこたえしまーす。

辻村だより、4

※ いただきものでしたが、これ、すごく、おいしかった。



「実は、昨日は、友人(パパ友です)とカフェでむきあって、家族の問題とか、父親としての子供との向き合い方とか、そういうデリケートな内容について、話し合いました。
この問題、最近、あまり日記でもふれていませんでしたが、ぼくにも家族があり、ぼくは今やその世界一小さな家族の大黒柱でもあります。でも、人生には、よきせぬ出来事が次から次に襲いかかってきて、ぼくひとりではどうやっても判断できない問題、というのがままおこるものです。そういう時、やはり、第三者委員会じゃないんですが、自分以外の人の意見というのは、それが正しいかそうじゃないか、に関わらず、大事だったりするわけで、ある種の指針になる場合があります。人の話をあまりちゃんと聞かない人間の父ちゃんですが、ほんとうに悩みがある時は、まじめな友だちに連絡をし、意見を求めたりするわけです。選択肢が増えるし、自分の頑なな考え方にも、変化がおきます。誰かに悩みを打ち明けること、また、他人のアドバイスに耳を傾けることは、とっても大事ですよね・・・。
友人のイタリア人は、ぼくが弱っているので、心配をして、会いにきてくれました。結論が出なくてもいいんです。誰かとあい、愚痴じゃないですが、今、抱えている問題をさらっと相談するだけで、実は答えはそこにはない場合があるんですが、相談をしたという行動が、自分の中にある種の可能性を連れてきてくれたりします。そして、小一時間、ビールを飲みながら、話し合いました。今回は家族についての相談でしたが、その友人が牧師さんのように見えたものです。彼が真剣にアドバイスをくれるその姿に、人間の横のつながりの大切さを、感じることが出来ました。ぼくはけっこう、強い人間ですが、それでも、天に弱音をみせることはあります。人間ですもの、我々は誰一人神じゃない。だから、話を聞いてくれる人が必要で、そういう人を友人と呼ぶのかもしれません。ぼくは孤独な方ですが、友人を拒絶しません。普段から、つるむことはないのですが、自分も、相談をもちかけられたら出かけていき、その人の悩みに耳を傾けます。これは、自分にもはねかえってくる何かがありますよ。答えのない人生の中にいますが、光というのは必要です。その光は、人間が灯すものなのです。誰か、あなた以外の人で話を聞いてくれる人をさがしてください。そこに小さな光が灯ります」

何か父ちゃんに聞きたいことがあれば、デザインストーリーズのインスタ、もしくはエックスに返信で質問をください。掲載する時は、全員、匿名希望さん、と書きます。
じゃあ、また。
今日を精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。

辻村だより、4



辻村だより、4

お知らせです。
フランスのロックトップチャート、45位の、(自慢なんです)、父ちゃんのオランピア劇場ライブ盤配信されました。
日本語、英語、仏語で歌っていますよ。

個展情報です。

2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで。結局、11作品の展示となりました。フランス人3人とのグループ展なのに、11作品も、・・・。笑。
場所は、パリ8区ですね。エリゼ宮殿の傍です。

それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。

そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学

辻村だより、出は、みなさんの相談事を待っています。デザインストーリーズのインスタか、エックスに、メッセージをください。