ノルマンディ、ツジ村便り

辻村だより、9 Posted on 2025/12/21 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
皆様からのご相談に答える前に、今日は、
最近の父ちゃんによる「自分飯」の数々をご覧くださいませ。

辻村だより、9

はい、こちら納豆高菜パスタです。日本で買った「お豆パスタ」で作りました。この麺、グルテンフリーなんですよ。パスタというか、乾麺ですね。細くて、美味しかったです。健康そうですよね。笑。

辻村だより、9

韓国のスンドゥブチゲ風のスープ。笑。ダシダ&韓国味噌が無かったので、普通の味噌といりこダシを使って、軟豆腐いれて、卵落として、あゝ、美味かった。辛いのも適当にいれました。韓国の調味料はなかったので、鶏ガラスープの素もいれました。いろいろとぶっこんで、韓国風にしてみましたが、ノルマンディ、寒いですからね、実に温まりましたよ。

辻村だより、9

ペストの生スパゲッティです。これは、市販の生ペストで作ったのですが、苦みのある野菜、ルッコラとの相性抜群でした。

辻村だより、9

肉まんです。手作りですよ。日本だとコンビニで買えるからいいですよね。こっちは中華街まで行かないと買えないので、作るわけです。セギュールちえみ先生のレシピで作ったのですが、いつか、先生に新メニュー作ってもらいましょう。



では、今日、デザインストーリーズに届いたご相談にお答えしますね。

匿名希望さん
「古希をそろそろ迎えるこの頃、子供達は、巣立ちましたが、いざ自分一人になると、何をしたら良いのか?と、思うことがあります。パパさんのように犬を飼おうかなとも考えたけど、自分もままならないのに無理ですし。パパさんはこのあとどうされるのでしょう?もっと歳を取ったら、、、」

おこたえしまーす。

「なかなか、悩ましい質問ですね。もっと歳を取ったらどうするのでしょうねー。この問いかけは普段、自分でも考えることですし、多くの人が考えることでしょう。ただ、予測できない未来を悲観的に想像し、今の瞬間を不安でいっぱいいっぱいにしてしまう生き方は辻流ではありません。死ぬ時は死ぬわけですから、その日をびくびく生きるよりも、今、やれることを、自分の居場所で精一杯やりつくすのが、辻流だと思って生きています。命の出来不出来っていうのはぼくはないと思っています。むしろ、命というのは、この瞬間を慈しむことに尽きると思うのです。どう生きたか、生きるか、だと思います。ぼくは、いつでもスタート出来る人生を生きたいと思っています。90歳になって、新しいことにチャレンジしている自分を想像することがありますが、何歳からでも人生は楽しむことが出来ることを忘れないことは大事ですね。周りのことは気にしないことも大事です。20年くらい前のことですが、やはり自分の日記に、「世界一セクシーなおじいちゃんになりたい」と記したことがありました。その決意はいまだ変わっていません。笑。アホですね。でも、老いというものは人間の宿命ですが、その境地をどう捉えて生き抜くかというのは人それぞれで方法が異なるのだと思います。時間は人間が操るもので、本来、時間に操られるものではありません。ぼくが腕時計をしないのは、時間に自分が制御されるのを防ぐ決意の表れです。「時間がない」というのは人間の言い訳に過ぎず、時間は作るものです。時間はある、と言い続けることがその人の寿命や精神年齢や時間を大きく拡大させる方法だと思っています。「時間がない」が口癖の人は一生、そもそもない時間に振り回されることでしょう。老いも、同じことです。老けたらもうおしまいだと思った時から老いは加速する。泰然と構え、時間を超越して人生に挑む時、人間は、無限を手に入れることが出来ると思います。そんなの無理でしょ、と思わないことです。ぼくが30代のころに書いた歌詞に「限りあるこの世界で限りない一生を生ききる」というのがありました。自分の一生を型の中に押し込めないで解放する時、人生はゆるやかにまた豊かになるのだと思います。「もう駄目だ」とか「時間がない」だとか最初から終焉の線引きをしないことも大事です。なんとかなる人生です。先のことは今から決め込まず、来るべきことが来た時に、まあまあ楽しかったかな、と言い残せるような人生を歩もうじゃありませんか。十代のころ、「行けるところまで行ってみたいな、たった一度の人生だもんな」と思って、海の向こうに憧れた辻少年ですが、今は、日本から1万キロも離れた海辺で暮らしています。実はもっと先へ行ってみたいと思ってもいるんです。そこがどこかはわかりませんが、だんだん、地球も狭くなってきたのは事実です。でも、もっともっと知らない世界に行き、もっともっとたくさんの人と出会い、感動をわかちあってみたいな、と思っています。たった一度の人生ですからね・・・」

辻村だより、9



展覧会情報

2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで。結局、11作品の展示となりました。フランス人巨匠も参加するグループ展だそうです。
GALERIE NICHIDO paris
61, Faubourg Saint-Honoré
75008 Paris
Open hours: Tuesday to Saturday
from 10:30 to 13:00 – 14:00 to 19:00
Tél. : 01 42 66 62 86

それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。

そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催する予定です。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学