PANORAMA STORIES

辻村だより、21 Posted on 2026/01/19 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
昨日も、ちょっと日動画廊パリに顔を出しました。というのも、同級生が仕事でパリにいる、というので、画廊の人たちから連絡があり、「清水さんという方です」と言われても、・・・覚えてないのです、ごめんなさい。
「ZAKU」という日本酒メーカーの社長さんだそうで、(ご存じですか? 世界中のコンテストで優勝しているみたい)、その辺でたまたま仕事があったので、顔を出しましたが、やはり、記憶にはありませんでした。うーん・・・。
「やっぱりな、あんまり話したことなかったから。一度、辻君が大学の地下でバンドやっているというので見に行ったけど、うるさいし、何歌っているかわからんかった」
ということで、あはは、そういう同級生さんでした。ま、同級生といっても大学ですからね。知らない人ばっかりなんです。
「絵でも買えばいいんじゃないの?」
とすすめましたが、
「いやいや、そんな」
というお返事でした。あはは。
とまれ、清水さん、「ZAKU」のフランス展開、頑張ってくださいね。いや、お互いまだ、現役で頑張りましょう。

ということで、今日の辻村だよりは当事務所の長谷川さんから、質問が来ていました。

匿名希望のHさんから
「先生、若い頃、どういう文学、音楽、映画、芸術、哲学、詩などの影響を受けましたか? 先生はマルチな活動をしていますから、そこが気になります。若い頃の芸術への傾倒の時代、また、その作品名、作家名など、教えてください。また、それは現在にも影響を及ぼしているのでしょうか?」

辻村だより、21

※ パリの日動画廊は、ホテル・ブリストルの並びです。8区周辺の画廊街にあります。グループ展ですが、売れた作品は購入者がすでに持って帰られたので、一部、新しい作品との入れ替えを行いしました。ドラゴンの絵が・・・。笑。



辻村だより、21

※ 父ちゃん、18歳くらいの時の写真ですが、似てますね。今と、そっくり。そして、息子も同じ顔しています。清水さんも若い頃、今と同じだったのかなぁ、やはり、思い出せない。

おこたえしまーす。

「そうですね。実に幅広くアートに触れていましたが、兄や姉はいなかったので、だれの影響で、どこで何に触発され目覚めたのか、ちょっと自分でも不思議です。福岡の小学校時代に、詩を紡ぎ出し、何かの新聞に載ったんですが、それが一つのきっかけかな、背中を押されました。漫画を描きだし、絵に興味を持ち、でも、小学校が帯広だったんですが、ラジオを買ってもらってから音楽に傾倒します。西二条通の古本屋に入りびたり、同時期に谷崎、三島の作品に出合い文学というものを知り、大学で映画研究会に入り映画製作にのめり込み、バンドを結成し、んで、デビューですかね。
この期間に、影響を受けた作品を列記してみます。
今ではなく若い頃(小中学生から高校生くらいまで)に影響を受けた作品、作家は以下です。たぶん・・・。
文学、
ジャン・グルニエ(Jean Grenier)の「孤島」、アルベール・カミュの「異邦人」、ハーマン・メルヴィルの「白鯨」、ウイリアム・ゴールディングの「蠅の王」ゴールディングは図書館で読破して、興奮しました。中学で、帯広の古本屋で谷崎の「卍」に出会い、性に目覚めました。ほほほ。
音楽、
ピンクフロイドの「Meddle」、エリック・サティ「ジムノペディア」、WAR、レッドツェッペリン、沢山。
漫画、
萩尾望都の「11人いる」
映画、
サムペキンパーの「わらの犬」、ジョン・カサべデスの「フェイシズ」
詩、
ポー、ボードレール、ランボー、マラルメ、などの詩、全般。
画家、
ピカソの「青の時代」、(その後のピカソは苦手です)藤田嗣治の初期のパリの絵、佐伯祐三の「郵便局員、全般」
などでしょうか? 
パッと思い出せないのですけれど、個性の強い作家とか作品に強く惹かれておりました。
でも、今でもはまっているのは、音楽だとピンクフロイドですかね。小説を書く時は無音で書きますが、絵を描く時は、ピンクフロイドの「ポンペイライブ」をフルボリュームにして描いていることもあります。音楽が絵に干渉しない範囲で・・・。
ここに列記した作品は大人になって、ほとんど見てもないです。でも、幼少期のぼくにはかなり刺激的で、とくに、フランスの詩人からの影響は大きかった、と思います。こんなお返事でよろしいかな?」

辻村だより、21

辻仁成展覧会情報

フランス日動画廊パリでのグループ展に参加中。3月7日まで。途中で、作品が入れ替わる予定です。
GALERIE NICHIDO paris
61, Faubourg Saint-Honoré
75008 Paris
Open hours: Tuesday to Saturday
from 10:30 to 13:00 – 14:00 to 19:00
Tél. : 01 42 66 62 86

それから、8月5日から、一週間程度(予定)、三越日本橋本店特選画廊Aにて、個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「辻仁成展、鏡花水月」です。

そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催予定しています。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!

そして、電子書籍で「海峡の光」が配信されております。文学の方もどうぞ。

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辻村だより、21



自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。