欧州アート情報
パリ・アート情報「冬に飲みたい。パリのショコラショー事情2026」 Posted on 2026/01/23 Design Stories
あたたかい飲みものが身体に染みるこの季節、フランスで、毎日とまではいかないが、どうしても一度は飲みたくなるドリンクがある。ショコラショー(ホットチョコレート)だ。

夏のあいだは頭の片隅にも残らないショコラショー。しかし寒くなってくると、スイッチが自動で入ったように思い出してしまう。フランス語では、ショコラ(chocolat=チョコレート)+ショー(chaud=熱い)という意味になるのだが、初めて飲んだときにはその濃厚さに驚いた。しっかり溶かしたチョコレートにミルク(レシピによっては生クリーム)を入れているためだ。

フランスのカフェでは、ショコラショーを定番メニューとして置いているところが少なくない。街かどのパン屋・駅構内のスタンドでも、秋冬に期間限定で登場することがあって、通りすがりについ見とれてしまう存在だ。(もちろんチョコレートショップでも!)

※ショコラティエ「アラン・デュカス」のショコラショー
そのテクスチャーは、さらりと軽いものからスプーンが必要なほどとろみのあるものまで。店ごとに個性があるからこそ、冬のあいだにいくつか巡って飲み比べてみたくなる。
とろみあるショコラショーなどは、カップ一杯でお腹が満たされるほど濃厚なのもまた良い。

※HYGGE Paris
さて最近のパリでは、伝統的なカフェではなくモダンなコーヒーショップが大きなトレンドになっている。そんな中で、ショコラショーを主役にした一軒が新しく誕生した。
パリ9区、オペラ座のすぐそばにあるその名も「HYGGE(ヒュッゲ)」。北欧で「居心地のいい空間」を意味する言葉で、その考えを体現した場所だという。
今のパリでは、このようなボーダレスなカフェが増えている。抹茶専門のコーヒーショップや韓国風など、一筋縄ではいかないカフェが本当に多くなってきた。
一方「HYGGE」では、ココアパウダーではなく、本物のチョコレートを溶かして作るショコラショーが提供されている。チョコレートはホワイトチョコ、ミルク、ダークと種類があって、抹茶やコーヒー、ごまなどを組み合わせてアレンジしているのが特徴だ。

※ホワイトチョコのショコラショー「マネー・メイカー」
スタッフに聞いてみると、現在のパリではやはり抹茶が大人気なので、ホワイトチョコレートと抹茶を組み合わせたショコラショー「マネー・メイカー」がもっとも多く注文されているとのこと。面白いネーミングだが、ホワイトチョコレートと抹茶の相性は本当に良くて、従来のショコラショーよりも口当たり軽く、一段と上品な印象を受けた。
寿司やおにぎりがパリで独自の変化を遂げたように、抹茶もショコラショーもきっと、パリ流に姿を変えてきているのだろう。


明るい木目、お洒落なスツール、ミニマルですっきりとした空間も、最近のパリのコーヒーショップらしいと感じる。伝統的なパリのカフェが恋しい時はそちらへ、ドリンクそのものを楽しみたい時はコーヒーショップへ。そんな風に、カフェの選択肢がぐっと広がったことも近年の特徴だ。もちろんサイドメニューも、ドリンクに寄り添うものが並んでいる。

※日本の味噌を使用したパウンドケーキ
ショコラショーに話を戻すと、これはフランス人にとって「子どもの頃から慣れ親しんでいる、冬に欠かせない飲みもの」なのだという。
飲むタイミングは朝・昼・晩といつでも良いが、とくに染みわたるのは週末のブランチでの一杯。カフェでも自宅でも、クロワッサンと一緒に楽しむ時間が至福なのだそうだ。

※キャラメル、生クリームのショコラショー
このように、フランス人に親しまれているショコラショー。コーヒーの代わりに選ばれ、気分転換や自分への小さなご褒美として飲まれる一杯。寒さがもう一段深まりそうなこれからの季節、パリの街でカップを手にする人の姿も、まだしばらく見られそうだ。(お)


