ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「スピリチュアル」 Posted on 2026/02/14 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
今日はちょっとユニークなご質問が届いているので、さっそく、相談窓口を開門いたしましょう。

匿名希望Eさん
「辻さん、いつも相談窓口、面白く拝読させてもらっています。辻さんは霊感について、どう思われますか? 「自分は霊感が強い」とたまに書かれているので、ご体験も含め、どこまで霊感を信じていいのか、どういう角度でそれを認識したらいいのか、知りたいのです。先日、人の紹介で、背後霊が見えるスピリチュアルカウンセリングみたいなものを受けたんですが、「守ってくれている人が4人いる」と言われ、しかも、思い当たったので、当惑というか、けっこう驚きました。その4人はわたしの指導霊とのことです。ああいのうはなんなんでしょうか、辻さんのお考え聞いてみたいです。よろしくお願いいたします」

辻村相談窓口、「スピリチュアル」



おこたえしまーす。

「スピリチュアルカウンセリング、なるほど、面白そうですね。でも、ぼくの場合ですが、何度かカウンセラーにお会いしたこともあるんですけれど、過去にどこかで書いたことを、さも、知っているかのように言われたことがありまして、
「辻さんのおじいさんって、骨で仏をつくりませんでしたか? 白い仏様」
とか・・・。
それ、小説に書いたじゃんって、疑り深い父ちゃんは思っちゃうので、カウンセリングにならないんです。信じる人は救われる、と言いますが、信じるのに苦労する父ちゃんみたいな人間は、スピリチュアルなカウンセリングはむかないです、はっきり申しまして・・・。
ま、でも中には、本物もいらっしゃるでしょうから、いつか、ぼくも実はちゃんとした見える人に見て貰いたい、とは思っています。精神の根本を見抜ける人とかいたら、いろいろと訊いてみたいことがあるんですが・・・。

そもそも、スピリチュアルな人が言ったことに、思い当たれば、それはある意味、当たっているわけですからね、思い当たったあなたは、ラッキーです。何か言われて思い当たらないなら、そこまでのことでしょう。4人の指導霊って、すごいですね。ぼくには誰か見守ってくれている人がいるんでしょうか・・・。年々、いなくなっているような気がしてなりません。そもそもスピリチュアルカウンセラーの人との出会いもないですし、残念ながら、いるんでしょうけれど、皆さん、警戒して、ぼくには近づいてこないんですよね。笑。

さて、霊感に話を戻します。本当は書きききれないくらいの体験をぼくは持っています。結論からいいますと、霊感という言葉は嘘くさいけれど、脳とは別に人間の意識を動かしているものが在るというのはどこかで信じているようなところがあります。
ここからが大事な話ですが、虫の知らせ、ということばがありますが、あれは虫が知らせているわけじゃなく、自分が「かつて気づいていた」ということじゃないかな、と思うことがあります。
細胞が覚えている、と考えてみてください。
これはとっても面白い思考です。人間は生まれてから今日までの間に、何年かかかって、すべての細胞が生まれ変わっています。ぼくのような年齢になると生まれた時の細胞はもはや一つも残ってないかもしれません。でも、前の細胞から新しい細胞へと移る時に、パスされた「細胞の記憶」というようなものがあるのじゃないでしょうか? ぼくはそういうものが薄々ある、と思って生きています。生まれてきた赤ん坊は新しい細胞を持っていますが、その細胞はどこから来たんでしょうか? 母親の胎内で作られ、そこにメッセージがこめられた、と考えるのが自然ですよね。その母親もその自分の母親の胎内で、細胞の記憶をパスされていたのかもしれない。つまり、過去に遡って、人間は自分の過去の記憶の羽根のようなものを引き継いでいるのです。だから、ぼくは在る時、見知らぬ通りを歩いている時に、しんじられないほどの既視感に襲われたりすることがあります。18歳、19歳のころ、この既視感がぼくを滅ぼすほどの勢いで、次々に、おこりました。脳の中のスクリーンに無限の映像が浮かび上がり、ぼくを遠い記憶へと誘い、その結果、創作へと駆り立てたのですが、その細胞の記憶は、今でも、まだ、ほのかにあります。霊感と言ってしまうと怪しい感じになりますけれど、このように考えるならば、自分の知らない記憶が微かに自分にあることは、別に不思議なことではない。懐かしいには二種類あって、現世のものと、自分の知らない時代の記憶、ということになりませんか? この話はまた今度、ゆっくりと続きを語りますね」



辻村相談窓口、「スピリチュアル」

父ちゃんからのお知らせ。

3月7日まで日動画廊でグループ展に参加中ですので、ぜひ!
電子書籍「海峡の光」
パリのオランピア劇場ライブ盤、各配信サイトで配信中。
3月11日に、文庫「父ちゃんの料理教室」大和書房。
3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
10月、パリ、アートフェア出展の予定
同時期、「24時間日仏仏文学イベント」。詳細、決まり次第お知らせします。
11月、リヨンでの個展、決定。明日、打ち合わせがあるので、詳細またお知らせします。
同月、パリでの何かのイベント、予定・・・。
この頃、小説「泡」刊行予定。現在、校正作業中・・・。
他、予定多数・・・。あくまでも、予定ですが・・・。

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