ノルマンディ、ツジ村便り
辻村相談窓口、「あすなろ」 Posted on 2026/03/09 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
さっそく、辻村相談窓口を開きたいと思います。今日は若い男性からの切実なご相談を頂きました。
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匿名希望さん
「辻さん、ちょっと思うような成果が出ませんで、いじけております。「あすなろ」じゃないんですが、明日でいいかな、と思って焦らずコツコツやってきたんですが、やっぱり、あすなろなんです。自分的には頑張ってるつもりなんですが、つめきれないことが多いです。実は、過去を振り返ると、こういう結果が多いんです。熱血男子目指しているんですが、なかなかイメージ通りにはいきません。ビジネスや自分の夢の実現で辻さんが気を付けていることがあれば、教えてください」

おこたえしまーす。
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「はい、まずは、あすなろ、というのは植物の名前ですよね。あすなろはヒノキに似ていることから(ヒノキ科の常緑樹)、「明日はひのきになってやる」の意で「あすなろ」と名付けられたと言われてまして、そこから、「明日こそは絶対やってみせる」と言い続けて出来ない人のことを「あすなろ」と皮肉るようになったんですね。ま、ぼくは個人的に、あすなろ、でいいと思っています。来世でまた恋しましょう、というのは嫌いですが、笑。
でも、こういう悩みを持っているわけですから、そこまで深刻にならないでもきっと出来ると思いますが、ちょっと視点を変えてみたら、いいんじゃないでしょうかね。
ぼくの話をします。
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ぼくが高校生の頃のことです。ぼくは1年生から3年生の半ばくらいまで、柔道部に在籍しておりました。函館西高等学校柔道部、です。笑。
ま、決して強い選手ではありませんでしたが、試合にも出ておりました。
で、3年に高田さんという柔道2段の先輩がいました。この人がマジで強かったんです。よく手合わせというか稽古をつけてくださっていましたが、ある日、もうすぐ稽古が終わりの時間という時に、呼び止められました。
「辻、お前、もう心は稽古が終わっている、と思っているだろ」
高校3年生ですよ。見抜かれました。あと数分で、終わりの時間だったんです。
「あと、3分あるのに、気持ちは終わりに向かってる。でも、3分あれば、腕立て伏せを100回出来る。それをやるかやらないかで強くなるかならないかが、決まるんだ。最後の3分を捨てるやつはどんなに頑張ってもそれ以上にはならない。逆に、最後の3分で今日の稽古に負けないくらいのラストスパートをやった者は必ず伸びる。お前が伸びないのは、最後の3分を捨てているからだ」
これには、衝撃でした。
そして、あれから半世紀たちますが、ぼくは残り3分を頑張るようになったんです。寝る前の仏語の勉強も、寝落ちしても、また、あと、3分、と自分に言い聞かせて、再び目を覚まし、辞書と睨めっこしています。(寝落ちすることも多いですが・・・・気持ちは、前向きなんです)この、高田先輩の「3分の法則」こそ、あすなろを返上できる最大の行動になる、というわけです。
3分で、今は、スクワットを100回はやっています。これが、やろうと思うと、出来るんですよ。
ぜひ、ラストスパートに全精力をかけてみてください。絶対、次回は成功すると思います。
はい、今日も精一杯い生きたりましょう。えいえいおー。

そして、父ちゃんからのお知らせですが、
今週、大和書房から「父ちゃんの料理教室」文庫版。
3月18日に、新刊エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。単行本。
3月30日、「対麺」:場所、横浜、ラーメン博物館。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月4日、小説「泡」、集英社。
10月、パリ、アートフェア出展。
11月5日から22日まで、リヨンでの個展。会場の住所や、画廊連絡先については、また後日、ここで発表します。
11月、7か8日、パリでのライブ、予定、現在交渉中。それにあわせたツアーをしげちゃんが計画中。まもなく、発表で、限定30名。
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そして、父ちゃんが校長をつとめる「帝京×パリ、オンラインアートカレッジ」のHPはこちらです。更新中です。
3月15日で、受講生、締め切りになります。
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