欧州アート・カルチャー情報
欧州アート情報『サグラダファミリア、イエスの塔の完成式典」 Posted on 2026/06/12 林 真弓 通訳・ガイド・イベントコーディネーター バルセロナ
1926年6月10日にこの世を去ったアントニ・ガウディ。
その100年後に当たる今年、彼の命日にサグラダファミリアの主塔「イエスキリストの塔」の落成式が行われた。
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※ 記事の最後に、動画がありますので、お愉しみください。

今年に入ってからバルセロナとサグラダファミリアはこのイベントに向けてすべてを集中させてきたような気がする。市は2026年をガウディ・イヤーとし、ユネスコと国際建築家連合はバルセロナを世界建築首都(World Capital of Architecture)に選定、またローマ教皇が来訪し主塔落成記念のミサを執り行うことが発表された。
全部で18本立つ塔のうち14本目に当たり、最も背の高いイエスキリストの塔が完成したのは今年の2月。ドイツのウルム大聖堂を超え、世界で最も高い宗教建築となった。少しずつ足場が取り外され、ガウディデザインの立体十字架が露わになると街のスカイラインが変わった。
イベントを行う、生誕ファサード前のマリーナ通りはきれいに整備され、目の前の公園の池も修復清掃が行われた。6月9、10日の両日サグラダファミリアは一般訪問者に門戸を閉じ、周辺の通りは封鎖された。

そして6月10日当日。
教皇を一目見るべく、18時前にはサグラダファミリア周辺の沿道に人が集まる。19時すぎ大歓声に迎えられ、パパモビルに乗ったレオ14世が笑顔で手を振りながらサグラダファミリア教会へと向かう。ミサにはスペイン国王夫妻、サンチェス首相が列席。その様子はスペインの国営放送RTVEで生中継された。


厳かなミサの後、やっと日が暮れた22時頃あっと驚くような美しい演出が始まる。イエスの塔の十字架が初めて内側から灯され、夜空に白く浮かび上がる。その後は塔全体が内側から灯されまるで網目模様の切り絵細工のよう。聖母マリアの塔の12芒星や福音史家の塔の翼を持つ彫刻も明るく光り、その斜め上にドローンで描かれたアントニ・ガウディの肖像があらわれ、サグラダファミリアとイエスの塔を見やり、うなづく。

その後、教会全体がライトアップされたと思うと14本立つ塔の間から上に向かって花火が発射されたのだ。放射線状に上っていく花火の光は塔が増えたようにも見え、花が咲いているようにも見える。なんとも幻想的で美しい。


1分半ほどの花火が終わり煙が引いていくと、ライトアップされたサグラダファミリアの姿が残った。教会全体のライトアップに加え、照らされる福音史家のシンボルたち、聖母マリアを象徴する12芒星の点灯、主塔の先端の立体十字架の点灯とそこから四方に放たれるビームライト。

これからこのバジリカは常にこの形でライトアップされるようだ。
2021年12芒星の点灯が始まったときにも夜空に希望の星が点ったようで夜景に魅力が加わったが、十字架と福音史家の4つのシンボルたちの点灯で夜のサグラダファミリアの存在感は圧倒的なものになった。

オーバーツーリズムが問題に挙げられ、サグラダファミリアに訪れる観光客の多さに悩まされることも多い住民だが、この日ばかりは進化を続けるこの未完の教会の偉大さと美しさを再確認し、この街に住んでいることを誇りに思ったに違いない。
1992年オリンピックの際に世界を魅了したバルセロナの創造力と演出の妙は、今回のイエスの塔の完成セレモニーでもう一度発揮された。この街を訪れる人の数はこれからも伸び続けるだろう。


