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パリ・アート情報「パリの橋、ポンヌフが“洞窟アート”に。巨大インスタレーションが登場」 Posted on 2026/06/18 Design Stories
パリのセーヌ川に架かる橋、ポンヌフは、この街でもっとも古い橋だ。そんなポンヌフでは今、長さ120メートル・高さ最大18メートルという、壮大なアートインスタレーションが設置されている。1604年に完成した中世の橋が、現代アートの大舞台になったのだ。

この大型インスタレーションは、フランスの写真家でストリートアーティストでもある、JRが手がけている。作品のタイトルは「La Caverne du Pont-Neuf」で、「ポンヌフの洞窟」を意味している。
その名の通り、パリ最古の橋は、まるで本物の洞窟のような空間へと姿を変えた。これは白・黒・グレーの写真プリントで、トロンプ・ルイユ(だまし絵)の技法を用いているという。インスピレーション源はかつての「採石場」だ。

※最寄りのメトロ駅も期間限定で「Pont-Neuf La Caverne」に名前を変更!

※近づいてみるとかなりの迫力がある
もちろん、作品は中を通り抜けられるよう設計されている。公開期間中は24時間オープンしていて、入場は無料。さらに内部では、音響と香りの演出が施され、スマートフォンを使った拡張現実体験もできる。これは、ルートに隠されたQRコードを読み取ることで、洞窟の世界をさらに深く体験することができるというものだ。
※許可されているのは徒歩での通行のみ。スーツケースや自転車、ベビーカーの持ち込みは不可。

※総重量は5トン。ポンヌフへの負担はないという
実のところ、La Caverne du Pont-Neufは当初、2026年6月6日に一般公開がスタートする予定だった。ところが、今月初旬にパリ中心部を襲った強い突風で、ポンヌフを覆う空気構造物の一部が破損。結局、公開は延期され、現場では昼夜を分かたず修復作業が続けられた。修復を終えて一般に開かれたのは、6月15日夕方のことだった。
ちなみにアーティストのJRは、この際にできた裂け目を、隠すのではなく作品の一部として取り入れている。

※6月16日午前10時頃の様子
実際に訪れた日は、平日の午前中ということもありそこまでの混雑は見られなかった。来場者はみな、簡単な荷物検査を済ませてから洞窟の中へと誘導される。
足を踏み入れてまず最初に感じたのは、奇妙な「音」の存在だった。本物の洞窟の奥深くまで入ったという実体験はないが、そこで吹いているであろう風のリアルな「ピュー」という低音が、最初から最後まで続いていく。
こうした音響を担当しているのは、元ダフトパンクのトマ・バンガルテル氏。同氏は、地下河川の轟音や、風を想起させる音響テクスチャーを作り出したとのことだ。


※鍾乳洞のリアルなプリントも
一方で、匂いの演出はかなり控えめな印象を受けた。これはフランスの香水メーカー、Odore Scolaと香りの専門家であるSarah Bouasseが設計した、鉱物・湿った土の匂いであるという。しかし音響のインパクトが強いせいか、意識していないとその匂いの存在には気づかないかもしれない。

所要時間は、写真を撮影しながらゆっくり歩いて、およそ5分ほど。演出としての訴求力 は非常に強く、嗅覚や聴覚よりも視覚的な印象が一段上回ると感じた。
なお、右岸側(デパートのラ・サマリテーヌ側)からは入場できないため注意が必要だ。左岸から右岸への一方通行になっており、入場するにはアンリ4世の騎馬像のところまで行かなければならない。

※左岸側、アンリ4世の騎馬像
こうして完成したLa Caverne du Pont-Neufは、近年でも最大級のインスタレーションのひとつとなった。作品は、クリストとジャンヌ=クロードの芸術家夫妻が、1985年にポンヌフを砂色の布で包んだ作品『The Pont Neuf Wrapped』へのオマージュでもある。
さらに、今回は18,900m²の布地が使われたというが、これは欧州で生産され、25人の職人による手作業で仕上げられている。展示終了後の展開としては、保存もしくはリサイクルの道が検討されているという。
そんなLa Caverne du Pont-Neufは、6月28日までの毎日、入場無料で公開されている。(大)



