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パリ最新情報「一石二鳥の食費節約アプリ『Too Good To Go』、フランスで拡大中!」 Posted on 2023/10/19 Design Stories  

インフレが食品価格に影響を及ぼしている今、フランスではあるアプリに大きな注目が集まっている。
これまでにも何度かパリ最新情報にて紹介させていただいた、食品ロスを無くすためのアプリ「Too Good To Go」が、2023年10月現在、すっかりフランス人の間に浸透し、ユーザー・加盟店ともに大幅に増えている。

Too Good To Goは、食品ロス対策市場における主要企業の一つだ。
もともとはデンマークから始まり、2016年頃からフランスにも浸透し始めた。
食品廃棄に関しては以前から積極的に取り組んでいたフランスであったが、2021年から続くインフレの影響で2022年初めからダウンロード数が急激に増えているとのことだ。

仕組みは、パン屋、スーパーマーケット、惣菜屋などの食品店が、その日に売れ残った食材を袋にまとめて元の価格の3分の1で提供する。
何が入っているかは開けてからのお楽しみ。しかし、パン屋だったらパンが、ショコラティエだったらチョコレートが、スーパーであれば「野菜セット」などと表示されるため、ある程度は事前に目星が付く。

例えば12ユーロのものを4ユーロで購入できるというのだから、大きな節約になり食品ロスにも貢献できる。
アプリのユーザー数は仏国内で約1,100万人を抱え、加盟店は約32,000店舗にもなった。
ゼロウェイストもさることながら、最近の動向では、ユーザーのおよそ70%が「節約目的」であるという。

パリ最新情報「一石二鳥の食費節約アプリ『Too Good To Go』、フランスで拡大中!」



加盟するお店は、街のパン屋さんからスターバックス、メゾンデュショコラ、エリック・カイザーといった有名店までさまざま。
そして最近になって人気が出ているというのが、ホテルの朝食セットだ。
ホテルの数が多いパリでは、朝食をバイキング形式で提供している。
ところがバイキングだと食材が多く残るため、廃棄問題に頭を抱えるホテルは少なくなかった。

そこでToo Good To Goに加盟するパリ中心部のホテルが大きく増えた。
たとえば数個のクロワッサン、ハム、ゆで卵、フルーツ、ドリンクのセットを2,49ユーロ(約330円)で提供しているという。
ホテル側は正午前にアプリで情報を流し、欲しいと思ったユーザーは予約をして指定の時間に受け取りに行く。(支払いもアプリ)
ホテルは立地も良くアクセスしやすいため、パリの大学に通う学生さんをはじめ、近隣オフィスワーカーの節約ランチとなっているのだ。少し時間差は出るものの、味には全く問題がない。

パリ最新情報「一石二鳥の食費節約アプリ『Too Good To Go』、フランスで拡大中!」

https://www.instagram.com/p/BcAdkkyFzie/
出典:Too Good To Go フランス公式インスタグラムより
※前菜、メイン、デザートのフルコースで4.8ユーロ



レストランの数が多いパリでは、昼間に消費しきれなかった料理を夕食向けに提供するところも多くある。
平均では5ユーロ前後のものが最も多く、元の値段の半額から80%オフになるように設定されている。
星付きレストランやマンダリン・オリエンタルホテルも参加しており、あらかじめタッパや紙袋を持参するよう画面表示されるのも良い。

ただ、Too Good To Goはあくまでも食品ロスの削減が目的のアプリなので、デリバリーまではしておらず、ユーザーは食品を指定することもできない。
ということで、近場の店を把握しておくことが大事で、アレルギーや好き嫌いのある人は注意が必要だ。
気を付けることはこの2点だが、やはり節約できるに越したことはない。
クリスマスケーキやイースターのエッグチョコなど、期間を過ぎたら捨てられる運命にある食品の救済にもなる。

高い税金と住宅費に加え、加速するフランスのインフレ。
人々の関心は、「賢く節約し、賢く消費する」ことだ。毎日の食費から見直すべく、この一石二鳥のアプリに注目が集まっている。(大)

パリ最新情報「一石二鳥の食費節約アプリ『Too Good To Go』、フランスで拡大中!」

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