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パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」 Posted on 2025/08/30 Design Stories  

 
「現代アートって難しそう」「少し近寄りがたい」。パリには、そんな印象をガラッと変えてくれる美術館がある。パリ16区、セーヌ川沿いに位置する「パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)」だ。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

 
パレ・ド・トーキョーの建物は、1937年のパリ万博のためにつくられたという。神殿のような外観とは裏腹に、粗削りな内部がとても印象的で、ちょっとした「格納庫」のようなイメージもある。まずはそのギャップに、多くの人が心躍ることだろう。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」



 
パリにはポンピドゥ・センターやブルス・ドゥ・コメルス(ピノー・コレクション)といった、現代アートの一大拠点がある。しかし、パレ・ド・トーキョーはもっと自由で、もっと挑戦的。整えられた美術館というよりも、アーティストのラボ(実験室)を覗くような感覚だ。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※常設展示を持たず、常に企画展が入れ替わるパレ・ド・トーキョー

 
さらに嬉しいのは、2025年の夏季限定で、毎週木曜日の夜が入場無料になったということ。これは「現代アートをより多くの人々に親しんでもらおう」という、パレ・ド・トーキョーの粋な計らいだった。そのため今夏は、アルゼンチンのヴィヴィアン・スーターやベトナムのトー・グエン・ファンをはじめ、世界各国のアーティストのダイナミックな作品が展示されている。
期間は2025年7月17日から9月4日までと短いが、大好評ということで、もしかしたら今後も継続開催されるかもしれない。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※『Fantasías(幻想)』エリザベート・ヴィルト作(オーストラリア)

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※『Coloriage(塗り絵)』ジュリアン・カレマール & タミ・ナビル作(フランス)

 
壮大な空間を活かした展示は、絵画や彫刻、写真、映像、さらにはサウンドアートまで、とにかくジャンルが幅広い。空間もアーティスティックで、それを含めたアート体験こそが、パレ・ド・トーキョーの一番の魅力だと思う。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」



パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※作品のソファに横になって天井(こちらも作品)を鑑賞

 
歩き進めると、壁や柱、ソファ、そして天井までもが作品の一部に変わっていた。
しかし鑑賞スタイルに大きな決まりはない。この自由さも、パリの美術館の素晴らしいところだ。一方で作品のテーマとしては、ジェンダー・環境といった社会的な問いを扱うものが非常に多かった。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※「準備中」のスペースさえ展示の一部に見えてしまう



 
強いメッセージ性を持ちながらも、型破りでユーモラスな作品たち。現代アートを前にすると、「これは何を意味しているのだろう?」と考えてしまうことがあるが、パレ・ド・トーキョーの自由なフィールドでは、そんな構えも必要ないのだと思うことができた。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

 
パレ・ド・トーキョーではおそらく、ルーブルやオルセーといった“巨匠の美術館”とはまったく異なる体験が待っている。アーティストも来場者も、比較的若い世代が中心。そんな次世代のアーティストが生まれる現場に立ち会えていると思うと、大型美術館とはまた違った嬉しさがこみ上げてくる。
 

パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※併設のブックストア



パリ・アート情報「現代アートってこんなに面白い。パレ・ド・トーキョー、夜の特別開館へ」

※併設のカフェ

 
普段は身構えがちな現代アート。しかし、パレ・ド・トーキョーの「人懐こい」展示を観たら、その考えも変わるかもしれない。セーヌ川沿いには名だたる美術館が立ち並んでいるが、気軽に立ち寄れる距離感の美術館として、ぜひ選択肢に入れてみてほしい。(オ)

【パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)】

住所:13, avenue du Président Wilson, 75116 Paris
開館時間:月、水、金、土、日:12:00〜22:00、木曜:12:00〜24:00(火曜定休)
入場料:一般:13€〜、2025年7月17日〜9月4日は、毎週木曜夜(19:00〜24:00)の入場が無料
 

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