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パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」 Posted on 2025/10/30 Design Stories  

 
パリのモンパルナスという街に、ちょっとした“名物マルシェ”がある。もう30年も続いている街の小さな伝統で、毎週日曜日に欠かさずオープンしている。「Marché de la Création(マルシェ・ド・ラ・クレアシオン)」と呼ばれる、アート専門のマルシェだ。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」



 
場所は、モンパルナス駅からも近いエドガー・キネ大通り。絵画やイラスト、立体作品やジュエリーなど、さまざまなジャンルのアーティストたちが、自ら作品を並べ紹介している。もちろん気に入った作品があれば、その場でアーティスト本人から購入することもできる。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」

 
まるで野菜のマルシェのように、とてもアットホームな雰囲気のマルシェ・ド・ラ・クレアシオン。通りを歩くと、テントの下に作品がたくさん並んでいて、作家たちも「ボンジュール!」と笑顔で声をかけてくれる。
中には「久しぶり、元気だった?」と、常連らしき客と挨拶を交わす姿もあって、ここが人とアートの交流の場であることが伝わってきた。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」

※アーティストとの距離が近いところが嬉しい



 
実はモンパルナスの芸術マルシェ、スタートは20世紀初頭にまでさかのぼる。この地域ではかつて、モンマルトルから流れてきた若い画家たちが、地面にキャンバスを並べて作品を売っていたそうだ。キャンバスやスケッチを腕に抱えた彼らは、近くのカフェで商談をしたり作品を見せ合ったりしていたという。
そして見事取引が成立したときには、得たお金で周囲の恵まれない人々と食事を分かち合っていた……。そんな心温まるエピソードも、公式ホームページにしっかりと残されている。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」

 
昔の人々はこれを、冗談まじりに(野菜の)「カブ市」と呼んだそうだ。しかし、その“野菜市”こそが「マルシェ・ド・ラ・クレアシオン」、そして「アートの街モンパルナス」の原点になった。
というのも、シャガールやモディリアーニといった名だたる画家たちが、ここから羽ばたいていったと言われている。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」



 
1994年には地元のアーティスト、アンドレ・フェルテン氏の呼びかけによって現代版の「マルシェ・ド・ラ・クレアシオン」が形になった。以来、毎週日曜になると、通りにはパリ中からアーティストやクラフト作家が集まるように。規模は決して大きくないものの、人々とアートがゆるやかにつながる素敵な場所になっている。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」

 
出展されている作品は、すべて審査を経ているという(現在はパリ市が運営)。ジャンルも本当に幅広く、どれも丁寧に作られた一点もの。ただ、いちばん多いのはやはり絵画で、タッチもサイズも値段もすべて異なるさまざまな作品が並んでいた。
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」



 
このようにマルシェ・ド・ラ・クレアシオンでは、約60人ほどのアーティストがそれぞれのスタイルで作品を紹介している。
観光客よりも地元パリジャンが多く訪れるため、日曜日の素朴なパリの空気を感じるにはちょうどいい場所かもしれない。周囲には雰囲気のあるカフェやレストランも多く、ブランチのあとに立ち寄る人の姿もよく見かける。(大)
 

パリ・アート情報「パリ・モンパルナス“芸術のマルシェ”で見つける、日曜日のとっておき」

 
【Marché de la Création(マルシェ・ド・ラ・クレアシオン)】

開催:毎週日曜日(10時〜19時ごろ)、入場無料
場所:Boulevard Edgar-Quinet, Paris 14e
最寄駅:メトロ6号線「Edgar Quinet」または「Montparnasse-Bienvenüe」
 

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