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パリ・アート情報「パリで選ぶ文房具、街を映す紙のかたち」 Posted on 2026/02/14 Design Stories
パリの文房具屋さんに入ると、どういうわけか長居してしまう。日本にもステーショナリーグッズはたくさんあるが、こちらでは「パリ」そのものをモチーフにした品が多いせいか、物珍しくて、欲しいものが次々と見つかってしまうのだ。


※パリの本屋&雑貨店「Brentano’s」
パリの文房具店で気になるのは、まず紙もの。カード、シール、レターセットのコーナーを見ていると、「ああ、やっぱりフランスだな」と思うようなデザインによく出会う。


たとえば、星の王子さまのグリーティングカードはフランスならではだし、パリの名所をイラストにした“パズル型”のグリーティングカードなどは、自宅に飾っておきたいほどのキュートさ。パリ土産としても良さそうだ。
一見すると“よくある”形状でも、描かれているモチーフが変わるだけで、不思議と新鮮に映ったりする。
そうこうしているうちに、しばらく遠ざかっていた机との時間を、久しぶりに取り戻したくなってくる。文房具店に足が向く理由は、きっとそんなところにもあるのかもしれない。

大人になってからはほぼ使うことのない「シール」も、そのうちの一つだと感じる。少し前まではエッフェル塔や凱旋門、バゲットといった王道モチーフが多かったのだが、今のパリではもう少し現代的なものが目立っていた。甘くないデザインなので、ラッピング用・ギフト用にも良さそうだった。

※ノート
とはいえ、フランスでも(学生さんを除けば)文房具を日常的に使う人は、以前より減っているのだとか。彼らがステーショナリーを買う場所としてよく行くのは、チェーン展開の店舗、ショッピングモール、もしくはオンライン。
ということで、独立した文房具店はパリでは数えるくらいしかなくて、実は「目的地」として訪れるような存在になっている。

※プリントを収納する紙製のファイル

パリ3区にある「L’Ecritoire(レクリトワール)」も、そんな目的地の一つ。ちいさなお店ながら、ここでは万年筆インク、絵葉書、シーリングスタンプなど、幅広いアイテムがそろう。
そして出会うのは、お土産というより自分へのギフトとして持ち帰りたくなる品々。選ぶ時間そのものも、少し贅沢に感じられて楽しい。


フランスらしいペンとインク類がずらっとショーウィンドーに並んでいる様子は、それだけでヨーロッパらしい趣がある。こうして眺めているうちに、やはり文字を打つ、ではなく、久しぶりにきちんと書いてみたい、としみじみ思えてくる。

※使い方いろいろ、封筒
ステッカーやラッピング小物も可愛らしく、日本ではなかなか見ないデザインを発見することができた。半透明の封筒は思わず手に取るほどのデザインで、何に使おうか? と想像がふくらむ。線が華奢だったり、色味も控えめだったりと、大人が使っても浮かないところがまた嬉しい。

このようにさりげないときめきがあるのが、パリの文房具屋さんの特徴だ。軽くて、何よりかさばらない文房具は、普段の買い物でも旅先でも求めやすい。
さらに印象的だったのは、桜や抹茶といった日本のモチーフを、以前よりも多く見かけたこと。日本からはるばる運ばれてきた、メイド・イン・ジャパンの文房具も非常に多かった。フランスと日本は、文房具においてもなにか通じるものがあるのかもしれない。

気をつけていないと、当初の目的とは違うものまで手に取ってしまうのがステーショナリーの楽しいところ。しかしパリの文房具屋さんでは、そんな寄り道のような買い方がいちばん似合うのだと思う。(せ)


