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パリ最新情報「フランスはパンの季節。皆から愛されるバゲットの秘密」 Posted on 2024/05/29 Design Stories  

 
日本で「フランスパンの日」といえば11月28日だが、本場フランスでは5月16日になっている。
この日、正確には「サントノレ(Saint-Honoré )の日」という。サントノレはフランスで“パン職人の守護聖人”とされていて、5月16日はその命日にあたる。
※フランスの暦には一年の日々に聖人の名前が付いている。日本の大安/仏滅といったイメージに近い。

そのため5月に入ると、フランスではパンにまつわるイベントが目白押しになる。
パリのベスト・バゲットコンクール、ノートルダム大聖堂前のパン祭り、バゲットにちなんだグッズの販売など、フランスの5月は一年でもっとも「熱いパンの季節」と言えるだろう。
数あるパンの中でも、主役はもちろんバゲットだ。また期間中はバゲットだけでなく、職人たちにもスポットライトが当たる。その熱量からは、フランスのバゲットが“いかにユネスコ無形文化遺産にふさわしいものだったか”が伝わってくるようだ。
 

パリ最新情報「フランスはパンの季節。皆から愛されるバゲットの秘密」

※バゲットにも複数の種類がある。上段、左からパン(サイズ大)、バゲット、トラディション、モルヴォンディオ(複数の小麦を使用)、シリアル



 
朝食、ランチ、夜ごはん、おやつと、いつもテーブルのどこかにあるバゲット。
バゲットにもいろいろな種類があるが、ブーランジュリーではバゲットとトラディションの二つに代表される(製法が異なる)。
バゲットより少し高く、サイズの小さいトラディションは外皮がパリっと固く、より小麦の風味を味わえるためフランス人からも人気だ。
その製法は法律で守られるほどで、文化遺産登録時はマクロン大統領も「250gの魔法」と称賛していた。
 

パリ最新情報「フランスはパンの季節。皆から愛されるバゲットの秘密」

※重さ250g、長さ80cmと決められているトラディション。バゲットよりもこんがりキツネ色で、材料は小麦粉、水、塩、酵母のみ。添加物はNG、焼き上げは販売されるブーランジュリーで行わなくてはならない。



 
このように、フランス人のバゲットへの思い入れは並々ならぬものがある。
今では食のグローバル化でいろいろな選択肢があるものの、どんな食事にもバゲットを欠かさないというフランス人は少なくない。筆者の親戚(仏人)もそうであり、彼は「バゲットがないと食事自体できない」と語っていた。
バゲットを愛して食べるだけでなく、それを守り、次の世代に伝えていこうとする努力もフランスならではと言えるだろう。

一方、街のブーランジェリーは日本のコンビニほどあり、誰もが“お気に入りの店”を少なくとも一つは見つけている。
一人や二人では少し大きいバゲットだが、街のブーランジェリーで「ドゥミ(半分)」と言えば二等分したものを半額の値段で提供してくれる。
そんな心遣いも、人々がブーランジュリーに通い続ける理由なのかもしれない。
 



パリ最新情報「フランスはパンの季節。皆から愛されるバゲットの秘密」

※焼きたてバゲットの香り付き切手。

 
最近では、「サントノレの日」にちなんだバゲットの切手が発売された。
こちらはなんと、“焼きたてバゲットの香り付き”切手だ。フランスの郵便局ラ・ポストが文化遺産登録を記念して作ったもので、約60万枚の限定発売になる。
香りは指でこすると立つ仕組みになっていて、特殊なカプセルがインクに含まれているという。実際にこすってみると、ほのかに甘く香ばしい、湯気のような香りが確認できた。

発売したラ・ポストはバゲットについて、「わたしたちの文化の宝。フレンチガストロノミーの象徴であり、日常生活そのものである」と述べている。
これほどまでに愛されるバゲットは、フランス国内で1日に約1600万個、年間60億個が生産されているという。(コ)
 

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