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パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」 Posted on 2022/05/18 Design Stories  

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

 
先週末は穏やかな陽気に恵まれ、フランス国内のあちらこちらで園芸市が開かれた。
今回は、シャンティイ城の庭園で開かれた園芸市をご紹介。
昨今、注目されている、日本庭園や盆栽の影響も垣間見えたのでお伝えしたい。
 

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

 
1774年に建てられたシャンティイ城は、パリから60Kmほど北に位置し、115ヘクタールという広大な庭園。
フランスで一番有名な造園家と言われている、アンドレ・ル・ノートルによる設計だ。
庭園がこのシャトーの売りのひとつと言っても良い。
 



パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

※購入したものをミニトラックに載せて持ち帰る人

 
さて、そんな素晴らしい庭園で、年に一回、園芸市が開催される。
全部で200店舗の露天が立つが、主に屋外用の観葉植物が多い。
各園芸店、苗床農家、みな専門性を持っているのが、見ていてわかりやすく楽しい。
柑橘樹木専門だったり、食虫植物専門、面白いものではエアープランツや、観賞用のイネ科の専門店まで。
 

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

※こちらは室内観葉植物の移動販売トラック

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※金柑や柚子なども

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※エアープランツ専門店では、ココナツの殻などを利用した天然素材のスタンドもセットで販売

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※観賞用のイネ科の植物だけでも、こんなにバリエーション豊か

 
どんどん飛ぶように売れていたのが、キングプロテア、そしてレウコスペルムム・コルディフォリウムという、南アフリカ原産の植物を扱っている店だった。
キングプロテアは、パリでは、たまに切り花を見かけるぐらいで、めったに市場に出ないし、とても高価。
自宅で鉢植えを育てられたら良いなと思いつつ、昼前には完売していた。
店舗に並んでいたものは全て予約済み。
 

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

※キングプロテアは南アフリカの花



 
多肉植物の専門店は、何件かあり、まさにブームの最中にあることを感じた。
その中でも、半球状の土から割って生えたような鉢の寄植えはとても魅力的で、思わずひとつ購入。
お店の人に「こんなに素敵だったら、さぞや人気でしょう?」と聞くと、無言で首を横に振った。
多肉植物を購入している人たちに注目すると、どうやら自分の好みに寄植えするのが醍醐味らしい。
よって、既に形になってしまっているものは、愛好家からはあまり興味を持たれないようだ。
 

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

※半球状の土を割って生えたような寄植え

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※ハートや星型にもなる多肉植物

 
この市で、ひときわ目を引いていたのが、日本の園芸用品を扱う店。
日本語のノボリがはためき、気になって近づいていみると、2人のフランス人男性が流暢な日本語で話しかけてきた。
「なんでこんな田舎に日本人がいるんですかー!?」。
聞けば、ひとりは通りすがりのお客さん、もうひとりはこの店のオーナーで、たまたまこの場で出会い、意気投合し、日本の園芸について、熱く語り合っているところだった。
 

パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

※お客さんのアンリさん(左)、店主のオリビエさん(右)

 
店主のオリビエさんはペイザジスト(造園家)で、日本で庭師道具の使いやすさに惚れ込んだ。
フランスに戻ってくると、それらの道具を仕事仲間に貸し、欲しいという人たちの要望に応えているうちに、道具の販売が専門になったという。
フランスでは、日本庭園のオーダーも少しずつ増えているが、手入れの頻度や、気候差の問題などがあり、フランスの樹種で日本庭園風の再現を試みているという。
「竹垣」、「茶庭」、「枯山水」などの日本庭園に関する専門用語が会話の端々に出てくるオリビエさん。
「日本庭園のブームはこれからだ」と語る。
 



パリ最新情報「シャトーの庭園で開かれる園芸市で日本ブームの兆し!」

 
園芸市では他にも、楓や柚子、盆栽用の植木鉢の専門店などが並び、フランスでの日本人気は園芸業界にも波及したことが伺える。
フランスで見つける日本文化は、その真髄を理解しようとするフランス人の熱意を通じて、改めてその良さに気付かされる。(ウ)
 

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