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パリ最新情報「フランス人が好きなフランス企業とは? 最新調査の結果が明らかに」 Posted on 2021/11/16 Design Stories  

 
11月13日、「フランス人が好きなフランス企業2021年度版」の調査結果が発表され、フランスの消費動向が明らかになった。

これは、調査会社Ifopと仏紙Journal du Dimancheにより作成されたもので、18歳以上のフランス人3005人を対象に、9月28日から10月7日まで行われたアンケート結果に基づくもの。77のフランス大手企業が参加した。

1位となったのは、スポーツ用品店のデカトロン(Decathlon)。
フランス北部・リール近郊で設立された企業で、54か国に1500以上の店舗を持つ世界最大のスポーツ用品チェーンストアである。
デカトロンは顧客満足度、環境対策、デジタルテクノロジー、価格帯、労働者がこの会社で働きたいかどうか、といった評価基準においてどれも高得点をマーク。
ロックダウン中にスポーツを始めた人が増えた、というのも理由に上がったようだ。

続いて2位は自動車会社のプジョー(Peugeot)。
2021年1月には新CEOにイギリス人女性のリンダ・ジャクソン氏が就任し、「世界で3人しかいない自動車メーカーの女性トップのひとり」として脚光を浴びた。
「ブランドが創設されてから211年、常に世界で受け入れられていることを嬉しく思います」とコメントを発表している。
 

パリ最新情報「フランス人が好きなフランス企業とは? 最新調査の結果が明らかに」



3位は大手スーパーマーケットのルクレール(E.Leclerc)。
ルクレールは良心的な価格設定、BIO製品の充実度、店舗独自のブランドを持つことで知られている。
現在フランスではコロナ禍を経て「メイド イン フランス」製品が人気だが、ルクレールでは以前よりこれに力を入れてきた。
ロックダウンにおいてたくさんの人が利用したスーパーマーケットは今回のTOP50でも多くランクインし、アンターマルシェ(Intermarche)やオーシャン(Auchan)など、郊外型の大型スーパーマーケットが台頭した。

4位にはブリコラージュ(日曜大工)専門店のルロイ・メルラン(Leroy Merlin)、そして5位に化粧品会社のイヴ・ロシェが続く。
6位のEDF(フランス電力)は過去に人気の高い企業であったが、電気料金の高騰を理由に昨年の3位から下落。
その他にもミシュラン、ロレアルなど、知名度の高い企業がTOP10にランクインしている。
いずれも消費者にとって適切な価格かどうか、パンデミックでの興味関心の移り変わりが考えられる結果となった。



そして今回、各紙が注目したのが11位につけたドクトリブ(Doctolib)である。
ドクトリブは2013年に設立されたフランスの新興企業。サイトに登録するとインターネットで簡単に病院の診療予約を取ることができる、といったオンラインサービスを提供している。
以前は非常に複雑で時間のかかったフランスの診療予約も、ドクトリブの登場によって大幅に改善された。
今年はワクチン接種の予約をする上で重要な役割を果たし、フランス国内で数千万人のワクチン接種を促進したという。
フランス各紙はドクトリブがランキング圏外から一気に11位に浮上したことを「最も注目すべき現象」とし、その利便性を評価した。
 

パリ最新情報「フランス人が好きなフランス企業とは? 最新調査の結果が明らかに」

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ちなみに「メイド イン フランス」製品については、近年のフランスでも大きなスポットライトを浴びている。
透明性、安全性を重視した「国産品」に惹かれるフランス人は増える一方で、国としても力を入れていることが伺える。
昨日14日まで開催されていた、パリの「メイド イン フランス見本市」には次期大統領候補も多く参加。そこにルペン氏や「仏版トランプ」のゼムール氏といった保守派の姿があったのが印象的だった。

また今回の調査結果では、観光業が一切ランクインしていないのが引っかかった。
観光大国フランスがこれからどう動くのか、またフランス国民の選好がどう変化していくのか、来年の動向も気になるところだ。(大)
 

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