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パリ最新情報「次なるブーム来るか⁈にわかに噂される日本の沖縄料理」 Posted on 2022/01/16 Design Stories  

このコロナ禍で、私たちの食に対する意識が随分と向上した。
自炊や脱ジャンクなど、健康的な食生活を送ることは免疫力アップにもつながる。
ここフランスでも人々の健康志向はかつてないものとなり、パンデミックが始まって2年に差しかかる今でもさまざまなメディアが「ウェルネス」について言及している。

そんな中、仏マダム・フィガロ紙は今年1月上旬に「沖縄料理、100歳を生きる日本の秘訣」とする特集を組んだ。日本の沖縄がなぜ長寿の島と言われているのか、沖縄の人々のライフスタイルや食生活にフォーカスしたものである。

日本に好印象を持つフランス人は非常に多いが、ピンポイントで沖縄、しかも沖縄料理に詳しいという人はほとんど見かけたことがない。
沖縄に行ったことがある人であれば、日本人でなくてもその魅力に虜となるものの、パリでは東京や京都の情報が先行して広がっている。そんなフランスメディアが、「最新情報」として沖縄を紹介したのだ。

パリ最新情報「次なるブーム来るか⁈にわかに噂される日本の沖縄料理」

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今回、マダム・フィガロ紙はとりわけ沖縄の古くから伝わる食生活に注目した。
まず現在の世界最高齢者に輝いているのが、日本の福岡市に住む119歳の女性だと紹介。
そしてそこから遠くない沖縄という島では、人口10万人あたり42人が100歳以上であること、その数が実にフランスの3倍であることに視線が向けられた。

実は、世界には「ブルーゾーン」に指定された世界5大長寿地域というものが存在する。
イタリアのサルデーニャ島、米国カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコヤ半島、ギリシャのイカリア島、日本の沖縄の5つで、それぞれの生活習慣や環境要因がどう長寿に影響しているのか、世界の科学者たちの研究の的になっているというのである。

フランス人の内分泌代謝科医および栄養士のピエール・ニース氏によれば、「沖縄が長寿の地である原因は、とりわけ彼らの優れた食生活に関連しており、より少ない量で、バランスの取れた食事、そして毎日の身体活動からくるもの」だという。
特に、沖縄の高齢者たちが海ブドウやもずくといった海藻を日常的に食べること、島豆腐など植物性タンパク質が豊富なこと、毎食後にデザートを食べないこと、肉より生魚が多いことについて大きく触れた。

パリ最新情報「次なるブーム来るか⁈にわかに噂される日本の沖縄料理」



さらに記事の中では、栄養士であるシルヴィー・ノード氏が沖縄の「ソーキそば」が昼食として理想形であるとも述べている。
肉をグリルするのではなく、スープに漬け込むことによって脂肪が落とされ、結果的に消化が良くなりタンパク質を十分に採ることができる。また、カツオや昆布を出汁に取る日本の「出汁文化」にも着目し、これは脂肪分が少なく栄養素をバランスよく採ることができると紹介している。

もちろん沖縄の食生活だけではない。「ゆんたく」と呼ばれる話好きな島民性、「ゆいまーる(助け合い)」、「てーげー(いい加減ではなく、良い加減)」の精神も長寿に影響している、とした。
これは世界の「ブルーゾーン」すべての地域でも見られる特徴だそうで、他にも【日常的な軽い運動、生き甲斐があること、適度なお酒、ストレスを避ける方法を身に着けていること、時間と愛を子孫へ投資すること、自助ではなく互助】などが重要であるとしている。

どの地域でも禁欲的なことは全くしておらず、コミュニティの中で役割をもって生きている、というのが印象的だった。



パリ最新情報「次なるブーム来るか⁈にわかに噂される日本の沖縄料理」

米ワシントン大学の研究では、今世紀中に世界の長寿記録が130歳に達する可能性が100%であることが分かった。
ただ、長寿であること以上に、その過程でよりよく生きる、自己実現こそが目的でありゴールであるとする人はフランスにも多い。人生を楽しむことに長けているこの国の人々にとって、沖縄のポテンシャルは共感できるものがあるのではないだろうか。
真新しさを求めるパリが、次なるブームとして沖縄料理を紹介する日も近いのでは。(せ)

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