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パリ・カルチャー情報「フランス高校生の抗議拡大。なぜ、ここまで怒っている? 」 Posted on 2026/10/09
フランスにおける若者の抗議運動は、収まる気配をまったく見せていない。 10月8日(木)には、パリをはじめフランス全土で高校生および大学生による動員が行われ、地域内の複数の学校が朝から封鎖された。
デモ参加者は、イル・ド・フランス地域圏(パリ首都圏)における複数の県庁舎前にも集結。午後3時には、その全員がパリのバスティーユ広場に集結することが呼びかけられている。また、パリ市内では複数の地下鉄駅が閉鎖され、一部の路線で運行にも影響が出るほど大きな事態となった。

フランスの高校生たちはなぜこれほど怒っているのか。
きっかけは、パリ郊外・クレテイユのサン=テグジュペリ高校での抗議行動。9月17日に、教員の一部がストライキを決行したのだ。
その理由は、あまりにも多くの職員が不足し、現場が疲弊していたこと。そんな教師たちのストライキを見ていたのが、同校の高校3年生たち。複数の生徒が「自分たちも声を上げよう」と話し合い、そして翌朝には、学校の前にゴミ箱やフェンスを置き、「ブロキュス(blocus、学校封鎖)」を始めたのだった。
この抗議行動は、SNSを通じてまたたく間に各地へ拡大。教員不足だけでなく、クラスの過密化、老朽化した校舎と設備、学校を取り巻く環境へのあらゆる不満、さらには社会の閉塞感、不透明な将来など、いろいろな不満がエスカレートし多方面に広がったのである。
「何かを壊したいわけじゃない。自分たちの権利を主張したいだけ」
とする高校生がいる一方で、その意図とは別の暴動も起きてしまっている。たとえば10月5日、フランス北部の街ランス(Lens)では、15歳の男子高校生が、警察との衝突の中で音響手榴弾(grenade assourdissante) の爆発に巻き込まれ、左手の切断手術を受けるという重大な事件が起きた。
少年が地面に落ちた手榴弾を拾ったのか、投げられたものが手に当たったのか? 現時点では双方の証言が食い違っているといい、国家警察総監察局(IGPN)が捜査しているという。しかし、少年の母親は「息子の将来は台無しになった。若い人たちにそんなものを使うなんて、あってはならないこと」と述べ、警察が使用した武器を問題視して提訴する意向を表明している。7日には、フランスのローラン・ニュネズ内務相は、高校生の抗議運動に対する「音響手榴弾」の使用を一時停止すると発表した。

そうした事態を受け、8日午前、ジェフレイ教育相はランス(Reims) の高校、Raymond Kopaに到着。生徒たちが困っていることや期待を直接聞く「temps lycéen(高校生との対話の時間)」を設け、高校生団体と8日15時に教育省で会談する予定だという。
とはいえ、抗議そのものはまだ終わっていない。10日8日には「Acte IV(第4段階) 」に入ったといい、8日朝の時点ではフランスの375校で、授業が全面的または部分的に停止しているという報道が出ている。
また、今回の抗議行動は、「先生が足りない」から一歩進んで、教育格差・郊外とパリ中心部の格差という、フランス社会の大きなテーマにもつながっている。きっかけは一部の人々による小さな声であっても、それが共感を集めて全国に広がり、社会の構造そのものに対する不満を浮かび上がらせていく。こうした展開は、フランスの抗議行動でよく見られるものだ。
ただ今回の若者たちの抗議は、ニュースで映し出されるほど単純ではない。「高校生だけの抗議」から、大学生、保護者、教師、労組まで参加するより大きな社会運動へと広がっているためだ。フランスのルコルニュ首相は、10月末にも具体的な対応策を発表するとしているが、果たして彼らはそれに納得するのだろうか。引き続き注目したい。 (ち)


