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パリ最新情報「希望へと向かう春うららのフランスだより」 Posted on 2021/04/19 Design Stories  

1年前の今頃は非常に過酷な第一次ロックダウン下に置かれていた。
あの頃を思うと、フランスはずいぶんと様変わりをした。
今日、パリ周辺は好天に恵まれ、桜は散りかけているが、うららかな日常が、もちろん、何か欠けたものを抱えてはいつつも、一年前の4月とは異なる穏やかさの中にある。
先々週、一日の感染者数が6万人前後まで増えたフランスだが、ロックダウンがにわかに効果を出し始めたか、昨日、一昨日は3万人台まで減少に転じ、町のもっぱらの噂では5月中旬にカフェのテラス席が再開、さらには美術館が開く、という。
人々はカフェで最愛の人たちと笑顔で過ごせる日を夢見て、今をやり過ごしているところ、というのが正直な今のパリの状況ではないか、と思う。



同時に日々、ワクチンの接種が着実に増えており、今月16日からは60歳以上のすべての人への接種が始まった。これは50歳以上、40歳以上と広がり、夏の終わりまでには国民の大半への接種を完了させる計画なのだ。
国民はそのことを様々な気持ちで受け止め、今のところ、従っている。
ここまで来ている以上、じたばたしてもしょうがない、という空気にフランスは支配されているようなところがある。
一時期の感情的な抵抗は鳴りを潜め、来るべき時を静かに待っている、というところか。
もっとも、人々はこの感染の拡大と減少はあくまでも変異株次第であり、それとどうやって今後付き合っていくのか、という現実との共生を想像し始めているのも事実である。



先週末、ブラジルからの航空便の入国が禁止になった。
感染者の多いフランスだが、変異速度は人類が考えるよりも早いことがわかってきた。
対策を持たないブラジルのひどい現状への危機感の表れでもある。
と同時に、ブラジル由来の変異株の入国をとめることが重要と判断されたのだ。
「オリンピックが近づく東京、政府に緊急事態宣言の要請」という記事が今日、日本から届いたが、この「要請」という言葉が長く日本を苦しめる一因にオリンピックの開催国という悩ましい問題が横たわっている。
オリンピックで集まってくる世界中の人たちに、どのような「要請」が効くのか、誰にも分からない。
厳格なロックダウンが出来るなら、まだしも、要請やお願いだけで感染を食い止めることが出来るのか、リーダーたちの強い決断が求められている気もする。
散りかけたパリの桜を見上げながら、われ思うゆれにわれあり。(中)

パリ最新情報「希望へと向かう春うららのフランスだより」



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