欧州最新情報

パリ最新情報「改善されるパリのホスピタリティ・おもてなし。五輪を機に」 Posted on 2024/02/23 Design Stories  

 
オリンピックの開幕まで半年を切った今、パリ市とパリ観光局は、長いあいだ「冷たい」「そっけない」と言われ続けてきた観光業のホスピタリティを改善しようと、最大限の努力を続けている。
 

パリ最新情報「改善されるパリのホスピタリティ・おもてなし。五輪を機に」



 
フランスは世界トップクラスの観光地だが、ホスピタリティの分野では残念ながら(程度の差こそあれ)、あまり評判が良いとは言えなかった。
これについては、現地フランス人も自覚しているという。
そうでない人は多くとも、通説的に「パリジャンは冷たい、不機嫌だ」などと言われてしまっている。

2月中旬、パリ副市長で観光担当のフレデリック・オカール氏はこうした事実を、「私たちが質ではなく、量を重視してきた結果だ」と説明した。
つまり、過去に「年間観光客数1億人」を掲げたフランスだったが、パリ・オリンピックを前に、ホスピタリティを重視しようと転換期を迎えているのだという。
 



パリ最新情報「改善されるパリのホスピタリティ・おもてなし。五輪を機に」

 
転換期のサインは数年前からあった。
パリ副市長によれば、パンデミックの後では、閉店を余儀なくされたカフェやレストランの努力が特に目覚ましかったということだ。
実際に、人材においては英語話者を積極的に雇い入れ、顧客からの口コミも今までになく大事にしているという印象を受ける。
また、昨年に開催されたラグビーワールドカップの影響も大きい。
こうした大規模なスポーツイベントは何年も前からアナウンスされており、開催国フランスの機運を高める一助となった。

さて24年7月から始まるオリンピック・パラリンピックでは、飲食業以外でもホスピタリティの改善が見られる予定だ。
たとえばパリの交通公共機関、RATP(パリ交通公団)では五輪期間中、毎日19,000人のグループスタッフを地下鉄網に動員する。
そしてRATPスタッフは携帯する各自のタブレットで、テキストを世界17カ国語に翻訳する予定だという。
(日本語を含む、音声では7カ国語を用意)
もしもオリンピック期間中に事故や遅延などの問題があれば、これによりスタッフから自国語で説明を受けることができる。
またパリ市の警察官らも、現在英語のレッスンを受けている途中だということだ。
 



パリ最新情報「改善されるパリのホスピタリティ・おもてなし。五輪を機に」

※パリのキオスク。日本では駅構内にあるがフランスでは路上にある。QRコードが「公式インフォメーション・スポット」の目印、英語対応。

 
パリ市内に点在するキオスクもまた、オリンピック時に 「公式インフォメーション・スポット」となる。
今回、公式と認定されたキオスクは市内にある50店舗だ。
そしてキオスクの店員は、旅行者に向けて道案内のほか、公衆トイレの位置、パリのおすすめスポットなどの情報を提供してくれる。
この観光型キオスクはオリンピック後も継続的に展開される予定だという。
 



パリ最新情報「改善されるパリのホスピタリティ・おもてなし。五輪を機に」

 
現在ではフランスのメディアも、「パリでの観光客の受け入れ態勢」を検証し、自問自答するように発信を続けている。
仏紙ル・パリジャンなどは記者がフランス語・英語をまったく話せない外国人に扮してパリの観光スポットを巡り、問題点・改善点を指摘するという記事を発信していた。
こうして第三者目線のニュースが多くなったことも、また一つの転換期だと言えるかもしれない。
ただパリの副市長は「2024年をターニングポイント」とするだけで、ホスピタリティ改善への努力はオリンピック後も続けていきたいと述べている。(大)
 

自分流×帝京大学