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パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」 Posted on 2021/09/21 Design Stories  

今年で38回目となる「ヨーロッパ文化遺産の日」が9月18日、19日の週末に開催された。

1984年にフランスで始まったこのイベントは、今ではヨーロッパの50ヶ国で開催されていて、大統領官邸であるエリゼ宮、各国大使館、ユネスコ、裁判所、県庁、市役所など、フランス国内だけでも17000ものスポットが一般公開される。普段は非公開の場所を無料で見学できるという、とても貴重なイベントだ。

いつもはお堅いイメージのある行政機関も、この2日間だけは一般市民と大接近。
各私設がそれぞれにイベントやエクスポジションを開くなど、町全体がアトラクションに変身したような雰囲気になる。

そんな文化遺産の日に、パリの中枢である「パリ市庁舎」を見学することができたので、その内部を詳しくご紹介したい。

パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」

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パリ市庁舎は、いわゆる「パリの市役所」である。
ルイ15世治下で市庁舎として完成し、革命時代にはパリ解放のシンボルとなった。
パリコミューンで消失し19世紀後半に建て直されたので、パリでは比較的新しい建物なのだが、そう感じないほど趣のある、美しい部屋の連続だった。



パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」

ステンドグラスやシャンデリア、壁の装飾など、とても「市役所」とは思えない。内部がすべて美術品といった印象を受けた。

市庁舎のメインスペース「回廊の間」は、芸術の間、科学の間、文学の間と3つの部分からできているかなり広い部屋。
ここでは文化遺産の日のために、シャンデリア技師、時計職人、大理石を加工する職人たちが集まり、それぞれがアトリエを開いていた。

パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」



なかにはアトリエに参加して大理石を叩くことができるなど、楽しく職人の技が学べるコーナーもある。パリ警察のブースや、パリのデザイン学校の展示もあり、雰囲気はまるで文化祭。子供たちにとって良い機会であるのはもちろん、「大人の社会見学」にもなる。

パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」

回廊の間を過ぎると、パリ市議会議事堂に入る。
重厚感のある部屋で、一席一席に重みがある。この場で2024年のパリ五輪についての話し合いが行われているかと思うと、感慨深いものがあった。
議員たちの写真入り座席表も張ってあり、女性と若い年代の多さに驚いた。

パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」

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そしてパリ市庁舎の目玉と言えるのが、「市長の執務室」。
セーヌ河やノートルダムの見える大きな窓、豪華なシャンデリアなど、ここは想像を絶する労働環境だ。
デスクの上にはパンダが飾られてあったりと、パリ初の女性市長であるアンヌ・イダルゴ氏の日頃の様子がそのままに見学できる。

角にそっと、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』のレプリカが置かれてあるのが印象的だった。

パリ最新情報「ヨーロッパ文化遺産の日、パリ市庁舎の内部を見学」



このイベントは毎年テーマが決められており、2021年のテーマは「Patrimoine pour tous, ensemble, faisons vivre le patrimoine」。
日本語で“すべての人に遺産を、みんなで遺産に命を吹き込もう” となる。

昨年の2020年はコロナ禍の真っただ中ということもあり、フランスはもとよりヨーロッパ全体で多くの人々を歓迎することが難しい状況下にあった。
それから1年を経た2021年の今年は、各所が再開を祝い、遺産を共有できる喜びにあふれていた。

「ヨーロッパ文化遺産の日」は毎年9月、第三週の週末に行われる。
フランスではこの時期、新年度が始まり、パリはいつにも増して活気づく。春のパリ、夏のパリも良いが、文化芸術面のイベントが多く開催される9月後半はパリ旅行の穴場かもしれない。

1984年にフランスの文化大臣が『La Journée Portes Ouvertes(ドアを開ける日)』を提唱したことから始まった「ヨーロッパ文化遺産の日」。
いつもは「誰かが守り、管理してくれている」と他人事のように遠い文化遺産も、こうして実際に触れてみるとその場所のファンになるし、人に伝えたくなる。

こうして参加したことで、私たちも歴史を担う一員だということに気づかされた。それと同時に、年に一度でも一般公開を決めたフランス文化省の懐の深さを感じた。これから毎年9月の訪れが楽しみになった。(大)



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