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ロンドン最新情報「ヘンリー王子とメーガン妃の第二子、名付けの選択がイギリスで注目される理由」 Posted on 2021/06/09 Design Stories  

 
ヘンリー王子とメーガン妃の第二子となる長女、リリベット・ダイアナ・マウントバッテン・ウィンザーちゃんが6月4日にアメリカ・カリフォルニア州サンタバーバラの病院で誕生したニュースは、内外のメディアを賑わせた。
イギリスで特に注目されているのが名付けの選択だ。
王子夫妻は昨年設立した非営利団体であるアーチウェル財団のホームページを通して誕生の正式発表を行い、次のように説明している。
「リリ(リリベットの愛称)は曽祖母にあたる女王陛下の家族内での愛称リリベットに由来して名付けられました。ミドルネームのダイアナは、最愛の亡き祖母ダイアナ妃を称えて選ばれました」
「リリベット」は、エリザベス女王が小さかった頃「エリザベス」と発音できなかったために祖父にあたる当時の国王ジョージ5世が付けた愛称で、その後もごく親しい家族の間で用いられた。
4月に夫のフィリップ殿下が亡くなったことで、女王を実際にこう呼ぶ人は誰もいなくなったと、「ガーディアン」紙などが伝えている。



英メディアでは、この名付けは「(王室を離脱してアメリカに移住した)夫妻から王室へ差し出されたオリーブの枝(和解の申し出)」とする見方が強いが、一方で「王室から完全に切り離されることは望んでいないという決意表明」とも憶測されている。
さらに、名付けは事前にヘンリー王子夫妻がエリザベス女王に確認していたと「タイムズ」紙などが伝えていたが、今日になって、女王は相談を受けていなかったと王室の消息筋が明らかにしたと、BBCが報じた。
 

ロンドン最新情報「ヘンリー王子とメーガン妃の第二子、名付けの選択がイギリスで注目される理由」

 
一方でミドルネームに選ばれたのは、1997年、ヘンリー王子が12歳のときにパリで交通事故で亡くなったダイアナ妃の名前だ。
今年はダイアナ妃の生誕60周年、チャールズ皇太子との結婚式から40周年にあたる。
先月下旬には、ダイアナ妃が1995年に出演したインタビュー番組について、BBCのジャーナリスト、マーティン・バッシャー氏がダイアナ妃をだまして出演の承諾を得たことが、元上級判事ダイソン卿の調査により明るみに出た。
B B Cは正式に謝罪を表明した。
ダイアナ妃はこのインタビューでチャールズ皇太子との結婚生活の苦痛を語り、これが関係破綻を決定づけたとされる。
 

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また、今月3日からは、ケンジントン宮殿で、王室ファッションの展覧会の目玉として、ダイアナ妃の結婚衣装が展示されている(来年1月2日まで)。
息子のウィリアム王子とヘンリー王子が貸し出したものだが、公開後の6日になって、展示パネルにあるヘンリー王子の「H R H」の称号を間違いだったとして削除することを主催者が決めるという騒動があった。
昨年1月、王室離脱の意思を表明したヘンリー王子夫妻について、王室側は夫妻の公務からの引退を認めるとともに「H R H」(殿下)の称号は使わないとの方針を示していた。
 

ロンドン最新情報「ヘンリー王子とメーガン妃の第二子、名付けの選択がイギリスで注目される理由」

 
ヘンリー王子夫妻は今年3月にアメリカで有名司会者オプラ・ウィンフリーのテレビ番組に出演し、この中で第二子の出産予定を明かすとともに、メーガン妃が長男アーチーくんを妊娠中に「生まれてくる子どもの肌の色」についての懸念を表明する王室メンバーがいた上、自殺願望を抱くほど悩んだのにサポートを受けられなかったとして、王室内の人種差別の実態を告発。
ただし、番組の放送後になって、人種差別発言をしたのは女王夫妻ではなかったとするヘンリー王子のコメントが、ウィンフリーを通して明らかになった。
エリザベス女王は告発を受けて「深刻に受け止める」として必要な対応をとることを約束し、さらに「回想は人によって異なるもの」とするコメントを表明した。
また、バッキンガム宮殿は、組織内の人種差別を防ぐための調査と改革を内部で行うと発表している。
 



 
ヘンリー王子夫妻がテレビ番組を通して王室を批判する告発を行ったことについては、イギリスでは批判的な見方が強く、夫妻に対する好感度は出演後に低下している。
ヘンリー王子は先月もポッドキャスト「アームチェア・エクスパート」に出演し、メディアに注目され続ける自らの半生について、映画「トゥルーマン・ショー」(人生の全てをリアリティ番組として放映されている男性を描いた)と動物園を足して2で割ったようだったと描写し、「自分や両親が体験した苦しみは自分の子には繰り返さないよう、連鎖を断ち切る」と語っている。
リリベットちゃんはエリザベス女王の11人目のひ孫にあたり、王位継承権は第8位。
女王の愛称とダイアナ妃の名前を組み合わせることを選んだヘンリー王子夫妻の真意も、名付けをめぐる女王とのやりとりの真相も明らかになっていないが、リリベットちゃん誕生のニュースについて、女王をはじめとする王室メンバーは歓迎と祝福の声を発表している。
おめでたいニュースをきっかけに、イギリス王室と、新生活を始めたヘンリー王子一家との間のわだかまりが消え、新たな時代にふさわしく自由と人権を尊重する王室のあり方が実現してほしいというのが、イギリス国民の多くの願いかもしれない。(清)
 

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