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パリ最新情報「地下鉄もアートの場!パリのメトロがボタニカルに変身。」 Posted on 2023/06/07 Design Stories  

 
パリ中心部にある、チュイルリー駅(Tuileries)がボタニカルに生まれ変わった。
地下鉄網のシンボルであった“ミッドナイトブルー”のパネルは取り除かれ、駅名も鮮やかなグリーンカラーに変身。
駅とチュイルリー庭園をつなぐ緑豊かな壁画は、合計で11枚にもなるという。
 

パリ最新情報「地下鉄もアートの場!パリのメトロがボタニカルに変身。」



 
これは地上にあるチュイルリー庭園にオマージュを捧げたもので、6月1日より始まった。
作者は仏人アーティストのシプリアン・シャベール氏で、RATP(パリ交通公団)との提携により実現した。
 

パリ最新情報「地下鉄もアートの場!パリのメトロがボタニカルに変身。」

 
1日〜4日まではチュイルリー庭園にてガーデニングのイベント「ジャルダン・ジャルダン」が開催されていた。
駅構内の壁画もイベントに合わせたものかと思いきや、なんと今後7年間はずっとこのままなのだそうだ。
普段は殺伐とした地下鉄の駅がボタニカルに変身したことで、雰囲気もぐっと柔らかくなったという印象を受けた。
 

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※駅構内が巨大な植物図鑑のように。

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※現在のチュイルリー庭園の光景。

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こうした地下鉄×アートのコラボレーションは、パリのあちこちで見られる。
というのも、RATPが交通事業者としての役割に加え、パリの文化・芸術活動を促進しているためである。
駅は単なる交通網ではなく、乗客がアートと出会うユニークな場所と捉え、現在ではパリ市内の約100か所にさまざまな芸術作品を展示している。

駅が存在する地区に縁あるアートを捧げているのも特徴だ。
例えばサンジェルマン・デ・プレの駅では、この地区の歴史に貢献した文化人に敬意を表したインスタレーションを2021年から展開している。
 

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※文学的でシックな、サンジェルマン=デ・プレの雰囲気を尊重した駅構内。



 
メトロ11番線のアール・エ・メティエ駅(Art et Metiers)は「スチームパンク」をコンセプトにしている。
これはフランスの冒険小説『海底二万里』に登場する「潜水艦ノーチラス号」をイメージしてデザインされた。
駅構内は確かに潜水艦のようで、天井には歯車も設置されている。
ゴミ箱まで銅製という徹底ぶりにはRATPの本気を見るようだ。
 

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またルーブル美術館駅近くのルーヴル・リヴォリ駅(Louvre–Rivoli)も大変にアーティスティック。
アートというよりはもはや駅全体が博物館のようになっていて、駅のホームには彫刻のレプリカがいくつも飾られている。
照明も暗く落とされ、ベンチはすべて黒で統一されているのが特徴だ。
 

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パリでは地下構内だけでなく、地上の駅出入り口付近にもアートが施されていることが多い。
こうした日常の風景にアート作品が自然に溶け込んでいるのも、「さすがパリ」と言えるかもしれない。
なおパリの地下鉄では美術、写真、彫刻の展示だけでなく、音楽活動も盛んに行われている。
通りすがりに素敵な音楽を提供してくれるメトロ・ミュージシャンたちは、きちんと許可を受けたRATP公認の音楽家なのだそうだ。(オ)
 

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