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パリ最新情報「2024年のオリンピックを控えたフランスに森会長の発言轟く」 Posted on 2021/02/05 Design Stories  

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」が日本で話題になっているが、2024年にオリンピックを控えたフランスの各種メディアも強い関心を示した。

フランスアンフォでは、長文の記事がトップニュースとして配信された。
今回の森会長がこのような発言に至った細かい流れ、日本のジャーナリストとの悶着、やめるやめないの話しはもとより、蓮舫議員の発言までが取り上げられ、2000字を超えるボリュームの記事となった。
特に政治的コメントは付されていなかったが、各段落に登場する森会長の名前の横に(83)という年齢が何度も付されている点が興味深かった。
というのも、フランスのメディアで年齢が特に注目されることや、そこが焦点になることは少ない。
この年齢表記は他の政治家には、バイデン大統領を除いて、あまり見られない現象と言える。
若い政権が国を引っ張るフランス人にとって、森会長の年齢が一番の話題になった、ということかもしれない。

フランスで報道された森会長への少し厳しい報道をここにいくつか列挙してみたい。

パリ最新情報「2024年のオリンピックを控えたフランスに森会長の発言轟く」



「失言高速道路を時速320kmでスピード違反!」いう見出しは、フランスのニュースメディア「20minutes」。
本日の主要な出来事を通勤時間の20分で読み切ることができるため、若い世代から支持を得ている媒体だ。
発言時の森喜朗会長のためらいのない態度を、「信念を曲げない確かな人である」という意味の慣用句、「ブーツで直立する(droit dans ses bottes)」を言い換えた「モカシンで直立する」と表現。
硬いブーツではなく、柔らかいモカシンとすることで皮肉っている。
またモカシンは高級靴を想起させ、これほどの社会的地位が高い人が、このような発言をしてしたことへの驚きを表している。



「元首相」という肩書も報じられていることから、かつての国のトップが女性蔑視という価値観を持っていることへの関心の高さが伺える。
また発言後、同席者たちが発言の是非について、特に留意もせずに笑っていた、という点についても注目されている。

また、大手メディアの「Le Point」は「日本の人気コメディアン、田村淳氏が、木曜日に自身のYouTubeで、オリンピック聖火リレーの辞退を発表した」ことを大きく報じている。
「Le Figaro」はソーシャルネットワーク上で、ハッシュタグ「#森喜朗氏は引退してください」がトレンド入りしたことなどを報じている。

そして「AFP通信」は、男女平等の世界経済フォーラム(WEF)の各国のジェンダー不平等状況について最新の調査結果で、日本が153カ国中131位だったということを引き合いに出している。
ジェンダー不平等順位がさらに下がるのではないか、という懸念を伝えるラジオ放送もあった。
いずれにしても、コロナ禍の中で、オリンピックへの関心が向けられずにいた世界の人々に、奇しくも、オリンピックをやるぞ、というメッセージを届けることには成功したようだ。(ウ)

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