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パリ最新情報「騒音・公害の改善が見られたパリの目抜き通り、不動産にも影響を与える」 Posted on 2022/11/19 Design Stories  

 
パリ市長のアンヌ・イダルゴ氏は、将来的に車の通行量を大幅に減らし、自転車を交通手段の中心に据えた街作りを進めている。
確かにここ数年では自転車・キックボードの普及が著しく、パリ交通公団によるストライキも多発しているためか、「車も電車もバスも使わない」というパリジャンが大幅に増えた印象だ。
また電動キックボードにおいては、パリ市がヨーロッパで最もレンタルされている場所だと発表されており、2018年の登場以来パリで重要な位置を占めることに成功したと言われている。
 



 
2020年のロックダウン解除後、イダルゴ市長はパリ中心を走る目抜き通りであるリヴォリ通りの一部で、一般車の通行を原則禁止とした大胆な政策を発表した。
そしてこれは一時的なものではなく、恒久的な政策として掲げられている。
具体的にリヴォリ通りとは、4キロ足らずの沿道にルーブル美術館やパリ市庁舎などが立ち並ぶ、パリでも象徴的な一本道である。
ここではバス、タクシー、緊急車両を除く一般車両の走行が全面的に禁止され、その代わりに現れたのは颯爽と走る自転車やキックボードの姿であった。
あれから2年、リヴォリ通りのこうした風景はすっかりパリに定着しており、市長が掲げたスローガン「呼吸するパリ」を如実に体現している。
 

パリ最新情報「騒音・公害の改善が見られたパリの目抜き通り、不動産にも影響を与える」

※リヴォリ通り

地球カレッジ



 
車による騒音、排気ガス問題が改善されたことで不動産市場にも変化が現れ始めた。
パリでは現在も不動産価格の下落が止まらない。
2021年10月から2022年10月の間では、パリの不動産価格は平均で1.8%も下落した。
なおこの一年で価格が最も下落したのは1区のパレ・ロワイヤル(−8.6%)。
しかし一方で、リヴォリ通りにある不動産市場はこのところ好調だという。
リヴォリ通りの交通量が大幅に減ったことで、2020年以前にあった騒音・公害による10〜15%の割引はほぼなくなった。
買い手が即決する機会も増え、コンコルド広場からルーヴル美術館にかけての物件は特に人気が高まっているとのことだ。

ただこのエリアでは、一平方メートル当たりの価格は2万5000ユーロから3万5000ユーロ(約360万円〜504万円)とかなり高額だ。
買い手もフランス人とは限らずアメリカを初めとした外国人投資家によるものが多い。

同じリヴォリ通りとはいっても、大型デパートのBHVがある地区やパリ市庁舎付近では価格がさらに下がる。
こちらでは一平方メートルあたりの価格がルーブル美術館付近の約半分以下となっており、たった3kmの区間でも値段の差が非常に大きい。
 

パリ最新情報「騒音・公害の改善が見られたパリの目抜き通り、不動産にも影響を与える」



 
リヴォリ通り沿いの住民によれば、騒音と排気ガスのために何十年も窓を開けることができなかったが、今ではバルコニーで飲食を楽しめるようになり、周囲の空気の変化を身をもって実感しているという。
ただ問題点もある。
車を利用する修理業者からは訪問を拒まれ、家に招いた友人たちは間違った方向にぐるぐると運転させられてしまう。
このように昔ながらの住民たちからは未だに賛否両論の意見が寄せられているが、新しく居住する人にとってはリヴォリ通りが魅力的であることには違いはない。

パリ市は先日、2023年から不動産税(Taxe foncière、固定資産税)を現行の13.5%から20.5%に引き上げる意向を表明し波紋を呼んだ。
コロナ禍以降の社会問題はパリ市の不動産事情にも大きな影響を与えているが、リヴォリ通りを初めとした人気地区と、そうでない地区の差は今後ますます開くと予想される。(大)
 

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