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パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」 Posted on 2024/05/05 Design Stories  

 
歴史的建造物を舞台とした競技会場、一般客も参加できるマラソン、セーヌ川で行われる開会式と、「史上初」だらけのパリ五輪。
100年ぶりに開催される一大イベントに向けて、パリの街でもカウントダウンが始まった。
現在は至るところでオリンピックに紐づく企画が用意されているのだが、一般客が参加できるこちらも、“初めて”にあふれた特別な内容となっている。
 

パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」

※国民議会前に設置された6体の“オリンピック”ミロのヴィーナス像。



 
5月1日には、オルセー美術館の時計部屋が一夜限りのホテルになることが発表された。
日付は7月26日、ふたり一組の限定プラン。
宿泊客はオリンピックの開会式を美術館のテラス席から見学できるほか、美術史家による印象派絵画の特別鑑賞が約束される。
この企画はAirbnbとオルセー美術館のコラボによるもので、同美術館の歴史上でも初めての試みとなる。
 

パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」

※内装はパリ五輪の聖火トーチをデザインした、マチュー・ルハンヌール氏がプロデュース。Airbnb ©Frederik Vercruysse



 
オルセー美術館の前身である駅舎はもともと、1900年のパリ万国博覧会開催に合わせて建てられた。同年にはパリで初めてのオリンピックも開催されている。
そのためオルセー美術館事務総長のピエール=エマニュエル・ルセルフ氏は、「私たちにとって、美術館を五輪開会式に組み込むというアイデアは実に理にかなっている」「特別な一夜になるだけでなく、語るべきストーリーとしていつまでも記憶に残るでしょう」と力強く述ベている。
なお同施設の時計部屋は124年間の歴史において、宿泊用に提供されたことが一度もなかったという。(予約は5月21日から、Airbnbプラットフォームにて身分証と志望動機の提出が必要。)
 

パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」

※朝のルーブル美術館でヨガのレッスン。©Musée du Louvre / Florence Brochoire

 
世界で最も来館者の多いルーブル美術館では今、館内が「フィットネススタジオ」に生まれ変わっている。
これは美術館が開館する前の朝8時から行われているもので、数人のコーチとともに、名作の前で身体を動かすという期間限定イベントだ。
プログラムは主に、ヨガ、ダンス、エアロビクスなどの有酸素運動(要予約、有料)。
参加者にはレッスン後、現在開催中の企画展「オリンピズム展」を観覧するプログラムが用意されている。
こうしたセッションはオリンピックに合わせた新しい企画で、23年にはパリ近代美術館でも行われていた。いずれも女性から人気で、美術館内に広がる柔らかな光がヨガや瞑想に良いと、評判だ。
 



パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」

※観客席を建設中、現在のコンコルド広場。

 
2024年のパリ五輪はまた、史上最もサステナブルな大会として使い捨てプラスチックの使用禁止を宣言している。
しかし、目標はプラスチックの撲滅だけではない。今回の大会では食事にかかる二酸化炭素排出量の減少も、大事なテーマの一つとなっている。
オリンピック選手村での食事はもちろん、観戦客が口にするケータリングサービスも同様だ。
スケートボード等の競技会場となっているコンコルド広場ではそのため、観客向けの食事が史上初の「ベジタリアンメニューのみ」となる。
内容は、野菜で作られたホットドッグ、トマト&モッツァレラチーズ(フランス産)のトーストサンドイッチ、ファラフェルなど。
他の競技会場ではベジタリアンレシピも提供されるが、クロックムッシュなど一般的なメニューと一緒に用意される。
今回コンコルド広場が100%ベジタリアンの場として選ばれたのは、地球を意識した都市型スポーツファンが多いことが理由の一つになったという。
 

パリ最新情報「100年ぶりのオリンピックを100%楽しむ、パリの『参加型』プランが続々と」

 
史上初の試みはこうして、大会を取り巻くさまざまな場所で行われる。
なかにはオルセー美術館のように驚く企画もあって、フランスらしさを十分に発揮している印象だ。6月、7月になれば、さらに興味深い発表があるに違いない。(チ)
 

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