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ロンドン最新情報「ロックダウン下で実施されつつある様々な教育への取り組み」 Posted on 2021/01/08 Design Stories  

イギリスでは3度目のロックダウンが7日、法制化された。
ボリス・ジョンソン首相は法案への投票の前の演説で、国会に対して「休校を決めるにあたっては他の方策を全て検討した」と説明し、「ロックダウン緩和の際には学校は最初に開かれる場所になる」と説明した。
また、中等教育修了試験(GCSE)と、一般教育修了上級レベル(Aレベル)については、昨年に続いて今年も通常の試験を中止し、教師が生徒の予想される成績を決める方針を発表した。
2020年にはアルゴリズムによる採点が行われ、これにより大学の合格結果が発表されると不正確として大きな批判を浴び、政府が撤回する騒動があった。

ロックダウン緩和への糸口として期待されるワクチン接種は高齢者や持病のある人、医療関係者が優先され、子どもの接種のめどは立っていない。
学校の再開に向けて、政府は教員と子ども向けの大規模な検査体制を導入する方針を明らかにしている。
すでに、現在も出勤している教員、登校している子ども向けの定期的な検査を導入しており、もしも感染者が見つかれば、本人と濃厚接触者が10日間にわたり自主隔離を行うことを定めている。



休校は正確には「リモート学習への移行」だ。
学校側には、カリキュラムに基づいた授業を、学年に応じて毎日3〜5時間提供することが求められる。
学校ごとに、マイクロソフトチームズや家庭学習用のホームページを使って、その日の課題を保護者に送信するほか、ホームルームの時間も設けている。
課題の内容は、教師が独自に提供するスライドや動画の授業に加え、小学校教師が運営するウェブサイト「オーク・ナショナル・アカデミー」の動画の授業や、B B Cの教育番組、それにYouTubeで提供されている教材を担任の教師が組み合わせたものだ。



働く親の間では、仕事と家庭学習との両立に悩む声が大きい。
イングランドの労働組合が加盟する労働組合会議(TUC)はホームページで、「学校がリモート授業を行うとしても、子どもの世話と学習のサポートには親の大きな負担が求められる」として、「政府が教員組合と提携して当初から準備を進めていれば、学校で安全な環境を実現できたはずだ」と批判している。
2020年春の休校期間には、特に母親が仕事時間を減らしたり、勤務先から不当に解雇されたりする報告例が相次いだとして、働けない社員の給与の8割を政府が肩代わりする帰休制度を、子どもの休校が理由の休業にも適用するよう雇用者に呼びかけている。
また政府に対しては、子どもの休校を理由にした政府負担による有給休暇を導入し、フリーランサーや自営業者も対象とするよう求めている。

また、2020年春の休校期間はキーワーカーの子どもや脆弱な環境にある子どもだけに登校が認められていたが、今回は、家庭でラップトップやインターネット接続などI T設備や勉強場所が確保できない子どもも対象となっている。
ジョンソン首相は国会で、2020年には56万台のラップトップを学校に支給し、今週にも5万台を追加すると説明している。
しかし情報通信庁などによると、家庭にコンピュータやタブレットがない子どもはイギリス国内でおよそ150万人から180万人に上る。
貧困家庭や過疎地域でインターネット接続が利用できない子どもも88万人に達する。
イングランド北東部など貧困世帯の多い地域ほど、家庭にリモート学習の設備がないことを理由に登校する子どもの割合が多く、ロックダウンの効果が不十分になることが懸念され、学校関係者からはイングランド全体でリモート学習への組織的な移行計画を求める声が上がっている。

子どもの心身の健康と教育のために、学校をいち早く開けることを優先課題とする認識は、イギリス全体の合意になりつつある。
そのためには、各個人が感染拡大防止に努めることが求められる。
人々が行動制限を守るよう、ロンドン警視庁は7日、これまでよりも厳しく対応するよう警官に指示を出した。
外出制限や屋内でのマスク着用、集会禁止などの決まりを守らない人に対し、従来はまず説得を試みて従わない場合のみ罰金を科す方針だったが、今後はただちに対処するとしている。罰金は初犯で200ポンド、再犯は最高で6400ポンドに達する。(清)

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