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パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」 Posted on 2024/01/27 Design Stories  

 
黒猫のポスター『ル・シャノワール(Le Chat Noir)』で有名な、画家テオフィル=アレクサンドル・ステンレンの回顧展が、モンマルトル美術館で開催されている。
 

パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

※『ル・シャノワール(Le Chat Noir)』、ステンレン作。日本語名はスタンラン。



 
パリ土産でもたくさん見かける『ル・シャノワール(Le Chat Noir)』だが、誰が描いたのか、ほかにどのような作品を残したかについては、ほとんど知られていない。
この画家はテオフィル=アレクサンドル・ステンレンといい、スイスのローザンヌで生まれ育った。
フランスにわたったのは20代前半のとき。
生活拠点をパリのモンマルトルに移し、画家、版画家、イラストレーターとして活躍したあと、1923年で生涯の幕を閉じた。
今回の回顧展は、そんなステンレンの没後100周年を記念したものである。
 

パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

 
ステンレンは多作の画家だった。
社交的で、モンマルトルの芸術コミュニティにも積極的に参加し、そこで多くのアーティストと親交を深めた。
ステンレンの転機となったのは、画家仲間からモンマルトルのキャバレー、「ル・シャノワール(黒猫)」のオーナーを紹介されたことだった。
彼はここでキャバレーの広告ポスターを描く仕事を受注する。
あまりにも有名な『ル・シャノワール(Le Chat Noir)』のポスターは、こうしてできあがった。
 



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パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

 
以後、ポスターデザイナーとしてキャリアを積みはじめたステンレンは、油彩、本の挿絵、雑誌の風刺画と次々に活躍の場を広げていく。
ただ、当時のモンマルトルにはパリ・コミューンの爪跡が痛々しく残っていた。
サクレクール寺院もコミューンで犠牲となった市民を弔うために建てられたのだが、この時代に生きたステンレンは、「抑圧の象徴」だとして寺院の建設に反発する。
代わりにモンマルトルの労働者や街娼などをテーマに取り上げ、当時のパリの現実を風刺的に描いていった。
 

パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

※『La rentrée du soir 』1885年



 
また愛猫家だったスタンレンは、猫を描いた作品を多く残した。
当時のアール・ヌーヴォーは、自然の存在をモチーフにしたり、猫のように有機的な曲線を特徴とする新たな芸術運動だった。
 

パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

※『猫の礼賛(Apothéose des chats)』1905年

 
猫とモンマルトルをこよなく愛したスタンレンは1923年、64歳で亡くなった。
現在はモンマルトルの頂に近い、サン・ヴァンサン墓地にて眠っている。
なお彼の作品はパリのモンマルトル美術館ほか、アメリカのナショナル・ギャラリーで鑑賞することができる。
今回の回顧展は2024年2月11日まで続く。(大)
 

パリ最新情報「黒猫のポスターで有名な画家ステンレン、モンマルトル美術館で回顧展」

※回顧展の説明パネルにも猫が。

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