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パリ最新情報「19日、フランスを襲った最大スト、子供を持つ親の苦悩」 Posted on 2023/01/19 Design Stories  

フランスは本日、労働団体の予告通り、近年最大規模のストライキに突入した。
スト予告のニュースを見ると「ああ、またか」ともはや驚きもないが、「教育者によるスト」と「交通機関のスト」は毎回子を持つ親の頭を悩ませる。
「教育者によるスト」はその名の通り、教職者や学校関係者が出勤しないという事態になるし、「交通機関のスト」は、交通機関を利用して通勤している学校関係者が出勤できなくさせる。
そして今回、1月19日に予告されたストは特に大規模なもので、複数の団体によるストが決定しており、前述の「教育者によるスト」と「交通機関のスト」、どちらも実施された。
スト予告のニュースが出た直後、子を持つ親たちはこの話題で持ち切りになった。



日本でも今や共働き家庭は珍しくもないが、フランスはむしろ共働き家庭がほとんどなので、頼れる実家や親族が近くにいない場合は仕事を休むなどの対応に迫られる。
もっとも困るのが、ストにより学校が閉まるかどうかの連絡がギリギリになること。
学校(市)が最後の最後まで対策を練っているということなら文句も言えないが、いつまでも決まらないと、それだけ、職場に迷惑を掛けてしまう。
学校(市)側は、クラスを減らして児童を振り分けるという対策を取るなどしているが、今回は交通機関のストも併発することから、児童全員を受け入れるのはほぼ不可能であろう。
ちなみに、筆者の子供(幼稚園児)のクラス担任は、3日前である16日、早々に「私はストに参加するのでクラスはありません」と宣言した。

パリ最新情報「19日、フランスを襲った最大スト、子供を持つ親の苦悩」



そしてスト2日前、17日の夜中、市から最初のメールが保護者へ一斉に送られてきたのだ。内容は「基本的には自宅で子供を見てもらうことを強く勧めます。最低限の受け入れ(通常の幼稚園時間である8:30~16:30)については未定。16:30以降の授業は中止となる予定です。最終決定は翌18日にはお知らせできるようにします」というもので、結局受け入れができるのかどうかは明言されていなかった。
更に「給食の配給に支障をきたすことは必至です。よって、受け入れができた場合でも11:30~13:30は一旦帰宅してもらうようお願いします」とあり、どちらにしても親たちが職場へ出勤するのは絶望的内容であった。
このメールは数分の間に同じ内容で3通も送られてきており、しかも送信時間は夜中ということで、市の担当者たちの間でも相当な混乱を招いているのだろうことが想像できた。
そしてスト前日である18日の午後、最終決定のメールが再び保護者へ送られてきたのである。内容はこうだ。
●子供のクラス担任がストへ参加しない場合
・通常の時間である8:30~16:30の受け入れ可
・給食の配給可
・上記時間外の学童などは受け入れ不可
●子供のクラス担任がストへ参加する場合
・(授業はないが)最低限の受け入れは、保護者の職業が医療従事者、警察官、消防士、教師、ストに参加しない保育施設の従業員、の場合のみ対象(保護者が両親の場合、両者共に前述の職業に就いていることが原則)であり、その他保護者の受け入れ不可

担任がストに参加するかどうかで保護者の負担が全く違うという結論であった。
ある人は美容師で、当日は指名の予約が入っており絶対に休めない、と嘆いていた。旦那さんはテレワークのできる職業だが、家に子供がいては仕事にならないので、結局旦那さんが急遽有給休暇を取ることになった。
普段依頼するベビーシッターは複数の家庭を掛け持ちしているので、依頼が殺到し、予約できないなど、現在、仕事を持つ親たちはパニックの中にある。(け)



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