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パリ最新情報「緊張が走るウクライナ情勢、フランスでは各地で抗議デモが行われる」 Posted on 2022/02/24 Design Stories  

ウクライナのNATO加盟を巡る問題は、解決策を見せないまま緊迫した状態が続いている。
フランスではウクライナ問題がコロナ収束・大統領選挙のニュースをしのぐ勢いで毎日報道され、人々の心を痛める原因となっている。

というのも、2022年1月1日からEUの議長国となったフランスは、諸外国の中でも先がけてロシアのプーチン大統領と会談を行った。
これはマクロン大統領がウクライナ情勢の打開を目指してモスクワで実現したものだったのだが、具体的な解決策が約束されないまま、ロシア側の曖昧さに翻弄されてしまった形となった。

パリ最新情報「緊張が走るウクライナ情勢、フランスでは各地で抗議デモが行われる」

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この会談の様子はフランスでも大きな関心を集め、「ロシアとフランスの社会的な距離を表している」と揶揄されたほどだった。
後にこの距離は、マクロン大統領がロシア政府にDNAを採取することを恐れてPCR検査を断ったためにロシア側がとったソーシャルディスタンスであったとされたが、マクロン大統領はこれを全面的に否定している。

その後も平和的解決に向けてフランスとロシアの電話会談が度々行われてきたが、今週に入って事態はさらに緊迫化。
2月22日からはエールフランスが治安状況を理由に「予防的措置」として、ウクライナの首都キエフを発着する便の運航を休止する方針を明らかにした。

パリ最新情報「緊張が走るウクライナ情勢、フランスでは各地で抗議デモが行われる」



東欧からの移民を多く抱えるフランスでは、ウクライナ人、ウクライナ系フランス人の数が少なくない。
このところフランス各地では彼らによる抗議の声が相次いでいる。2月12日にはフランス西部のナントで、平和を求める在仏ウクライナ人がデモを行った。
次の週にはボルドーのヴィクトワール広場に50人ほどが集まり、「ウクライナで何が起きているかフランス国民に知ってもらいたい」と訴えた。

そして2月22日にはパリやリヨンでも在仏ウクライナ人による抗議デモが勃発し、「Stop War」「ウクライナとともに立ち上がる」と書かれたプラカードが掲げられた。彼らは国際社会が協力して働きかけ、ウクライナの安全が守られることを望んでいるという。

2月23日にはウクライナが緊急事態宣言を発し、一触即発の状態が続いている。
平和を叫びながらも過ちを繰り返そうとする姿に、歴史の傷跡の痛みを感じずにはいられない。(オ)

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