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パリ最新情報「同じ間違いを繰り返したくないフランス。新学期に向けて着々」 Posted on 2021/07/29 Design Stories  

夏休みはあと1ヶ月残っているが、フランスは、9月の新学期を万全に迎えようと準備を進めている。去年は厳しいロックダウン後、夏の気の緩みが秋の再ロックダウンを招いたのだった。

フランスでは8月9日より衛生パスポート(ワクチン証明もしくはコロナ陰性証明)が広く適用されることになりそうだ(8月5日に憲法評議会で最終決定が行われる)。その日からレストラン・カフェ、飛行機、長距離列車などでも衛生パスが必要不可欠となる。同時にそれらの場所で働く人に対しても衛生パスポートが必要となり、従業員は現在与えられている2ヶ月の猶予内でワクチン接種を済ませておかなくてはならない。

エリザベス・ボルヌ労働相はその期限以降、従わない従業員は給与の打ち切り、解雇もありえる、と発表している。フランス政府は「再ロックダウンか衛生パスポート」という究極の2択を国民に打ち出し、衛生パスポートの適用を選択した。この政府の半ば強引な決断に、春のロックダウン時は「死かロックダウンだった」と皮肉をいうジャーナリストもいる。

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教育に関しても、新しい措置が発表された。
夏休み前まではクラスにコロナ感染者が一人出た場合、学級閉鎖となっていた。しかし、そのせいで夏休み前、フランスの中高で大量の学級閉鎖が行われ、教育の滞りが目立ち始めていた。

そこで、新学期からはワクチン接種ができる12歳以上中高生に対し、感染者がクラスに一人出た場合、学級閉鎖は行わず、ワクチン接種をした生徒は引き続き学校での授業に来ることができ、ワクチン接種をしていない生徒に関しては自宅での遠隔授業が行われる。(小学生と中学生低学年(12歳まで)に関してはこれまで通りクラスに一人の感染者で学級閉鎖が行われる)

不公平になるのでは?という質問に、ブランキエ教育相は、コロナ禍でこの2年、教育が遅れてしまっている。教育を取り戻し、まだ続くだろうコロナ禍で教育を続けていくには、この合理的な方法がベターであると判断した、と語った。7月25日現在、12歳から17歳までの子供の24%がワクチン1回目の接種を終えている。教師のワクチン接種については、現在義務ではないが、接種率が低い場合、義務化する可能性もあると付け加えた。
また、教育省は学校内で十分な換気が行われているかをチェックし、エアロゾル感染のリスクを防ぐため、各学校にCO2探知機を設置することも視野に入れている。(い)

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