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パリ最新情報「パリで広がるやさしい味、植物性パンとパティスリーの今」 Posted on 2025/05/04 Design Stories
今のパリで静かに、しかし確実に増えているものがある。それは、牛乳やバター、卵などを使用しない、植物性のパンとパティスリー。専門店がオープンしているほか、普通のパン屋でも、植物ベースのパン&パティスリーを取り入れるところが少しずつ増えてきた。
※ヴィーガン仕様のパン
以前から、ヴィーガン対応のレストランやテイクアウトメニューが豊富だったパリ。最近では、小学校の給食にも「週に一度は植物ベースのメニューを」という取り組みが一部ではじまっていて、動物性食材を使わない料理が日常の中にどんどん浸透している。
※米粉や豆乳を使った「フランボワーズのベニエ(フランスの揚げ菓子)」
植物性のパン&パティスリーがパリで広がっている理由の一つには、「さまざまな食文化に寄り添えること」があるかもしれない。パリはもともと、多様な文化と人々が行き交う街。植物性なら食生活の違いを気にすることなくいただけるので、友人へのちょっとしたギフトや、お宅訪問の手土産にもちょうどいい。
※パリのブーランジュリー「COPAINS(コパン)」
たとえば、パリの人気ブーランジュリー「COPAINS(コパン)」では、クラシックなパンやパティスリーに加えて、ヴィーガン対応のアイテムがいくつも並んでいた。それぞれのアイテムには材料がしっかりと明記されているのだが、動物性食材の代わりに「ピーナッツバター」や「カカオバター」「グアーガム」などが使われていることが分かり、ヴィーガンでない自分も1つの学びになったようで、とても興味深く感じた。
※パンのラインナップ(植物性パンは主に上段)
※パティスリーのラインナップ(すべてヴィーガン仕様)
※炭、そば粉、ゴマを使ったパン
一方、パリ市内にいくつかある専門店では、すべてのパン&パティスリーが植物性。パター・卵を使用しないクロワッサンやブリオッシュのほか、キッシュ、サンドイッチなどがたくさん並ぶ。お昼どきにはちょっとした行列ができる場所もあり、人気の高さがうかがえた。
※植物性由来の素材のみで作るブーランジュリー、「Land & Monkeys(ランドアンドモンキーズ)」のクロワッサン
こうして、パリの植物性ブーランジュリーは、ベジタリアンやヴィーガンに限らず、多くの人が気軽に足を運んでいる印象を受ける。もはや特別な存在ではなく、菜食主義者だけの場所でもないようだ。「たまには」とか、「月に何回かは肉や乳製品を控えてみようかな」と、自分なりに意識している人が増えているのかもしれない。
※ベジタブルサンドイッチ
バゲット以外のヴィエノワズリー&パティスリーは、フランスでは古くからバターや卵を使ったリッチな味が定番。しかしグルテンフリーと同じように、植物性のパンやスイーツもこれからさらに広まっていきそうだ。(コ)