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欧州最新情報「スペインでデジタルノマドビザ発行?!」 Posted on 2021/10/29 Design Stories  

青い海、さんさんと降り注ぐ太陽の光、美味しい料理とワイン、明るくてフレンドリーな人々…
スペインは長い間、バケーション先としてたくさんの人を魅了してきた。

ガウディやピカソなど芸術面でも充実していて日本人にも人気の旅行先だ。また、特にイギリス人の間では退職後ゆっくりとリタイア生活を送る場所としても人気を博してきた。

そのスペインがここに来て新しいタイプの人々に注目されている。リモートワーカーやノマドワーカーたちである。

欧州最新情報「スペインでデジタルノマドビザ発行?!」



わざわざ出勤しないでパソコンを使用しながら家で働く、というリモートワークの形態が、コロナで揺れたここ1年半の間に確固とした地位を得た。完全にコロナが収束したらこの地位は揺らぐのかもしれないが、今の段階ではまだまだ多くの職場で推奨もしくは容認されている働き方である。最初は大人しく自宅で働いていたリモートワーカーたちも、ワクチン接種が進み、自由に移動できるようになってからは、パソコンさえ持っていれば好きな場所で働けばいい、という考えに到るようになった。

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地球カレッジ

パンデミックとは関係なく、元々ウェブデザインや翻訳等、コンピューターその他の機器持参で住居を転々としながら働くノマド(遊牧民)ワーカーの数も近年増加していたことも含め、こういうフレキシブルな労働者が「どうせ働くなら環境の良い場所で」とスペインになだれ込んで来ているのが現状だ。

人気の滞在先はマヨルカ島、メノルカ島、カナリア諸島(ラ・パルマは現在火山噴火で大変だが)などの島、コスタ・ブラバ等の地中海沿岸だ。

ポーランド人の友人が先週休暇でメノルカ島に行った際、「今はリモートで働けるから休暇が終わってもここに滞在しながら働きたい」と考え、「1か月滞在するので宿泊費を割安にして欲しい」と願い出たところ、「割引きなんかしなくても長期滞在したいという問い合わせが殺到している」と断られたそうだ。

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バルセロナで不動産業を営む友人も、「最近は2~6か月単位で借りられるアパートメントを探す外国人が増えている」という。これらの外国人には北部ヨーロッパの人たちが多い。気候が良くて海もきれい、食べ物も美味しくて物価も自国より安いとなると、わざわざこれから暗くて寒い冬を迎える北ヨーロッパで過ごさなくてもいい、という考えになるのだろう。

スペイン経済省発表の統計によると2020年第2四半期の段階で、Eu諸国のうちリモートで働く人の割合が一番高かったのがフィンランド、ルクセンブルグ、アイルランドである。その後オーストリア、オランダと続く。いずれもスペインに比べると寒い気候の国々だ。

ただアパートメントを借りるとなると、EU内と言えども、スペインに住民票のない外国人にはいろいろなハードルが有り、また流動性を嫌がる大家たちも簡単に首を縦に振らないらしい。したがって彼らの滞在先は今のところ、観光客用アパートメントやエアーB&B、もしくは他に住人のいるシェアハウスの一部屋、という形態が多い。

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そこでスペイン政府が計画中なのがデジタル・ノマドビザ。国外の会社に勤務しスペインの労働ビザを持ち合わせていない人でもリモートワーカーとして受け入れるというビザだ。スタートアップ条例という法律の一部に組み込まれるということだが、申請要綱やビザの有効期限など詳細はまだ明らかにされていない。

スペイン政府はこのビザにより、才能ある人材の取り込み、また国際ビジネスハブとしてのスペインのイメージを構築したいという狙いがあるらしい。日本人ノマドワーカー、リモートワーカーの皆さん、これを機会にスペインへの移住を検討してみてはどうだろう。(林)

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