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父ちゃんのリサイクル料理教室「辻家の定番、ショートケーキの作り方」 Posted on 2022/09/09 辻 仁成 作家 パリ

※ このレシピ・エッセイは、去年、書かれたものですが、これからの涼しい季節に、ショートケーキはとっても、美味しいです。いちごじゃなくても、メロンでも、桃でも、なんでもアリなので、ぜひ、お試しください。美味しいですよー。生クリーム好きの父ちゃんなり、えへへ。

地球カレッジ

散歩から戻ると、SMSにニコラのお母さんから「二人がちょこっと遊びに行きたいと言ってるんですけど、よろしいですか。マスクをさせますので」と入っていた。息子に一応確認をすると、いいよ、という返事。
じゃあ、ケーキでも作るか、ということで、近所の子供たちを喜ばせるショートケーキを作ることにしよう。

フランスで「ショートケーキ」は通じない。
しかし、スポンジケーキと生クリームといちごの相性は抜群なので、子供受けがいい。
逆にフランス人の大人には受けない。ショートケーキという文化がないからかもしれない。
フランスの大人たちはガトーショコラのようなゴテゴテのケーキが好きなのだ。
ともかく、ショートケーキをササっと作ることになった。
ササっと、作れるの?
はい、そんなに難しくないのであーる。



スポンジケーキを作るのは時間がかかるけれど、ロールケーキの生地ならば簡単、時短でショートケーキを作ることができる。
オーブンは180度に予熱を開始し、卵を卵黄と卵白に分ける。卵白は冷蔵庫で待機させておくのだ。
でわ、ショートケーキのレシピを・・・。

ショートケーキのレシピ。
(卵黄の部分)
卵黄2個分、砂糖10g、オイル20g、小麦粉35g、牛乳大さじ2
ボールに卵黄と砂糖を入れ、泡立て器で白くなるまで混ぜ、オイルと少し温めた牛乳を加えてよく混ぜ、最後にふるった小麦粉を加え、混ぜておく。
(卵白の部分)
卵白2個分、砂糖25g
ボールによく冷やしておいた卵白と砂糖の3分の1を加えて泡立て始め、少し泡立ってきたらまた砂糖を3分の1を加えまた泡立て、最後の砂糖を入れてメレンゲにツノが立ったらメレンゲの完成となる。

父ちゃんのリサイクル料理教室「辻家の定番、ショートケーキの作り方」

父ちゃんのリサイクル料理教室「辻家の定番、ショートケーキの作り方」

卵黄にメレンゲの3分の1を加え、泡立て器でよく混ぜ合わせ、もう3分の1を加えたらゴムベラに変えて泡を消さないよう優しく混ぜ合わせる。
最後のメレンゲを加え、同じように混ぜ、全体がよく混ざったら、クッキングシートを敷いたオーブン板に生地を流し、スケッパーのようなもので表面を整え、10分から12分焼く。
焼き上がったら型から出し、粗熱が取れるまで生地の表面にラップをかけておく。
粗熱が取れたら生地を一度クッキングシートから外し、生地を2つに切る。

生クリーム150g、砂糖大さじ1を加え、泡立てる。
生地に泡立てた生クリームを塗り、半分に切ったいちごを並べ、上からまた生クリームをかぶせ、もう一つの生地で挟む。
端の部分を切りそろえ、最後に生クリームで全体を覆う。
イチゴを並べて、ミントを載せたら、季節のいちごショートケーキの出来上がりである。

父ちゃんのリサイクル料理教室「辻家の定番、ショートケーキの作り方」



ニコラとマノンはお母さんが作ったという手作りのマスクを付けてやって来た。
息子がやって来て、サリュ(やあ)、と子供たちは挨拶をしあった。
小さな頃からのご近所づきあいなので、気づかなかったけれど、二人とも、大きくなった。
息子もハンサムになった!!!
上の階のジェロームさんところの二人も、ピエールのところの娘二人も、みんな大きいくなった。時が流れている証拠である。
その分、ぼくは老けたということである。あはは・・・。
ぼくは冷蔵庫でよく冷やしたショートケーキを運んできて、テーブルの真ん中に置いた。わー、とニコラが大きな声を張り上げた。
みんなで、一緒に食べた。
ニコラが不意に、
「ママのケーキより、ムッシュ・ドロール(おもろいおじさんという意味)の方が百倍美味しいよ」
と言い出した。
マノンが指を口にあてて、シーっとやった。
百倍美味しい、と言われて内心嬉しい、おもろいおじさんであった。
この時期、ご家庭で作れば、クリスマスケーキになるので、ぜひ挑戦してもらいたい。



父ちゃんのリサイクル料理教室「辻家の定番、ショートケーキの作り方」

※レシピの追記。スポンジの切れ端の部分を小さな器に入れて、残りの生クリームとイチゴをうまく盛り付けると、シェフ用切れ端パフェ、が出来上がる。これは、父ちゃんがいただきます。

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