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リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」 Posted on 2022/12/08 辻 仁成 作家 パリ

地球カレッジ

この日記は2021年10月に書かれたものです。この時、息子は高校3年生でした。

某月某日、インスタでおなじみ、(笑)、父ちゃんのチャーシュー麺だが、毎月、作っているので、だんだん、だんだん、腕が上がってきた。
美味しいチャーシューづくりは前日から煮込まないとならない。
これは全く時短料理には適さない手ごわい料理だが、それだけに、達成感がある。
受験生の我が子に何か少しでもお手伝いできることがあるとすれば、美味しいご飯だろう、ということで最強チャーシュー麺作りを息子の受験が終わるまでの課題として取り組んできたが、今日のはマジで、素晴らしい出来栄えとなった。

朝から、気分があがりまくる父ちゃんだったが、11時を少し回った頃、父ちゃんの城であるキッチンに息子がやってきて、
「友だちと会わないとならないから、今日、ごはんいらない」
とか言い出しやがった!!!
なぬーーーーーー、父ちゃんの一晩の苦労が水の泡になる! (ま、もちろん、明日も食べられるのだけど・・・)

リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」



すると、息子が、ガス台の上で出来上がりつつあるスープ鍋や、煮豚の入った鍋を覗きこみ、
「これ、なに?」
と足を止めたので、
「あなたの好きな、あれよ」
と、とあるマダムの声音を真似て、言ってみた。
「ええええ? パパのチャーシュー麺?」
「そうよ、それよ。どうすっとね~」
BTSばりに成長した若者が、
「じゃあ、食べていく」
ときっぱり、言い切った。
よっしゃ。
「11時半に食べられるなら、食べてから出かける」
まぁ、なんて、生意気な。
しかし、嬉しい、父ちゃんなのであった。

リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」



特製の煮卵を添えてやった」
「パパ特製の煮卵だよ。たまご嫌いだから、食べないよな?」
「食べる。なんか、美味そうだから」
ということで、盛り付けたのが、こちら、父ちゃん特製パリ・チャーシュー麺である。
わお~。

リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」



スープは野菜だし、あごだし、チキンブイヨン、ネギ、生姜、にんにく、玉ねぎなどでぐつぐつと二時間くらい煮込んだものに、この煮豚のエキスを加えて、みょくなむ、みりん、酒などで風味を出した。
煮豚は三枚肉をタコ糸で結んで、まず、ローストビーフみたいに焼いて表面を色づけてから、煮込む。
こちらは半日煮込み、そこから一晩放置する。
粗熱がとれた頃に、半熟たまごを、投下しておくと、翌日、自然と半熟煮卵が出来上がっているという仕組みだ。
これが、絶品じゃああああああ。
麺は、茹で時間11分のバリラ社製のスパゲットーニを今回は使用し、いつものごとく、重曹で茹でるのだけど、コツは茹で時間よりもうんと長めに茹でること。12,3分ね。
中華麺にするためには、バリ硬にしてはいけないので、スパゲティを作るのの反対、ゆるゆるを目指すくらいがちょうどいい。
それが多分、重曹のせいでか、ゆるゆるにはならない!!!
11分の茹で時間ならば、13分程度茹でるといい感じに仕上がる。お試しあれ・・・。

リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」



茹でた面を器に盛りつけ、そこにスープを注ぎ、その上に薄くカットしたチャーシューを並べ、半熟煮卵などを添え、最後に、煮豚のエキスをチャーシューの上に回し掛けするのだ。いやぁ、たまらんなぁ。美味しくないわけがなかとよ。
「アナタの好きな、あれよ~」
「おおおおお!!!」

息子は12時ちょうどに出かけて行った。
出かける前にシャワーを浴びて、髭を剃って、なんかちょっといい香りをふりまいて、いい男になって出かける時は、ウイリアムとかトマなど男子と会うのじゃなく、ぜったい、可愛い、女の子なのである。羨ましい。
父ちゃん、マジで羨ましいのであーる。
ということで、一人になった父ちゃん、息子が出かけて行ったあと、好きなチャーシュー麺を、じっくりと頂いたけれど、まちがいなく、絶品であった。



リサイクル日記「息子を励ます、愛情料理研究家な父ちゃんのチャーシュー麺なのよ」

父ちゃんは、卵をカットしない。
がぶっと噛り付いた時のあふれ出る黄身が好き・・・。えへへ。



自分流×帝京大学
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気分をかえたい、皆さん!!!
父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン(11曲)」を聞いてください。
こちらの再生ボタンから、どうぞ。