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退屈日記「フロントガラスに続き、災難続き、愛着ある我が家の冷蔵庫がぁぁぁ」 Posted on 2021/10/18 辻 仁成 作家 パリ

地球カレッジ

某月某日、飛び石でフロントガラスに罅が入ってまだ、修理さえ出ていないのに、今日、冷蔵庫がおかしくなった。昨夜、餃子を作っていたら、何か、いつもより、冷えが弱いことに気づいたのである。餃子を焼いて、ビールを冷凍庫から取り出したのに、ひ、冷えてない。NHKの春ごはん、そして撮影が終わったばかりの秋ごはんにも最多登場の冷蔵庫くん、まだ買って3年しかたってないし、デザインもいいので気に入っていたのに、何が起きてる。



まず、冷凍庫のドアをあけると、変なガスの匂いがした。朝、冷凍庫の霜取りをやったことを思い出した。その時、なんかやったのかもしれない。とんかちで、出っ張っている氷を、二度ほど、がんがん、と叩いただけなのに、壊れてしまった。一般ユーザーによる修理情報を読むと、部品の取り寄せ、交換作業で結構な時間とお金がかかる。コメント欄をみると、買い替えたほうが圧倒的に楽でした、という意見があり、お気に入りの冷蔵庫君だったけど、買い替えることにした。
冷却用の管から黄色い液が漏れている。冷凍庫を空にしてチェックすると、管に小さな穴があいていた。中のガスが漏れているのかもしれない、と思い、瞬間接着剤で塞ぎ、強力ガムテープを巻いたが、テープは二重巻きにし、かなり慎重に作業したのにも関わらず、それでも匂いが続いた。(ちなみに、このガスは人体にそこまで影響はない、とのことだった)
氷りついてる冷蔵庫の氷をドライヤーで溶かし、綺麗に掃除をするのに、1時間かかった。息子? 手伝わわけがないじゃないですかぁ~?
餃子どころではなくなったのだけど、子供に食べさせないわけにはいかないので、餃子を焼いて、父ちゃんはぬるいビールで胃に流し込んだ。

退屈日記「フロントガラスに続き、災難続き、愛着ある我が家の冷蔵庫がぁぁぁ」



退屈日記「フロントガラスに続き、災難続き、愛着ある我が家の冷蔵庫がぁぁぁ」

※ 空いた穴は、2mmくらいなのに、この大規模補修工事をみよ。まず、瞬間接着剤で穴をふさぎ、透明のテープで周囲をカバー、奥の管が細分化されているので、ハサミで細くカットし、管に巻き付け、さらに、銀色の強力テープで全体をカバー、これも、管に合わせてカットし、・・・(´;ω;`)ウゥゥ

しかし、ガスが漏れている・・・たぶん。

退屈日記「フロントガラスに続き、災難続き、愛着ある我が家の冷蔵庫がぁぁぁ」

※ ドライヤーで霜取りをし、溶けた水を下のフライパンで、受け止める。この原始的な方法で、まる一時間を費やした父ちゃん、腰が痛い・・・・。

「どうしたの?」
「多分、トンカチで、配管に穴をあけて、中のガスが外に漏れてる」
「ええ? フロンガスだね」
「一応、すぐに封じたけど、大気圏に影響も出るし、このまま、業者に引き取ってもらい、適切に処理してもらうよう、依頼する」
「じゃあ、うちは? 冷蔵庫ないのきついな」
「新しいのを買う」
「じゃあ、それまで冷蔵庫無しの生活」
「冷蔵庫がない辻家は、タイヤの付いてない車みたいなものだな」
「は? パパ、そんなくだらないオヤジギャグを言える余裕がまだあるんだね・・・」
やれやれ、面倒なことが起きた。
自動車のフロントガラスも飛び石で、傷が入り、自動車会社の連絡待ち、そこに今度は冷蔵庫問題がくっついてきた。語学力がアップしてしまうじゃないか!!!



修理か、買い替えか、いろいろと悩んだけれど、あと一年でこの家からも出るので、それまでとりあえず、明日にでも配送してもらえる冷蔵庫を買うのが、一番の得策だと思った。
傷みやすいものは保冷バックに保管し、そうすれば、なんとかぎりぎり一日は持つ。
慌ててネットで調べたら、大型電気店のサイトに。小型の冷蔵庫が翌日、夕方配送可能、と出ていた。今のもかなり小さいけど、それよりも一回り小さな冷蔵庫である。冷蔵庫を収納する場所の高さ制限があり、154センチ以上のものはキッチンに入らないのである。とほほ・・・・。
迷っている暇はないので、それをポチした。気に入っていた冷蔵庫とは、ここでお別れになった。三年間、ありがとう。保険にも入ってなかったから、仕方がない。皆さん、霜取りに、トンカチは絶対に使っちゃいけませんぞ!

つづく。

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