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父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」 Posted on 2021/11/21 辻 仁成 作家 パリ

ぼくは父子はお肉よりも、どちらかというと魚を食べることの方が多い。
特に、ポワレ系が多い、鯛とか鱸(すずき)とかの。
皮パリに焼いて、食べるのだけど、本当においしい魚はとくに、ソースでごまかさないでも、美味しい。
醤油をかけると、全部、醤油味になってしまうので、いい魚の時にはもったいない。
そこで、フラー・ド・セル(塩の華)をかけるだけで、済ませることが多い。
しかし、一工夫し、辻家では、オレンジ風味のフラー・ド・セルをつかう。
今日は、その作り方をご指南したい。
これ、お肉にもあうし、サラダにも最適なので、作ってみてほしい。
※ いくつかの重要な注意点があるので、それだけは、ぜひ、守っていただきたい。

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」



さて、父ちゃんのオレンジ塩、を焼き魚にかけるだけで、どんな魚も欧風レストランに負けない味になる。
醤油もソースも必要ない。
魚が、本来持っている旨味をこのオレンジ塩が見事に引き出してくれるのだ。
オレンジ塩さえ作れるようになれば、もういつでもどこでも父ちゃんの味を再現できるという寸法である。
伝家の宝刀ならぬ、伝家のオレンジ塩、それでは、前置きはこのくらいにして、一緒に作ってみましょう。



まず、予め、オーブンは150℃に予熱しておく。
使うオレンジは必ず有機オレンジじゃないとダメだ。
なぜなら、皮を食べるのだから。
農薬を使ってない有機オレンジが重要になる。
次に、オレンジをよく洗い、ピーラーで皮を剥のだけど、出来るだけ長細く、削いでいくように、剥かなければならない。
オレンジの皮は、クッキングシートの上に間隔をあけて綺麗に並べ、150℃に温めておいたオーブンに入れて、約10分…。
火加減がちょっと難しいので、最初は失敗しやすい。
焦がさないように、最初は、火の通り具合をきちんと見定めていくのがいいだろう。
火が入り過ぎると、焦げた香りが付いちゃうし、火入れが足りないと、水分が出て塩を殺してしまう。
焦げる前、湿度が消えたちょうどその瞬間、を見逃さないことが大事である。

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

そしたら、よく切れる包丁で、乾いたまな板の上で、細かく、微塵にしていく。フラー・ド・セルの大きさになるまで、根気強く、みじん切りを続けないとならない。
注意点としては、オレンジの皮は、硬くなる前にみじん切りにする必要がある。
その方が細かく微塵にしやすいからである。
それから、ちょっと放置して、10分位するとカリカリになるので、そこでフラー・ド・セル(塩の華)と混ぜれば、来上がりだ。密閉できる瓶などに入れて、保存してほしい・・・。

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

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付録。

皮パリの魚を作ってみましょう。
今日は、刺身でも食べられるような超新鮮な鱸(スズキ)を使うことにする。
鱸でも、鯛でも、新鮮なものであれば、大丈夫・・・。
鱸には軽く塩胡椒し、(気分次第だけど、皮目に胡椒、身の方に塩だけの日もある。お好みで)テフロンのフライパンに多めの油をしき、中火弱で皮を下にして、じっくりと焼きをいれてく。しっかり、皮パリにしたい時には、皮目に軽く小麦粉を叩いておくと、カリッカリになる。
これが美味いのだ。
面倒くさくないなら、やっておこう。あとが楽しくなる。
焼く時は、まず、最初の一分ほど、指先で魚を押さえながらやれば、反らない。
なんにもしないと、魚がくるんと丸まってそり返るから、要注意。
手でやるのが怖いなら、トングでも、スプーンでも、なんでもいいから、それで中心をちょっとおさえつけておくこと。
これが大きなポイントになる。

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」



父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

火加減をみながら皮がパリパリになり、魚の身の方まで火がうっすら通り全体が白くなったら完成だ。
もともと、生で食べられる新鮮な魚だから、うっすら白っぽくなれば食べられる。
ひっくり返す必要はない。急ぐ場合はひっくり返してもいいけど、壊れやすいので、気を付けて・・・。
お皿に盛って、お好みの量、オレンジ塩を振りかける。香りが素晴らしい。
オレンジの香りと皮パリ魚の香ばしさのバランスが抜群なのである。
添えたルコラには、オリーブオイルと、ビネグレット(ドレッシング)をちょっと、加えたらいい。
海の香りとオレンジのさわやかな柑橘の風味が鼻腔と口腔を誑かす、贅沢極まりない一品、間違いなしなのである。

父ちゃんの料理教室「これは便利で美味い!!! 辻家特製、オレンジ塩」

材料
有機のオレンジ   1個
フラー・ド・セル(fleur de sel) 50gくらい
※出来ればフランスのゲランドのお塩を推奨します。
<スズキのグリエ>
スズキの切り身
塩・胡椒
オレンジ塩 適量
ルコラ など、お好きな量で、どうぞ。

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