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退屈日記「出た!フランス人のこれだけは許せない、理解出来ない、おやつ編」 Posted on 2022/04/07 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、受験をひかえる息子の軽食の用意に日々奮闘する父ちゃん。
受験生は腹が減るので、スタミナごはんはもとより、夕方の軽食とかは何か用意しないとならない。
フランスの一般家庭の夕食は20時以降、遅いところは21時半とかだったりする。(辻家はあいだとって、20時45分くらいかなァ)
なので、学校から帰ると夕飯まで時間が長い。育ち盛りの息子には、軽食が必要となる。
だいたい、簡単なサンドイッチとかが喜ばれる。夕方、お盆にサンドを載せて、
「おやつだよ」
と言いながら、息子の部屋に届ける。
「あ、ありがとう」
と言って、だいたいは喜んでたべてくれる。
こういう時、学校の書類にサインを求められたり、大事なことを話しあうこともあるので、「軽食会話」は重要なのだ。
作ることもあるけれど、近所のヴェロニクのパン屋に顔を出し、パンオショコラなどを買うことがやはり多い。
先日は、仏版ホットドッグ(アメリカのホットドッグとは違い、フランスのはバゲットにソーセージが挟まっている)を買ってやった。
これが、ボリューミーで美味いのだ。

退屈日記「出た!フランス人のこれだけは許せない、理解出来ない、おやつ編」



ぼくがよく息子に作ってあげるのは、チキンカレーサンドである。
サンドといっても、バゲットに挟んである。
英国は食パン文化だが、フランスはサンドイッチもバゲットが主流である。
こっちは何でもバゲットに挟んで子供たちに与えるのだ。
一番驚いたのは板チョコを挟んだバゲット!
息子が小学生の時、お迎えに来たお母さんたちの3人に1人は、チョコバゲットを片手に持って子供たちが出てくるのを校門前で待ち構えていた。笑。
それは日本人のぼくからするとかなり奇妙な光景で、さすがに息子もあれが食べたいとは言わなかった。
どういう構造をしているのか、今一つミステリーだが、柔らかめのバゲットに包丁で切り目をつけ、そこに板チョコをそのまま挟んだものだとは思う。
まさか、バターとかは付けてないとは思うけれど、食べたことがないのでよくわからない。どちらにせよ、この習慣だけはぼくら親子にとっては、完璧にNGであった。あはは。
フランスの子供たちはそれを齧りながら下校する。ようはパンオショコラのバゲット版なのだとは思う。
フランス人はなんでも、バゲットに挟んで食べるのだ。思えば、日本にも、焼きそばパンが存在するので、同じか!!!!
バゲットも普通の柔らかいバゲットと、トラディションと呼ばれる皮パリ中がもちもちのバゲット、と大きく二つに分かれる。
辻家は圧倒的にトラディション派だが、柔らかいバゲットはお子さんやご年配の方に好かれているし、たまに食べると、やはり美味しい。

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ところで、父ちゃんの得意なバゲットサンドは、先にも書いた通り、チキンカレーサンドである。
数時間しっかりとマリネした鶏肉を焼くのだが、マリネするときにカレー粉やクミン、ガラムマサラなどのスパイスも加えておく。
これを焼いて、バゲットに挟むだけではあるが、美味い。香ばしいし、底に敷いたマヨネーズとの相性抜群なのである。
「パパ、マヨネーズ、多すぎるよ」
マヨラーではない息子にたまに叱られるが、この噛んだらバゲットの間からこぼれでるマヨネーズ感が最高なのであーる。ほんとうです。
お腹も満たされるし、受験生のおやつには最適である。
スパイシーな刺激が脳を活性化させるという、笑、辻博士の見解なのであった。あはは。
一週間後くらいに迫った息子の大学受験、辻家は今、臨戦態勢なのである。
さて、今日の軽食はなんにしたろう!!!!

つづく。

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