JINSEI STORIES

退屈日記「陰口、悪口 かかってこいよ!」   Posted on 2022/09/18 辻 仁成 作家 パリ

陰口をたたく人たちの陰でしか悪口言えない感じ・・・、父ちゃんは好きじゃない。
堂々と言われても嫌だけど、陰口っていうのは、それをちゃんと告げ口する奴がいるから耳に届くわけで、
お節介な世界だな、と陰口をよく言われる側の父ちゃんは思うわけであーる。

あの人がどこどこでこんなこと言ってましたよ、とかね。あはは・・・

先日、瀬戸内先生のお別れ会に、こっそりと出席した父ちゃんだが、大昔に、
一度、先生に、
「この際だからあんたに言っとくけど、うちに出入りしている作家たちはみんなあんたが嫌いなんだよ」
と言われたことがあって、かなり、ドキッとしたことがあった。笑。
なんでそんなこと面と向かって言うのかな、と驚きはしたけれど、今はあれは先生なりの、ぼくへのメッセージだったのかもしれない、と感謝している。
先生はきっと自分だけは味方なんだから、と母親のようなお気持ちでおっしゃりたかったのでしょう。
いや、むしろ、頑張れ、とはっぱかけられたのかもしれない。
ぼくはいい方にとったけど、
「先生、そんなこと直接、本人に言わないでよ。やばいでしょ」
と言い返し、先生は、えへへ、そうね、と笑っておられた。
あの間合い、絶妙だったなァ。

もっとも、四半世紀も前のことだからね、今や遠い昔話・・・。笑。
 



けれども瀬戸内先生のような徳のある方でさえ、もちろん、心配しているからこそだから、・・・告げ口するということ。
それを思えばこのようなかまびすしい世の中、陰口が告げ口で拡散され蔓延していっても不思議じゃない。
気にしないのが一番だが、そうは言っても人間だからね、気になるよ。
いまだに、父ちゃんの周りでは、あの人がこんなこと言ってるよ、とか、どこどこで誰がこんなこと言った、なんてのが聞こえてくる。
生きている限り、告げ口は消えそうにないのであーる。

世の中のゴシップ好きは底なしだ。笑。

割り切っていかないとつぶれてしまう。ぼくはかなりずうずうしい人間になれたから、口撃にはもう慣れっこになった。
強くないと、でも、生きていけないこの世界も、嫌だな・・・。

生きていれば、火の粉も降ってくる。
それを振り払う術を身に着けるのがよい。
陰口を告げ口された時、「来た来た」と口にするのも手の一つである。
世の中そんなもんだぜ、と悟るのも手だ。無傷というわけにはいかない。割り切って生きていけばいいのだ。生き切ったものだけが到達できる境地がきっとある。
ということで、ぼくはますますずうずうしくなりました。
「来た来た。かかってこいよ」 笑。
 



退屈日記「陰口、悪口 かかってこいよ!」  

つづく。

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