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退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」 Posted on 2023/01/11 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、不意に夕飯の献立で悩むことになった。
なぜなら、旅の最中は毎日外食だったから、料理が出来なかった。
それはそれでたまにはいいことなんだけど・・・。
なので、キッチンが新鮮でしょうがない。何を作ろうか、何を食べようか。
父ちゃんは自問したのだった。冷蔵庫は、からっぱだった。
ちょっと何か買って、ちゃちゃっと作って食べようじゃないか。
でも、スペインのバルですっかり胃が脂っぽくなった父ちゃん、さらっとしたものがいいなぁ。生姜焼きとか、ゥ、ゥ、うおおおおお!
それじゃあ!
ということでちゃちゃっと豚肉と白菜を買って、生姜焼きを作って食べたのだった。地味~。
いやいや、ご飯は炊飯器に梅干しをぶっこんで炊いたので、梅ごはん~!ニマっ。
最高だぁ。

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」



で、食後のデザートである。ふふふ。
実は、スペインに渡る前、ぼくとサンシー坊が立ち寄ったサンジャンドリュズには、二軒、とっても有名なお菓子屋さんがあって、甘いものには目がない父ちゃん、買っといたのであーる。美味しいものをよ!
まずは、ガトーバスク(バスク地方のケーキ)としては最も老舗で最も有名な「パリエス」に行って、買ったのが、これじゃあ!
これがガトーバスクというフランス人マダムが大好きなお菓子、その中でも、もっとも美味しいと評判が高いガトーバスクがパリエス社のものである。
ガトーバスクとは、アーモンド入りのクッキー生地で出来た焼き菓子で、一般的には、中にダークチェリーのジャムが入っておる。しかーし、今回、ぼくが買ったのは、店員さんにおすすめされたモノで、カスタードクリーム入りの方!!!
これが、ぎゃああああああ、うめー、チョーヤの梅~っしゅ~なのだったぁ。
やばかった。真剣にもう一度いいます。この世のものとは思えない美味しさでした。はい。
※パリエスのガトーバスクですが、これは最近、パリでも買えます! ぜひ!!!

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」

※ お店の写真撮り忘れたのだけど、まるでエルメスというオレンジな感じ。で、袋も包装もオレンジなパリエス、笑。しかし、味はオリジナル!!!!!

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」



そして、サンジャンドリュズ二大巨匠老舗菓子屋の「アダム」にも立ち寄ったのだ。
ここは1660年創業!
ルイ14世がマリー・テレーズと結婚をした時に、献上されたのが、ここのマカロンなのであった。前の日記にも書いた通り、これ、マカロンなんだけど、ブッセみたいな超シンプルなマカロンなのである。
しかーし、それ以上に、超やば美味しかったのが、アーモンドをキャラメリゼして、チョコレートでコーティングした「アダムのアーモンドチョコレート」。
うわ、すごい。マジ、食べたことがない。
世に言う、アーモンドチョコと次元が違う美味しさなのである。
サンジャンドリュズに行く価値は、この二軒のお菓子屋を訪ねるだけで十分かもしれない。(そんな言い方、失礼よ、というサンジャンドリュズ村長の声が聞こえてきた)
ということで、パリに戻ってもまだ旅の幸福から抜けきれない父ちゃんなのであった。
ごちそうさまでした。

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」

※ これが元祖、サンジャンドリュズのマカロンなのである。

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」

※ アダムの店内。ここにもガトーバスクが下段にありますね。しかし、売りはやはり最上段に並んだアーモンドチョコ!!!

退屈日記「サンジャンドリュズで買ったパリエスのケーキをパリで食べる幸福なり」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
なんで、あんな田舎なのに、こんなにすごいお菓子屋が二軒も、しかも、数メートル離れた距離感で営業しているのかって、驚かされるわけです。世界って、まだまだ知らないことだらけ、好奇心とわくわくが止まりませんね。えへへ。
さ、お知らせです。
まずは、「パリごはん」の最新作のご案内ですぞ。
「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分)
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送

そして、1月29日の父ちゃんの文章教室、心機一転ではなく、相変わらず、こつこつと文章の磨き方、文章を自分のものにしていくための推敲、書き方などを学んでいく勉強会となります。
「エッセイの書き方教室、2023年度、第1回」。
課題応募されたエッセイの中から選ばれた数本のエッセイを、辻仁成が細かく指導、推敲、研磨していきながら、文章上達の仕方を学んでいきましょう。
「エッセイ依頼内容」
今年最初の課題は、また一から、食にまつわるエッセイとなります。
「お子さんやパートナー、家族、同居人に日々作る、作ってもらっている、頂いている、ごはん。外食も含め」について、その人生の深部、喜怒哀楽を書いてください。題して、「日々のごはん」です。字数は1000字前後、1500字以内、とします。締め切りは1月22日とさせていただきます。
詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

それから、2023年5月29日にパリのミュージックホール、オランピア劇場で単独ライブやります。
5月29日のオランピア劇場ライブの翌日に、JALパックさんが企画をし、ぼくがよく知るレストランで、せっかくだからランチ会をやることになりました。ぼくも顔を出し、トークをやる予定ですので、せっかくパリに来られる皆さま、よろしければ、どうぞ、ご参加ください。JALパックさんに相談をすれば、モンサンミッシェルなどのツアーも・・・。この機会に、ぜひ。
詳しくは、こちらのURLをクリックください。

5月30日 辻仁成 オランピア公演記念 『感謝!Merci!』 トーク&ランチ会 《追加設定》



続いて、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」はこちらです。無料でも聞けます。ってか、ほとんど無料に近いですので、思う存分楽しんでください。音楽が危機的な状況ですけど、ミュージシャンたちは頑張っています。


https://linkco.re/2beHy0ru

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