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パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」 Posted on 2023/03/06 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、2021年の2月から撮影がスタートしたNHKBSの「パリごはん」なのだけど、しかも、前回の撮影中に「これがたぶん最終回になる」と書いたような気もするのだけど(実は、毎回、これが最後になると書いておる)、別に、この番組、シリーズでもなんでもなくて、毎回、一回限りの撮りきり番組ではあるのだけれど、そろそろ終わるかな、という予想を毎回覆される形で、ずるずるとこれまでに6回も一時間番組が制作されてきてしまったのはしょうがないとしても、7回目の「2023年春ごはん」のお話がタイタンを経由して持ち込まれたので、にわかにざわめきだった父ちゃんの周辺であった。
毎回、ほんとうに需要があるのか、と不安になりながら、オンエアーを迎えている。
ぼくは日本から一万キロも離れた世界で生きているので正直、反響というものがよくわからないのだけれど、この反響というものは確かに目に見えにくい。
それでも、今回はオランピア劇場でのライブもあるし、人生の大きな節目になるような予感のこの春なので、記録しておきたい、という気持ちも今までよりも若干あって、このロートル父ちゃん、頑張ることが出来るのだろうか、と悩みつつも、気が付くと、相棒の携帯カメラを握りしめているのだから、始末に負えない。
あはは、やれやれ。

パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」



パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」

で、「お母さんのことも気になるし」と優しいLさんが気にかけてくださったのだけれど、母さん、実は元気がないのだ。
記憶が飛んで、救急車で運ばれてから、すっかり自信を無くしてしまったらしい。
「母さん、大丈夫?」
と弟にメッセージを送ったら、
「大丈夫だけれど、ちょっと弱気になっている感じです」
という返事が届いた。
「要介護1」という判断が専門家の方に下されたようなのだけど、ぼくも恒ちゃんも「要介護1」というものがどういうものかわからない。
現在、恒ちゃんが調査をしている。
さて、この春、母さんのことも、気になることの一つである。
やはり、順番、年齢、そういうものをひしひしと感じる今日この頃なのであった。

パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」



それにしても、過去の6回の「パリごはん」なんだけれど、短く90分程度にダイジェストにまとめたら、どうなるのだろうと思った。
というのも最初の撮影は、フランスが3回目のロックダウンの最中にカメラを回しはじめた。
コロナ禍真っ最中からはじまり、息子の受験もあり、セーヌ川でのライブもあり、そこに三四郎が出現し、犬との生活があり、息子の大学の合格からの自立まで、コロナという人類にとって前代未聞のパンデミックの最中、ぼくは息子と三四郎とここパリで生き抜いたわけで、2度と経験したくはないけれど、良く持ちこたえたな、という感動もある。
きっと、パンデミックの時代であろうと、あるいは戦争の時代でも、海外であろうと、生き抜くことが出来るということを、皆さんに伝えたかったのであろう。
番組を通して、自分を鼓舞したかったから、続けられたのかもしれない。
きっと、そうだ。
あの頃、コロナで映画撮影も中断となり、オーチャードホールのライブなんかは3回も中止になったのだから、・・・。
その中で、この「パリごはん」だけが、日記と並んで、ぼくを伝える表現手段なのであった。
ま、個人的な見たさ、なのだけど、まだ一度もこれを見たことがない息子と、いつか、カウチに寝転がり、笑ってみるのにいいのかな、と思うのであーる。
人間は、どんどん、時間を失われていく生き物である。
それは万人に共通している。
生まれたものはいずれ死んでいくのだから、その大切な時間を、同じ時代に生きたものと共有するのは素晴らしいことであろう。
ぼくにとって息子は、その同士の一人なのであった。

ふー。
ただ、誤解なきように、まだ、「2023年春ごはん」確定ではないのです。

パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」



パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
ということで、またしても、父ちゃんは立ち上がり、自撮りカメラを振り回すことになるのかもしれません。それがどういう番組になるのかは、まだなんともわからないのですが、ドキュメンタリーですからね、未来に委ねましょう。あはは、と笑い飛ばしながら、熱血でいきたいと思います。はい、皆さん、ご一緒に、熱血ゥ~。
さて、父ちゃんからのお知らせです。3月19日、日曜日、「父ちゃんの気まぐれ文章教室」を開催いたします。ただの文章教室ではありません。笑。熱血教室になります。文章を磨くコツ、書き方や推敲のコツを通して、生きることの深い部分を刺激する父ちゃんの文章教室、気まぐれですが、熱血な授業になります。ご興味ある皆さん、詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックしてみてくださいね。

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パリ日記「NHKのパリごはん2023年春編の話が水面下で囁かれはじめた3月初旬」



そして、エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
フランス国内、もしくは周辺国、あるいは世界各地にお住まいの皆さん、ぜひ、遊びに来てください。旅慣れていない皆さんには、JALパック・パリさんが協力いたしますので、こちらをクリックください。

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/
ついでに、父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。

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