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父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」 Posted on 2023/02/03 辻 仁成 作家 パリ

男の料理とかママの料理とかって、区分けはぼくにはわからないし、何が男らしいか女性っぽいのかも、よくわからない。
でも、クスクスという料理だけはなんというのか、なんとなくだが、マッチョな料理であることは間違いないである。
クスクスってどういう料理なの、とよく聞かれるので、そういう時、ぼくは北アフリカのおでんとか、北アフリカのポトフとまず説明するようにしている。
まさに、構造は似てる。
ある種のスープであり、ある種の煮込み料理であり、違いを聞かれれば、スパイスをふんだんに使うことと、トマトを上手に混ぜ込んでいる点なのかなぁ。
おっと、あと、アリッサを使う。

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」



で、おでんとポトフと決定的な差は、それこそ具材の入ったスープをカレーみたいにスムールにかけて食べる…ということか・・・。
ちょっと最初に断っておきますが、実は僕も境界線があいまいでいつも、どこまでをクスクスと呼ぶのか分からないでいる。
クスクスとはスムールのことで、ようはお米のような、実際は世界最小のパスタなんだけど、これをクスクスと呼ぶ人もいるし、スムールという人もいる。

スムールに具材の入ったスープをかけたものをクスクスと呼ぶのが正解じゃないかと思うけど、自信がないなぁ。スムールをクスクスという時もある。ややこしや・・・。
アルジェリアやチュニジア人の友だちも、モロッコ人のユセフさんに聞いても、笑って、一緒だよ、と言う。
混乱させちゃいけないから、今日は、パスタの方をスムールと呼び、具材の入ったスープと区別し、合体したものをクスクスと呼ぶことにしておこうか・・・。



父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」

※これがスムール。パスタなので最初は世界最小の乾麺なのだけど、お湯を注いで数分経つと、この通り。

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」

※追記。残ったスムールで、スムールサラダ、いわゆるタブレと呼ばれる料理に再利用するのだ。これが、フランスでは若い女性に大人気!!!

このスムール、見た目はお米みたいだけど、さっきも言ったように、パスタなのである。
今じゃ、世界中、日本でも、フランスでもどこでも手に入る。
お湯で戻して食べる。
ちょっとカップヌードルみたいだけど、簡単で便利で、しかも、意外にっちゃ失礼だけど、パスタとも違う、お米とも違う触感で、実に美味しいのだ。
ぼくは個人的に、スムールはスムールだと思っているのである。
はい。
じゃあ、さっそく、作ってみよう。

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」



まず、羊肉だけど、どこの部位でもいいのだが、今回はもも肉の部分、仏語では、ジゴ・ダニョーというのだけれど、そこを使う。
骨付きラムが日本では多いが、ま、どこの部位も美味しい。
骨付きはダシが出るから、なお、いいのである。

では、まず、ラム肉を一口大に切り、塩こしょうをしておく。
料理を始める前に、仕込んでおくと、あとあと、美味しくなるからちゃんとやっておきましょう。
料理はなんでも、下準備がとっても大事なのだ。

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」



さて、フライパンに、オリーブオイル、潰したにんにくを入れ、弱火でにんにくの香りを出す。
この辺は、パスタの作り方と一緒。
香りが出てきたら肉を加え、強火にし、焼き色をつける。
マッチョな感じ、なかなかかっこいい。
そしたら、大きめに切った野菜(ズッキーニ以外)を加え、ざっと炒め合わせ、そこに、水と塩を入れる。

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」



さらに、スパイス(輸入食材店などでクスクスミックスが手に入ればそれで良いが、クミン、コリアンダー、パプリカがあればだいたいそれっぽい味になる)、チキンブイヨン、トマトペーストを加え、ズッキーニはここらへんで投下し、蓋をして煮込む。
だいたい、1時間ほど煮込めばいい。
流れとしてはカレーの作り方とほぼ一緒なのだ。
肉が羊で、スパイスをふんだんに使い、トマトが隠し味になり、ライスの代わりにスムールが、「クスクス」と覚えておけばいい。

スムールをボウルに入れ、オリーブオイル(小さじ1)と塩少々を加え、スムールがひたひたになるくらいの熱湯を注ぎ、蓋をして蒸す。
時間になったら、フォークなどで崩して、ざっくりとさせたら、器に盛る。
スムールがない場合、ぼくは玄米を代用している。
これがまた美味いのだ。
器に盛ったスムールや玄米に具材たっぷりのスープをかければ・・・・、はい、完成。
全部、クスクス。
出来上がると自然に笑みが生まれる。
みんながクスクスっとなるから、クスクスと言うんだよ、というのは嘘だけど、でも、そんな気分になる。
お父さん、一つくらい料理が出来るとかっこいいからね。日曜日はお父さんのクスクスの日にしてみよう。
お母さんも負けずに作ってみてください。
いいや、みんなでクスクスを作りましょう!!!!

父ちゃんの料理教室「まるで北アフリカのポトフ或いはおでん、その実態は、子羊のクスクス」

※上に載ってるメルゲーズソーセージは羊肉と牛肉で作ったかなりスパイシーなソーセージ、これ、日本では探すのが難しいから、シャウエッセンみたいなソーセージでスパイシーなものを探して、使うといいかもね。
もちろん。無くても大丈夫。



もう一点、大事なことをわすれるところだった。クスクスに必ず使うのがアリッサ(harissa)。
唐辛子ペーストだ。
最近は、日本のスーパーでも買うことが出来る。
日本製のアリッサ、美味しかった!!!
羊肉、スムール、アリッサ、と揃えなければならないけど、だからこそ、ここはお父さんに頑張ってもらうかしかない。
男は黙って北アフリカ料理だ。
さ、ボナペティ!!!!!

材料、4人前:ラムもも肉(なければ違う部位か、牛肉、鶏肉、野菜だけでも良い)400g、かぶ3個、にんじん2本、セロリ3本、ズッキーニ2本、トマト2個、スパイス小さじ2(クミン、コリアンダーの実、パプリカ、シナモン、グローブ、ジンジャーなどを混ぜて)、トマトペースト大さじ1、チキンブイヨン1個、塩小さじ3、にんにく2片、水、スムール1~2カップ(家族の胃袋に合わせて)、メルゲーズソーセージ(なければ、フランクフルトソーセージとか)

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